妻に必要な保険種類や保障内容について、決めかねている人は少なくない。もちろん、何らかの備えは必要であろうが、具体的にどのような保障をどのくらい用意しておけばいいのか考えると、答えを出せない人が多いのではないだろうか。妻の保険について検討する際は、共働きかどうか、子供がいるかどうか、というように様々な要素を考慮する必要がある。今回は男性読者(夫)を想定し、配偶者である妻の保険について考える際の注意点をまとめてみた。

共働きかどうか・子供の有無で異なる考え方

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(画像=PIXTA)

保険の種類や保障内容は、現在のライフスタイルや収入、今後の人生計画など、様々な要素を考慮しつつ選んでいく必要がある。では、妻の保険について検討する場合、何を考慮すべきなのだろうか。

妻の入院・死亡による世帯収入への影響

妻が入院・死亡した場合をシミュレーションするとき、夫と妻で大きく異なるのが「世帯収入」への影響であろう。

夫の収入のみで生活している世帯の場合、治療費や入院諸費用、葬儀費用がかかるのはともかく、世帯収入に大きな影響が出ることは少ない。一方、共働き世帯の場合、妻の収入がなくなることで、家計や今後のライフプランに影響が出る可能性がある。

妻の入院・死亡による育児への影響

子供がいる世帯では、妻の入院・死亡による育児への影響についても考えておく必要がある。

内閣府が実施した家事・育児の分担割合に関する調査によると、夫1割・妻9割の世帯が31.6%、夫2割・妻8割の世帯が24.0%となっている(『インターネット等による少子化施策の点検・評価のための利用者意向調査』より)。半数以上の世帯において、家事・育児の8割以上を妻が負担しているのだ。

専業主婦世帯の場合、「妻に何かあっても大きな影響はない」と考える人は少なくない。しかし、子供がいる世帯の場合、夫がフルタイムで働きつつ育児をするのは容易でないだろう。近くに頼れる人がいない場合、子供の送迎や病欠時のケア、食事の準備などを業者に委託する必要がある。そうなると、想定外の出費が生じる可能性があるのだ。

また、共働き世帯の場合、妻が入院・死亡による世帯収入の減少によって、子供の育児費用や教育資金に影響が出る可能性があることも考えておかなければならない。

妻の医療保険についてどう考えるのか

医療保険についての基本的な考え方は、夫と妻であまり変わらない。入院時の自己負担費用はどのくらいなのか、逸失利益がどのくらいあるのか、といった点について詳しくシミュレーションしたうえで、必要な保障額を算出するのだ。

女性の入院給付金日額 平均はどのくらい?

生命保険文化センターが2016年に発表したデータによると、被保険者を女性とする医療保険の入院給付金日額の分布は、以下のようになっている(『平成28年度生活保障に関する調査』より)。

・3,000円未満……1.2%
・3,000~5,000円未満……5.5%
・5,000~7,000円未満……37.0%
・7,000~1万円未満……6.7%
・1万~1万5,000円未満……31.1%
・1万5,000円以上……13.9%

多くの女性が、入院給付金日額5,000~7,000円もしくは1万~1万5,000円の医療保険に加入している。

妻の医療保険の入院給付日額を決めるにあたっては何を考慮すればいいのだろうか。

専業主婦は入院時の自己負担額からシミュレーション

妻が専業主婦の場合、入院による逸失収入については検討する必要がない。そのため基本的には、入院した場合にどのくらいの自己負担額が生じるか、という観点から入院給付金日額を算出することになる。

日本には高額療養費制度があり、医療費が高額になった場合は収入に応じて1ヵ月あたりの自己負担額を一定額まで抑えることができる。

夫の年収が700万円で、妻がその扶養に入っていると仮定する。この場合、高額療養費制度を利用すれば、1ヵ月あたりの自己負担額は「8万100円+(医療費-267,000円)×1%」となる。そうすると、悪性新生物の治療のため30日間入院して200万円の治療費がかかったとしても、1日あたりの自己負担額は3,248円程度にとどまる。もちろんこれに差額ベッド代や食事代、交通費などがプラスされることにはなるが、ある程度の貯蓄がある家庭であれば、入院給付金日額は5,000円で十分ではないだろうか。

共働き世帯は逸失収入を考慮したうえで保険金額を決定

共働き世帯といってもその形態は様々で、妻がパートタイマーとして働き小遣いを稼ぐ程度の世帯もあれば、フルタイムで働き夫と同じくらいの収入を得ている世帯もある。また、妻の収入の使いみちも世帯によって様々だ。

以下に当てはまる世帯は、妻の入院による世帯収入の減少によって、家計に影響が出る可能性がある。そのため、医療保険の入院給付日額を決める際は、逸失収入の有無とその額についても考慮に入れることをおすすめする。

・妻の収入を生活費の一部または全部に充てている
・妻の収入を子供の育児費用や教育費用の一部または全部に充てている
・妻の収入を、住宅ローン返済の一部または全部に充てている