その他、考慮すべきポイント
投資用アパートを選ぶ際には、これまで説明した3つの重要なポイント以外にも注意すべき事項がいくつかある。例えば、家賃相場の変動やアパートの売却価格の変動、物件の環境や災害などは、物件探しの際に考えておくべきなので順に説明する。
まず家賃は変動する可能性があり、周辺の家賃相場が下がった場合や、物件の経年劣化や老朽化によっても家賃が下落する恐れがある。周辺の家賃相場は主に物件の立地に依存し、経年劣化や老朽化は主に築年数に依存するので、物件の立地や築年数は家賃下落を防ぐ上でも重要であることを認識してほしい。
次にアパートの売却を考えている場合、アパートの売却価格は変動するので、アパート価格が上昇すれば良いが、価格が下落する場合には売却により損失が発生する。一定期間賃貸した後にアパートの売却を考えている場合には、周辺アパートの価格相場の状況を調べて売却価格をある程度予測しておくことも必要で、これも物件の立地が重要になる。
また購入したアパートの環境も、入居者が集まらない原因となる場合がある。例えば高速道路やカラオケ・遊技場などの騒音、ゴミ捨て場や排水路の悪臭などの生活環境や、アパートの近くにマンションが建設されてしまい日照問題が起こるなどだ。このような状況では入居率は上がらないため、アパートを購入する前に物件を見て周辺の状況をチェックし、さらに近隣の開発計画を調べておくことは重要だ。
また近隣の住民も広い意味で環境問題となる。例えば近隣住民が夜中に出す大音量の音楽や、逆に過度に音に敏感で音に関してすぐクレームを出す場合などだが、このような場合には、賃貸管理会社経由で穏やかな話し合いにより解決することが大原則となる。このような近隣住民との間の音に関するトラブルで警察に相談しても、すぐに解決する見込みは低い。
アパート経営ではこのようなリスクもできる限り避けたいので、対象物件の退居理由についてもチェックしておくことが賢明だ。また真剣に購入を検討している物件ならば売主や不動産業者だけでなく、可能な限り現地に行って物件周辺の環境を確認することはリスクを避ける上で賢い行動だ。
最後にアパートを含む不動産には地震などの災害リスクがあり、地震に対するリスク回避として新耐震基準が適用された1981年6月1日以降に建設されたアパートを購入するようにするべきだ。それ以前の物件だと「既存不適格」となり耐震性能が劣ることになり、耐震リフォームを行うためにはかなりの出費となってしまうので注意したい。
投資用アパート選びで注意すべきこととは?
アパート経営は長期投資の手段であり、これまで説明したような点に注意して投資用アパートを購入し、資産形成を図るべきものである。しかし節税目的のみで投資用アパートの購入を勧める業者もおり、注意されたい。
あくまでもアパート経営で利益を出し資産を増やすことが最大の目的で、節税はアパート経営を行う上で利益を最大化する方法の一つに過ぎない。アパート経営が黒字にならないようでは、投資する意味がまったくない。
土地を保有しており、そこに新規にアパートを建設する場合もあろうかと思うが、新築なので築年数が問題とならないことを除いては、投資用アパート購入とチェックするポイントは同じとなる。収益や入居率などこれまで説明したポイントをチェックして、建設を検討してもらいたい。
最近問題となっている賃貸アパートのサブリースについては、相手業者の言いなりでローンを組んでアパートを建設し、サブリース契約を結んではいけない。これもここまで説明したポイントをチェックして、物件の建設価格の妥当性や収益・入居率をチェックしてみれば、投資として妥当かどうかの判断がつくはずだ。
優良物件を見つけることが不動産投資の成功のカギ
アパート経営は投資用アパートを購入するため、比較的高額な投資となるので慎重に検討すべきだ。投資用アパートを購入する際には、優良物件であるか否かを見極めることが投資成功のカギとなる。最も重要なポイントは「収益」「入居率」「維持管理費用」であり、その他のいくつかのポイントも合わせて確認することで優良物件の見極めができるはずだ。
これまで説明した投資用アパートを見極めるためのポイントが、アパート投資の参考になれば幸いだ。(ZUU online編集部)