著者は「ワンルームマンション投資で本当の意味で失敗した人は少ないけれど、不動産投資を続けられる人は多い」と指摘する。なぜワンルームマンション投資で失敗するのか、失敗しないためのポイントは何か。実際に物件を選ぶときに使うといいツールや、都内築浅ワンルームマンション投資を薦める著者オススメのエリアも紹介する。

(本記事は、小松圭太著『貯蓄なし、経験なし、度胸なしのあなたにもできる都内築浅ワンルームマンション投資』=秀和システム、2018年4月23日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

【『都内築浅ワンルームマンション投資』シリーズ】
(1)「空室リスク対策には一棟所有」は本当か? 著者が築浅ワンルームマンション投資を薦める理由
(2)不動産投資が続かなくなる5つの理由 失敗しないための3つのポイント
(3)不動産投資成功のパートナー「管理会社」の選び方 悪徳な管理会社の共通点とは?

都内築浅ワンルームマンション投資
(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

ワンルームマンション不動産投資で失敗する理由を知っておく

ワンルームマンション投資に本当の意味で失敗した人は少ないのですが、不動産投資を続けられなくなる人は多いです。不動産投資が続けられなくなる理由を紹介します。

失敗理由1:収益性に影響する高い金利での購入

毎月の収益性に影響する高い金利で物件の購入をしていると失敗しやすいと考えられます。

たとえば2018年2月時点、2.5%以上の金利でローンを組んでいるとすれば、恐らく毎月の収支に影響を与えているはずです。

イールド・ギャップという不動産投資の考え方があります。これは物件の利回りから借入金利を差し引いた数値のことを指します。毎月のローン金利が高く、利回りとほぼ同じかそれ以上であれば大きな問題です。

失敗理由2:入居者がつきにくい地域の物件を買う

入居者がつきにくいエリアの物件の購入も失敗しやすいです。「老後の資産のために……」という言葉に釣られて、どのエリアでもよいので物件を購入しようというスタンスだと、不動産会社から入居者が付きにくい地域の物件を買わされる可能性は大です。

たとえば、物件が建築されているエリアが最寄駅から徒歩 10 分以上かかって遠かったり、住みづらい環境であったりすると、入居者がつかず、家賃を下げざるを得なくなり、結果的にキャッシュフローが悪化する傾向があります。

失敗理由3:街のブランドに踊らされて購入する

街のブランドに踊らされて、入居者がつきづらいエリアの物件を購入してしまう失敗のケースがあります。

たとえば東京の日本橋。一等地でオフィス街や三越などの百貨店が揃うブランド力が高いエリアです。入居需要も多い人気のエリアですが、一口に日本橋といってもピンからキリまであります。

東京メトロ銀座線三越前駅の周辺は日本橋のど真ん中です。

日本橋三越本店もありコレド日本橋という総合商業施設などもあって平日でも休日でも賑わっています。こうした地域に格安で築浅の中古ワンルームマンションを持つことができれば、需要も高いと考えられます。

しかし、JR馬喰町駅だと、同じ日本橋でも中心街からは外れるエリアです。

繊維問屋街なので周辺には主だった商業施設などもありません。毎月9万円ほどの家賃を払えるような人が、わざわざ寂しい地域に住もうと思うでしょうか。

こうして入居者募集が難しくなっていき、家賃を下げざるを得なくなってキャッシュフローが悪化するのです。

失敗理由4:値上がりトークに乗せられて購入する

不動産会社の値上がりトークに乗せられて購入するケースもまだまだ多いと言えます。

値上がりトークとは「将来この地域の土地が値上がりするので買いですよ」という何の根拠もないセールストークによって、その気になって購入してしまうというものです。

セールストークには惑わされずに物件を正しく評価することが大事です。

失敗理由5:管理が機能していない激安物件を購入してコストがかかる

ワンルームマンションは「管理を買え」と言われるほど、管理の状況によって資産価値に大きな違いが出てきます。管理組合による管理が機能していない激安マンションは、資産価値が下がる一方です。

たとえば、物件を維持していくためには大規模修繕をする必要があります。

ところが、管理組合が建て替え派と修繕派とで意見が折り合わず、大規模修繕をすることもできずにそのままになっているケースなどがあります。これではいくら激安でも、今後安定した不動産投資は難しくなってしまいます。

このような状態では入居者を募集するのも難しく、所有しているだけで税金や管理費などがかかります。

失敗しないために必要な3つのポイント

都内築浅ワンルームマンション投資
(画像=Antonio Guillem/Shutterstock.com)

