不動産投資で重要なことが何かを考えた時、すぐ頭に思い浮かぶのは「いい物件選び」や「低金利で融資を受けること」だろう。だが実は極めて大切であるにもかかわらず、意外とおろそかにされがちなのが「物件の管理」だ。所有する物件の管理はたいてい管理会社に任せることになるはずで、管理会社選びは投資を成功させるうえでとても重要だ。管理会社の選び方、避けるべき会社の共通点を見ていこう。

(本記事は、小松圭太著『貯蓄なし、経験なし、度胸なしのあなたにもできる都内築浅ワンルームマンション投資』=秀和システム、2018年4月23日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

【『都内築浅ワンルームマンション投資』シリーズ】
(1)「空室リスク対策には一棟所有」は本当か? 著者が築浅ワンルームマンション投資を薦める理由
(2)不動産投資が続かなくなる5つの理由 失敗しないための3つのポイント
(3)不動産投資成功のパートナー「管理会社」の選び方 悪徳な管理会社の共通点とは?

都内築浅ワンルームマンション投資
(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

管理で失敗するといつまで経っても収入は増えない

不動産投資で継続的に安定して収入を得るためには、賃貸管理が重要になります。賃貸管理で最も重要なのが入居者募集です。

空室が続けば家賃収入を得ることはできません。入居者募集が強い不動産会社に任せることが必要です。

ワンルームマンションの不動産投資では、一般的に物件を購入した不動産会社に賃貸管理を依頼することになります。ところが、不動産を購入した会社が自分たちの利益しか考えていなければどうなるでしょうか?

早晩、不動産投資は行き詰まり、最悪手放すことになります。そのようなことがないように、優秀な不動産会社をパートナーとすることが大切です。

ところが、残念ながら売ったら終わりという不動産会社が多いのも事実です。

だからこそ売買契約を結んだら、それで終わりという不動産会社を選ぶのではなく、アフターサービスも充実している会社をパートナーにすると安心して投資をすることができるはずです。

物件購入から管理まで不動産会社とは長い付き合いになります。

管理を委託するにはどのような体制なのか、すぐに対応してくれるのかなど事前に聞いておくことが大切です。

不動産業界の悪しき習慣のある管理会社は避ける

都内築浅ワンルームマンション投資
(画像=George Rudy/Shutterstock.com)

ワンルームマンションの賃貸管理会社の中には、下請け業者と癒着をして非常に高い金額を原状回復費用としてオーナーに請求するなど、悪徳としか思えないような会社もあります。

また、賃貸管理会社の中には入居者募集の報酬やリフォームの費用など、使途が不明な支出が多く管理を依頼すればするほどオーナーの取り分がなくなっていくところも少なくありません。

そのような不動産会社に引っ掛からないようにする必要があります。

注意しなければならないのが、知名度があったり、上場企業だったりしても、悪徳な管理会社は存在するということです。

ネームバリューや知名度に惑わされることなく、会社の方針や考え方など総合的に判断ししたいものです。

賃貸管理会社の仕事とは?

賃貸管理会社の仕事で最も重要なのが入居者募集ですが、そのほかにもいろいろな業務があります。

ちなみに当社の業務委託システムでは、賃貸管理の内容は次の通りになります。

・賃貸借契約条件の設定および賃借人の募集と選択
・賃貸借契約書・更新契約書等その他必要書類の作成および契約などの諸業務
・賃貸借契約等に関する賃料等の金員の授受およびオーナーへの振り込み業務
・賃貸借契約書類の保管および鍵の保管
・賃借人の賃料等の遅延・滞納の際の督促
・賃貸借契約解約時に伴う諸業務(補修箇所の点検、敷金の計算、鍵の回収)ならびに補修工事の手配および実務
・賃貸借契約違反等の対応(注意・契約解除・更新拒絶等)および室内設備故障等による業者手配および実施
・敷金の保管

