(本記事は、黒田尚子氏の著書『親の介護は9割逃げよ』小学館2018年2月11日刊行、の中から一部を抜粋・編集しています)

【関連記事 『親の介護は9割逃げよ』より】
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親の介護は9割逃げよ
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親の自宅を現金化する方法とは?

親の介護は9割逃げよ
(画像=dwph/shutterstock.com)

親の自宅の有効活用法の1つとして「リバースモーゲージ」がある。

通常の住宅ローンといえば、「持ち家を担保に金融機関から一括で融資を受け、毎月返済していく」というもの。それに対して、リバースモーゲージは、「持ち家を担保に金融機関から定期的にまたは一括で融資を受け、最後に一括返済する」というものである。

いわば、逆住宅ローンともいえる商品だが、これを利用すれば、老後資金や介護費用が不足したときに、自宅に住み続けながら生活費を捻出できる。

「リバースモーゲージ」はどこで利用できる?

この制度は、もともと高齢者の持ち家に着目した低所得者向けのセーフティネットとして、都道府県社会福祉協議会が実施した「不動産担保型生活資金」という制度である。

数年前から、民間の金融機関でも取り扱うところが増えている。おもに戸建て住宅が対象になるが、2005年からスタートした東京スター銀行のリバースモーゲージ「充実人生」は、担保評価が難しいマンションも一部を融資の対象にしている。

2013年7月から取り扱いを始めた、みずほ銀行の「みずほリバースモーゲージローン『みずほプライムエイジ』」は、東京、神奈川、千葉、埼玉に住む55歳以上が対象となっている。

借入金の使途も、数年前までは生活資金に充てる高齢者が多かったが、最近では多様化が目立つという。同銀行に寄せられる相談では、高齢者施設に入居する際に必要な一時金に充てたいという人が多いそうだ。

「リバースモーゲージ」のリスクと現状

利用する前に知っておきたいのは、リバースモーゲージの4つのリスクである。

(1)金利上昇リスク……途中で金利が上昇すると受け取り総額が減る。
(2)地価下落リスク……担保評価額が下がると追加担保が必要になる、もしくはローンが途中でストップ、もしくは返済を迫られる可能性がある。
(3)長生きリスク……存命中にローン受け取り総額が評価額に達する可能性がある。
(4)相続人リスク……本人が亡くなった後、自宅がなくなるので、配偶者や子どもがいる場合には住む場所が別途確保されていなければならない。ただし、相続人が現金で返済できれば、自宅を売却する必要はない。

そもそも、リバースモーゲージは、最終的に自宅を売却してそれまでに行った融資の利息と元金と手数料を回収するしくみ。現実的には、ある程度地価の高い地域に限られる。

さらにこれらのリスクをふまえると、どちらかといえば、老後資金や介護費用に困って、なんとか現金を捻出したいという人よりも、生活に余裕があって、リバースモーゲージで得た資金に頼らなくても大丈夫という人でなければ、なかなか利用は難しそうだ。

なお、日本のリバースモーゲージのさきがけといえるのが、東京都武蔵野市。1981年から2013年まで119件、17億円の利用があったが、地価下落や長寿化などで、2010年度には担保を処分しても貸付金を回収できない例があったという。

「期待度は高いが、実際の利用や普及は難しい」││官民の商品を問わず、リバースモーゲージに対する印象はこんな感じかもしれない。

リバースモーゲージのデメリットとは?

リバースモーゲージは、自宅を売却するのと違い、自宅に住み続けながら老後の資金を受け取れる。その半面、さまざまなリスクもある。

変動金利型、一定期間の固定金利型のものが多いため、借入期間中に金利が上昇すると、当初よりも受け取れる金額が少なくなる。また借り入れている人が亡くなると自宅を売却などして一括返済するしくみになっており、早く亡くなっても損をするわけではない。

逆に長生きをすると、途中で借入額が自宅の評価額に到達してしまい、それ以上借りられなくなる恐れもある。

黒田 尚子(くろだ・なおこ)
1969年富山県出身。千葉県在住。立命館大学法学部修了後、1992年(株)日本総合研究所に入社。在職中に、自己啓発の目的でFP資格を取得後に同社退社。1998年、独立系FPとして転身を図る。2010年1月、消費生活専門相談員資格を取得し、消費者問題にも注力。また、2009年12月の乳がん告知を受け、2011年3月に乳がん体験者コーディネーター資格を取得するなどがんをはじめとした病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行う。