先ほどの5つのケースのような失敗をしないためには、次の3つが必要となります。

ポイント1「物件選び」
ポイント2「不動産会社選び」
ポイント3「管理会社選び」

それぞれ説明をしましょう。

ポイント1「物件選び」

不動産投資は購入時点で8割成否が決まってしまうと言われています。

それだけ立地が非常に重要で、物件そのものの価値も重要です。安定した収入が得られ、資産価値が高く、適正な価格で売られている物件を選んで購入することが大事です。

それだけ重要なポイントですので、不動産会社のセールストークに騙されたり、現地調査に1回も行かずに購入するのはやめましょう。

そのためには、そこに住もうとしている入居者目線に立って物件を選ぶことです。わからないことがあればそのままにせず、現地に足を延ばして見ることです。

そうすることによって疑問点が解消する場合も多いものです。

ポイント2「不動産会社選び」

2つ目は、不動産会社選びです。投資のパートナーであり、管理も任せる不動産会社を選ぶことは、物件を選ぶことと同じくらい重要です。

一番いいのはその会社が主催しているセミナーに出席すること。 セミナーに出席すればその会社のスタンスはある程度わかります。

不動産投資のメリットばかり伝えて、投資リスクについてあまり触れないという会社などは問題があります。

3~4件異なる会社でセミナーを受け、自分の投資スタンスを尊重し、何でも話しやすい雰囲気がある不動産会社を選ぶようにしましょう。

ポイント3「管理会社選び」

不動産投資で管理というと、建物管理と賃貸管理の2つがあります。

建物管理とは、建物(マンション)全体の運営に関する管理を行うことです。マンションの管理員として共用部分の設備の点検、エレベーターや消防設備などの定期的な法定点検、清掃業務などがあります。

都内築浅マンション投資の場合、建物管理はその物件の管理組合が選んだ建物管理会社が行います。自分で自由に建物管理会社を選ぶことはできず、管理組合の議決合意が必要になります。

もう1つの賃貸管理とは、入居者の募集から審査、賃貸借契約およびそれまでの事務処理、入居者からの苦情処理対応などを行います。管理会社選びで重視すべきなのは、賃貸管理会社です。

不動産投資はあくまでも投資であり、会社員で投資をしている人は本業があります。そのため、なるべく手間をかけずに投資の運用を行っていく必要があります。

また不動産投資の場合、資産の価値は管理で決まると言われるほど、管理会社は非常に重要なのです。

管理会社の中には対応が悪かったり、いつまで経っても入居者が決まらないケースもありますので、信頼できる管理会社を選びましょう。

物件を選定する方法

投資したい物件を選定する方法はいろいろあります。

不動産投資の収益物件を扱っているポータルサイトで調べる方法や、不動産会社が主催しているセミナーで物件を提案してもらうという方法があります。

インターネットで物件を調べるには、次の不動産投資用の物件検索ポータルサイトがオススメです。

・ライフルホームズ不動産投資( http://toushi.homes.co.jp/
・楽待( https://www.rakumachi.jp/
・健美家( https://www.kenbiya.com/

入居者目線に立って立地を選ぶことが基本中の基本

不動産投資では収益物件を購入する立地がとても重要になります。立地を間違えるとまったく入居者が決まらなかったりするものです。

また、入居したい人が便利だと思わない立地を選んでしまえば、設備を充実させても当然ながら入居者を見つけることは難しくなります。

では、どのような場所で築浅ワンルームマンションを検討すればよいのでしょうか?ポイントとしては「住みやすさ」がキーワードとなるでしょう。

ワンルームマンション投資の立地が良いエリアとは?

都内築浅ワンルームマンションのエリアを選定するときに、一番重要なのが家族で住みたい街と1人で住む街というのは、選定基準が変わってくるということです。

家族向けで人気の街の特徴は、住まいの近くに大きな病院があるとか、子どもが遊べるような施設や公園などがある。これが家族向けだと思います。

一方、単身世帯に人気の街は、飲食店を中心とした店舗が街にたくさんあるというほうが一人暮らしの人には喜ばれます。

ひと言で言えば、街に活気があるということでしょうか。活気がある街にある施設と言えば、飲食店、カフェ、薬局などでしょうか。

つまりは、一人暮らしの人が生活するためにお店が充実しているということなのです。

ターミナル駅に一本で行けるエリアを探索しよう

また、ターミナル駅に一本で行ける駅周辺をターゲットエリアにするというのもよいでしょう。

新宿や渋谷、東京といったターミナル駅に電車で 15 分以内に行けるエリアは有望です。そういう場所には大学や会社が密集しており、学生も多いもの。入居需要も当然ながら高いと言えます。ターミナル駅にアクセスが良い駅から徒歩8分以内に、築浅のワンルームマンションがあれば特に狙い目です。