当社は入居者の募集から退去の立ち会い、処理までトータルにきめ細かなサービスを提供しています。

賃貸管理会社によって、サービスの質が異なったり対応していないサービスもあったりするので、事前によく調べておくことが大切です。

定額できちんと管理してくれる会社に依頼する

空室リスクを減らすための方法として、サブリース契約(家賃保証契約)という仕組みがあります。ワンルームマンション投資では、多くの人がこのサブリース契約を導入して、家賃収入を確保しようとしています。

しかし、 30 年以上の長期で部屋を借り上げるサブリース契約は、その実は2年ごとの更新だったりします。そして、家賃の減額などに同意しなければ一方的に契約を切られる場合もあります。

そのような状態で安定した家賃収入を得られるでしょうか?

恐らく無理なのではないかと考えています。

ではどのような賃貸管理が必要でしょうか?そこで私たちがお薦めするのが、賃貸管理に必要な業務を不動産会社に委託する業務委託システムです。

当社の場合、毎月3,500円で当社と業務委託契約を結ぶことによって、賃貸管理業務をすべて委託できるシステムです。

長期保有を前提とした守りの資産だからこそ、管理に関わる費用はなるべく安く抑えたいものです。特に入居者の入退去のときには、賃貸管理でもさまざまな費用が発生するので、定額で安く抑えたほうが収入の見通しも立ちやすいですし、長いスパンで考えると管理の報酬の違いで数十万円の差が出る可能性もあります。

入居者募集の方法で管理会社の差が大きく出る

賃貸管理において最も重要なことは、空室をいかに短い期間で埋めることができるかということです。賃貸管理を行っている不動産会社は、いろいろな手法で空室を埋めるための工夫をしています。

どのような工夫をしているのかを調べてみるというのも手でしょう。

まずは入居者募集に関して、賃貸管理会社がどのくらい素早く動けるか?ということに注目をしてみましょう。

退去することは、事前に入居者から伝えられるので、その時間を入居者募集に有効活用できるのかが重要なポイントとなります。

たとえば、入居者が退去するときの理由は転勤などの突発的な事情が多いものです。

しかしながら私たちの会社が入居者と賃貸借契約を結ぶ場合は、退去予告が2カ月前となっていてかなり早い段階で入居者募集を始めることが可能なのです。

この2カ月の間に次の入居者を見つけられる可能性があります。実は2カ月前予告だと、入居者が契約が切れる1カ月前に引っ越してしまうこともよくあります。そうすると家賃が発生しているのに内見もでき、そのまま契約が決まれば二重に家賃が入るケースもあるのです。

こういう小さな積み重ねが意外と結構な違いとなってくるのです。

オーナーの利益になるように動いてくれるかがポイント

まず、入居者を募集する家賃の設定をどのようにしているかです。周辺相場やほかの部屋を含めて間違った賃料設定をすれば、入居者が見つけられなくなってしまいます。

たとえば、所有している物件と同じようなワンルームマンションの家賃設定が8万5,000円なのに、自分のマンションが9万円で家賃設定をしていたら、入居希望者は安い家賃の物件を選ぶはずです。

これではいつまで経っても空室は埋まりません。

そこで、入居者を募集するときには家賃設定をどうするかということを徹底的に調査しなければいけません。そうしたことを賃貸管理会社が行ってくれるかどうかが第一のポイントになります。

次に入居者募集時にも工夫があります。最近ではインターネットで入居者募集をするケースが一般的になってきました。いかに検索に引っかかりやすい条件を考えるかがポイントになっています。

たとえば、8万円で募集すると7万円代で探している人たちには検索されないものですが、家賃7万5,000円、管理費5,000円とすれば、7万円代で検索している人たちにも検索されるということがあります。

