ペット医療費の高さに驚いてペット保険サイトを閲覧し、通院・手術・入院をフルカバーするタイプと手術・入院特化型、どちらの保険がよいのか迷ったことはないだろうか。

ペット保険は義務ではないからこそ、ペットの治療に本当に役立つ保険を選びたい。そこで、実際の治療費を踏まえた上で、フルカバータイプと手術入院特化型保険の払込保険料と想定されるペットの治療費をシミュレーションしてみよう。

ペットの治療費 高額化する手術を伴う入院

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(画像=PIXTA)

全額自己負担で高額になりがちなペット医療費の中でも、通院が主体の内科的治療に比べて手術を伴う入院は高額になりやすい。

犬種によって罹患しやすい病気やケガが違うので、ここでは一般社団法人ジャパンケンネルクラブ発表の、2017年(1月〜12月)最多登録犬種であるプードル(7万5,149頭中、7万4,158頭はトイプードル)の治療費例を取り上げる。治療費は動物病院ごとに設定されているので、紹介する治療費は参考程度に考えてほしい。

プードル、とりわけ小型犬のトイプードルに多いケガ・病気トップ3は外耳炎・骨折・膝蓋骨脱臼(パテラ)と言われている。

外耳炎はプードルに限らず、耳が垂れている犬種がかかりやすい病気の一つだ。耳の洗浄が主となる通院治療、外耳炎治療薬投与で総額8,000円前後の治療費はかかると考えたい。

トイプードルの骨は細く、飼い主の腕から飛び降りる、または椅子から落下することで骨折することもある。前肢の骨折治療では、5日間の入院で10万円、入院中の手術で25万円、術後の抜糸・経過観察のための10日間の通院で10万円、総額45万円の治療費が支払われた事例もある。

膝蓋骨脱臼(パテラ)はプードルに多く見られる遺伝性・後天性の後肢膝関節脱臼であり、症状が重いときは手術が必要になる。手術で14万円、15日間の入院で15万円、3日間の通院で1万円、総額30万円の治療費というケースもある。

高齢猫がかかりやすい慢性腎不全 治療の長期化で高額になる

猫に多く見られる病気には膀胱炎・尿結石・慢性腎不全がある。

猫は泌尿器系の病気に罹りやすく、一度膀胱炎・尿結石になると再発することもある。軽度な膀胱炎の場合、検査・診察・抗生剤の注射と内服薬、通院2日間で9,000円程度の治療費で収まることもある。より精密な検査と点滴などの措置が必要な重い症状だと通院8日間で7万円以上となるケースもある。

尿結石では軽度の場合は検査と診察、時にはカテーテルによる尿道洗浄を行い、通院1〜2日で1万円未満〜3万円程度の治療費となり、その他、自宅で猫の尿結石専用療法食の給餌で結晶の溶解を図る。療法食で結晶が十分に溶解しない場合や結晶が大きい場合は手術になるが、手術・入院費用は少なくとも総額10万円程度、5日間の検査・手術・入院で30万円弱と高額になるケースも見られる。

高齢猫の3〜4割が発症すると言われる慢性腎不全は内科的治療が主体である。緊急入院と、頻繁な点滴と度重なる検査を伴う長期間の通院治療が必要な場合は、例えば4日間の入院費6万円と60日間の通院治療費18万円で、治療費の総額が24万円に上ることもある。

犬・猫または種類によって違う 最適な保険のタイプ

「せっかく掛けているペット保険が役に立たなかった」という事態を避けるには、ペットに将来起きるリスクに対応できる保険を選ぶことが大切だ。ペット保険を選ぶ際に保険料は大きなポイントになる。それに加えて、ペットが犬か猫か、または犬種や猫種によって違う罹患しやすい病気やケガを知った上で、幅広く補償する保険、または手術・入院特化型保険のどちらが役に立つかを見極めたい。

次の項目では、先に取り上げたトイプードル(小型犬)と猫がペット保険に加入するのを想定して、それぞれの保険料を試算する。対象となるペット保険は、ペット保険大手であるアニコム損保の通院・手術・入院を幅広く補償する保険「どうぶつ健保ふぁみりぃ」と、手術・入院特化型保険「どうぶつ健保ぷち」の2タイプであり、トイプードルと猫はどちらも2歳のオスであると想定する。トイプードルの平均寿命を14年、猫が15年として、保険契約時からの生涯払込保険料(見込み)も紹介する。