人通りが少ないエリアは人気がない

1人で入れるような飲食店が休日は閉まっていたり、カフェやスーパー、ドラッグストアなどの店舗数が少なく、単身世帯には暮らしづらいエリアは基本的に投資対象になりません。

一般的にオフィスエリアとして有名な街は、あまり投資向きでないということになります。

商店街がある街は狙い目

商店街がある街は狙い目です。そのエリアに商店街があれば、一人暮らしで日常生活をする上で必要なものは商店街の中の店舗で購入することができます。

商店街があることでイベントやお祭りなども定期的に行われたり、新しいお店ができたりして街に活気が生まれます。平日だけでなく休日でも賑やかなので、この街に住みたいなという気持ちにさせてくれるのも大きなポイントです。

一人暮らしの 20 代女性が住みたいかどうか?を考える

都内築浅ワンルームマンション投資では、ターゲット層は基本的に「一人暮らしの 20 代女性が住みたいかどうか?」という基準でエリアを探すべきです。

お薦めするエリアの一例としては、三軒茶屋、笹塚、学芸大学、大井町、高田馬場、五反田、中目黒、御茶ノ水、中野、荻窪、武蔵小山、吉祥寺があります。

これらのエリアには、単身世帯、つまり一人暮らしの人が住みやすい店舗が充実していて、人気の駅でネームバリューがあるのに、それほど家賃相場が高くなく、商店街も充実しているなどがあります。

たとえば、東急田園都市線三軒茶屋駅などは渋谷駅から2駅目なのに、それほど家賃が高いというわけではありません。昭和女子大学という学校もあり、商店街が充実していて、飲食店も多いと言えます。

また東急目黒線武蔵小山駅ですと、2020年に三井不動産レジデンシャルと旭化成不動産レジデンスが提携して開発する駅直結の「パークシティ 武蔵小山ザタワー」が建築されます。

2021年には、住友不動産がその物件の隣にマンションを建築、2026年から2030年には三菱地所レジデンスがマンション建築を予定しているなどとも言われています。

このため、これから2030年にかけてファミリー層を中心に2400世帯が武蔵小山のエリアに入居するとも言われ、店舗も一気に増えるでしょう。その便利さゆえに単身世帯の人口も増加する可能性が高いです。

こういった再開発がある場所も注目すべきポイントとなります。

急に人気が出たエリアでの物件選定には注意する

私たちが提案するものは、城西地区(新宿区・中野区・杉並区)城南地区(港区・品川区・目黒区・大田区・世田谷区・渋谷区)が中心です。理由は、昔から人気があって安定した入居需要があるからです。

安定した入居需要があれば、募集をすればすぐに入居者が決まり、安定した収入に繋がります。

しかし急に人気の出た地域は、入居需要が安定していないケースが少なくありません。

たとえば、リクルートの「住みたい街ランキング」では穴場だと思われるスポットとして、東京メトロ日比谷線の北千住駅を1位に挙げています。

なぜ北千住に人気が出ているかというと、ここ数年で街のイメージが大きく変わったからです。以前は駅前には赤提灯の居酒屋が並ぶ、中高年の親父さんの聖地のようなイメージでした。

2012年には、東京電機大学が駅前に移転。地域連携を想定して学食を住民に開放したり、近隣の住民と触れ合うイベントなどで積極的に繋がりを生み出して、一気に文教地区のイメージへと様変わりしました。

街に学生が多くなったことで、最近ではおしゃれな飲食店なども開店しています。

こうした理由が重なってイメージが変わったのですが、急激に人気が出た地域は人気が廃れるのも急に訪れる可能性があります。

つまり、急に変わった街は別の方向にも変わりやすく、不確定要素が大きいということが言えます。そうした不安要素を避けるためにも、急に人気の出たエリアは投資対象としないほうが無難と言えるでしょう。

城東地区についてもあまり投資対象としてお薦めしていません。

城東地区は、下町で観光地としての人気は高いのですが、私たちが投資対象として掲げているワンルームマンションに住みたいという所得の高い入居希望者はあまり多くありません。