管理費はオーナーのさじ加減であり、金額は基本的には何の根拠もありません。

入居者募集は、家賃と管理費の配分を変えながら募集をすることも1つのテクニックです。

入居者募集では、私たちのようなオーナーの代行をする賃貸管理会社から、入居希望者に強みを持つ賃貸客付け仲介会社という専門の不動産会社に依頼することも多いです。

賃貸客付け仲介会社がより積極的に動いてくれる1つの作戦として、賃貸借契約の成約時に報酬を出すということを行っています。この報酬のことを業界用語でAD(advertisement/広告費用)と呼んでいます。

では、ADの費用はどこから徴収するのかと言えば入居者です。保証金や礼金という名目で回収するので、オーナーの持ち出しになることは基本的にはありません。

もちろん、すべての物件で賃貸客付け仲介会社に報酬が必要になるのかというと、そういうことではありません。

たとえば私たちの会社では、入居希望者からの問い合わせの数に当たる「反響数」と、その中からどのくらいが内見に繋がったのかという「内見数」に基づき、ADの比率を考えています。仮に入居希望者からの反響がほとんどない場合は、ADをゼロから 50 %にしてみるなど状況を見ながらADの額を変えています。

このようにしっかりとした戦略を持って、柔軟に対応してくれる賃貸管理会社を選ぶことも大切です。オーナーにとっては、数カ月空室が続けばそれだけ家賃収入が減ってしまいますから、状況に合わせて小回りの利く対応を取ってくれるところがよいのです。

たとえば、私たちの会社では問い合わせの反響数が何件で、内見数がどのくらいありましたなどの入居者募集の状況について、1週間に1度メールで報告をすることにしています。

たとえば反響数も内見数も上がっていれば、引き続き同様の条件で継続することを提案します。反響数も内見数も減っていて効果が見られない場合は、家賃設定を見直したり、ADの提案をします。メールでの打ち合わせで翌週の営業戦略を考えていきます。

ところが、入居者募集のマーケットをきちんと分析しそれに対応した戦略を立てない状況で、手数料をもらっている賃貸管理会社も数多く存在します。

賃貸管理を依頼するときには、どのような体制で対応をしてくれるのか確認をしておくとよいでしょう。

賃貸管理会社で休日がある会社は要注意!?

賃貸管理会社の中には会社全体で休みを設けている会社があります。一般的な会社では当たり前のことです。

しかしながら、賃貸管理会社が会社全体で休みを取ってしまうと、その会社が休んでいる間入居者を見つけてくれる賃貸客付け仲介会社からの問い合わせに対応ができないということになります。

たとえば、前述した賃貸客付け仲介会社から、物件の内見をしたいとか物件の概要について問い合わせが来ても、休みだから対応することができません。

反響があったとしても、休みがあることでそれを内見や成約に繋げることができなくなってしまうのです。

1日休めば、入居希望者が問い合わせできる機会を1日失うことになります。土日休みという賃貸管理会社もありますが、この場合2日分入居希望者が問い合わせる機会を失っているということになります。

私たちの会社では定休日は基本的に設けず、休日でも対応しています。

営業時間外でもどうしても部屋を見たいというお客様のために、会社の電話を転送して対応していたりします。

また、意外と重要なのが内見をするための部屋の鍵の保管場所です。

賃貸管理会社の中には、会社で鍵を管理しているところも少なくありません。そのような場合は、賃貸客付け仲介会社の社員がわざわざその会社まで鍵を取りに行かなければなりません。

その時間のロスが成約を逃すこともあるのです。

細かいところですが、自分が依頼をする賃貸管理会社の休日を聞いておくこと、そして休日の対応も確認しておくことが重要です。

小松 圭太(こまつ けいた)
株式会社クレド 代表取締役。不動産会社に勤務して19年、独自の営業理論によりトップ営業マン・取締役営業部長を経験。2011年12月、中古マンション投資をメインに扱う株式会社クレドを設立。売主・買主だけの関係ではなく、お互いWin-Winの関係を築くことを信念として、これまでにセミナーを100回以上開催した実績がある。