妻の死亡保障についてどう考えるのか

夫と妻でその考え方や保険金額が異なるのが、死亡保障である。特に、専業主婦世帯においては、夫と妻で備えておくべき金額が大きく変わってくるのだ。

女性の生命保険加入金額 平均はどのくらい?

2016年における民保の生命保険加入金額の平均は、男性が1,850万円、女性が784万円となっている。女性の民保の生命保険加入金額は、男性の半分以下なのだ。また、保険金額ごとの分布は以下の通りだ(生命保険文化センター『平成28年度生活保障に関する調査』より)。

・200万円未満……13.5%
・200~500万円未満……23.2%
・500~1,000万円未満……21.3%
・1,000~1,500万円未満……17.8%
・1,500~2,000万円未満……3.5%
・2,000~3,000万円未満……6.0%
・3,000~5,000万円未満……3.1%
・5,000万円以上……0.6%

6割近くの女性が、保険金額を1,000万円未満で設定していることが分かる。

子供が幼い間だけ保険に加入するのもあり

妻が家事・育児の大半を担っている場合、専業主婦世帯か共働き世帯かを問わず、妻の死亡によって子育てに大きな支障が出る可能性がある。子供の見守りや送迎、食事の準備、病欠時のケアなどを家事代行サービスやベビーシッター、キッズシッターに委託することで、妻がいるときにはかからなかった費用が発生するのだ。

また、共働き世帯で妻の収入を育児費用や教育費用に充てている場合は、その補填についても考えておかなければならない。

万一への備えは、手厚くしておくに越したことはない。しかし、生命保険の保険料は、保険金額に比例して高くなる。保険料が家計を圧迫するのでは元も子もないため、生命保険加入金額は保険料とのバランスを考えつつ設定する必要もある。

そう考えると、専業主婦世帯においては子供に手がかかる期間に限定して、共働き世帯においては子供が就職するまでの期間に限定して、生命保険に加入するのもひとつの選択肢ではないだろうか。

近年は、保険期間の経過に伴い保険金額が減少していく、収入保障保険も販売されている。小さい子供がいる世帯や、妻の収入を住宅ローン返済の全部または一部に充てている世帯は、この種の保険への加入を検討してみるのもいいだろう。

貯蓄で備えるのも選択肢のひとつ

2016年に実施された調査によると、死亡に対する経済的準備手段として、63.9%の人が生命保険を、38.4%の人が預貯金を、12.2%の人が損害保険を、4.8%の人が有価証券を選択している(※複数回答 生命保険文化センター『平成28年度生活保障に関する調査』より)。死亡時の経済的準備手段として「預貯金」を選択している人が、4割近くいるのだ。

日本消費者協会によると、2017年現在、葬儀費用の平均は総額約196万円となっている。生命保険金額を決める際、「葬儀費用が出るくらいあれば……」と考える人は少なくない。しかし、葬儀費用を捻出できるだけの貯えがあるならば、生命保険に頼らず預貯金を万一への備えとすることもできる。

妻が専業主婦で育児費用や葬儀費用を預貯金でカバーできる世帯、子供にお金がかからなくなり万一への備えは葬儀費用くらいでかまわない……という世帯は、死亡時の経済的準備を預貯金で行う、という方法も検討してみてはいかがだろうか。

妻の個人年金保険についてどう考えるのか

個人年金保険に加入すると、契約時に定めた年齢に達した後、約定の年金を受け取ることができる。この種の保険は、医療保障や死亡保険とは異なり「老後への備え」という性格が強いため、必要性を感じられない人も多いのではないだろうか。

事実、生命保険文化センターの調査によると、2016年時点での個人年金保険加入率は、男性が15.9%、女性が17.3%となっている。同年における医療保険への加入率が86.5%であることからしても、その差は歴然だろう。

老後への準備手段は個人年金保険に限らない

老後の生活資金を準備する手段は、個人年金保険や公的年金、企業年金、退職金、預貯金、有価証券、不動産所得など、実に様々だ。もちろん、個人年金保険も魅力的な商品ではあるが、長期間にわたりキャッシュを拘束されたり、途中で解約した場合に返戻率が100%を割る可能性があったり……といったデメリットも存在する。

妻の個人年金保険については家族でよく話し合い、貯蓄状況や今後の見通し、老後に必要な生活資金の額、保険料を払う余裕があるかどうか、といった点について十分考慮したうえで、必要性を感じられれば加入する、というようにしてはいかがだろうか。

妻の保険は家族構成など様々な要素を考慮して決める

妻に必要な保険の種類や保障内容は、子供がいるかどうか、共働きかどうか、といった点によって大きく異なる。また同じ共働き世帯でも、妻の収入をどのように使っているのかによって、必要な保障額が変わる。妻の保険について検討している方はまず、妻が入院・死亡した場合にどのような費用がどのくらいかかるのか、具体的にシミュレーションすることから始めてみてはいかがだろうか。

曽我部三代
保険業界に強いファイナンシャルプランナー。富裕層の顧客を多く抱え、税金対策・相続対策を視野に入れたプランニングを行う。2013年より、金融関連記事のライターとしても活動中。

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