城東地区を対象とすると低所得層をターゲットにしなければならないため、入居者の質も悪くなりがちです。

低所得者の入居者がすべてというわけではありませんが、傾向として家賃の滞納が発生しやすかったり、高齢者の孤独死が起きたり、または近隣に迷惑をかける入居者の出現などにより安定した家賃収入に悪影響を及ぼす可能性があります。

マンションのブランド(マンションシリーズ)も注目しよう

実は、不動産投資を対象としたワンルームマンションにも、いろいろなブランドがあります。不動産投資を専門に行っている不動産会社が開発したワンルームマンションですが、立地や設備、建物管理などに違いがあります。

特に建物管理は、物件の収益を上げるためにとても重要な要素になってくるので注意しておきましょう。以下でオススメのブランドを挙げてみました。

・「フェニックス」「ZOOM」

トーシンパートナーズが販売しているマンションシリーズ。1990年、東京都新宿区にフェニックスシリーズ第1号となるマンションを販売。都内で1万戸以上の管理件数があります。

・「スカイコート」

スカイコートグループが販売するマンションシリーズ。1969年設立の長い歴史と実績に基づいた物件を提供。 24 時間365日体制の建物管理のサポートに強みがあります。

こうした物件は、ワンルームマンションの立地環境や住居設備が充実していて、建物管理も価格も手頃で、質の高いサービスを提供していることが多いと言えます。

物件周辺の住環境を特に重視する

ターゲットにしたいエリアが決まり、そこで投資をしたいという物件が見つかれば次には住環境を調べます。

現地に行く前にインターネットのマップなどを見ながら、どのような住環境なのかをチェックします。たとえば、グーグルマップのストリートビューを見ればある程度現地の状況を把握することができます。

「駅から帰るときに深夜までやっているスーパーに立ち寄れる」とか「スーパーの向かいには薬局がある」などがわかります。物件まで大きな道路を通ってアクセスできるのかということも注目のポイントです。

グーグルマップを見ながら、女性1人では安心して歩けないという場所を見つけることもできるのです。

検討対象になる物件はオーナーチェンジになっているケースがほとんどで、入居者が住んでいる状態になっています。部屋の中のチェックは物件のパンフレットや賃貸借契約書の家賃・敷金、契約日・契約期間などの契約条件などを見て把握します。

具体的な部屋のチェックポイントは次の通りです。

・物件は住みやすい間取りかどうか?(三角の間取りだったり、梁(はり)が多くないか)
・設備が充実しているか?(2口コンロ、エアコンなど、人気がある設備が揃っているか)

現地調査は日中を重視する

インターネットなどで物件周辺の調査が終われば、いよいよ現地調査を行います。基本的には日中の現地調査ができれば、問題はないと思います。

現地調査でチェックすべき項目は、インターネットで調査をしたときに存在した店舗がきちんとあるかどうかをチェックしてください。基本的には入居者が住みやすい街かどうかという視点でチェックします。

具体的にチェックをする周辺環境の項目は次の通りです。

・周辺にコンビニやスーパーがあるかどうか?
・夜遅くまで営業している飲食店があるか?
・対象物件までの距離と、信号や踏切の待ち時間など
・対象物件へのアクセスは大通りを経由するか?

対象物件までの距離で見落としがちなのが信号や踏切の待ち時間です。意外と長い時間待たなければいけない信号や踏切は、現地に行ってみないとわかりません。

その信号や踏切があるだけで徒歩 10 分圏内が 15 分になることもあるので、よく確認をしておきましょう。

物件へのアクセスは女性が夜中に1人で帰っても危険でない程度に、大通りを経由する経路になっているかどうかをチェックしましょう。また大通りに近い環境が重要なので、多少の車の騒音には目をつぶりましょう。

物件までのアクセス途中に寄ることができる夜遅くまで営業している飲食店があるかどうかもチェックポイントです。街全体を購入するつもりで細かいところにも目を配っておきましょう。

同じマンションで空室があれば内見するとよいでしょう。賃貸マンションを探していると不動産会社に伝えれば、喜んで見せてくれるはずです。

部屋に入って雰囲気を確かめましょう。

小松 圭太(こまつ けいた)
株式会社クレド 代表取締役。不動産会社に勤務して19年、独自の営業理論によりトップ営業マン・取締役営業部長を経験。2011年12月、中古マンション投資をメインに扱う株式会社クレドを設立。売主・買主だけの関係ではなく、お互いWin-Winの関係を築くことを信念として、これまでにセミナーを100回以上開催した実績がある。