国税庁の発表による路線価(2018年1月1日時点)は、全国平均で前年比0.7%のアップ、これで3年連続の上昇だ。大都市圏の好調が際立つ構図は変わらず、都道府県所在地の最高路線価で下落したのは、茨城県(水戸市)の▲2.1%だけだった。特に東京都の勢いは衰えを見せず、平均で4.0%上昇した。前年よりも0.8ポイントアップしている。

根強い人気を維持する都心部

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(画像=PIXTA)

相変わらず都心5区(新宿・渋谷・中央・千代田・港)の人気は高い。インバウンドを背景としたホテル・商業施設やオフィス需要がその背景だ。

東京国税局税務署別の最高路線価トップは京橋税務署(銀座中央通り)の4432万円/㎡でバブル時を抜いている。続いて新宿署(新宿通り)、四谷署(新宿通り)、麹町署(晴海通り)、渋谷署(渋谷駅側通り)、日本橋署(外堀通り)、麻布署(青山通り)が並ぶ。

ただし、その勢いはやや鈍化傾向にある。例えば前述の銀座中央通りの場合でも、今年の上昇率は前年比9.9%と、前年(26.0%)ほどではない。

すでに都心5区は価格が上がりすぎ、上昇余地は乏しい。投資家層にも敬遠する空気が漂い始めた。

周辺部に広がり始めた地価高騰

地価上昇は、都心5区の周辺エリアにも広がり始めた。

昨年の東京国税局税務署管内における最高路線価の対前年変動率ランキングは、上位を京橋・麻布・四谷・渋谷といった都心5区が独占し、10%以上の上昇は14地点のうち7地点と、半分以上を占めていた。

今年はそれが様変わりしている。トップこそ都心5区の麻布署(青山通り)の15.8%だが、2位以降は神奈川署(横浜市鶴屋橋北側14.9%)、川崎南署(川崎駅東口広場通り14.9%)、足立署(北千住駅西口駅前広場通り14.5%)、横浜中署(横浜駅西口バスターミナル前通り13.3%)、玉川署(玉川通り13.2%)と周辺エリアが続く。10%以上の上昇地点でも、13地点のうち9地点を周辺エリアが占める。都心での地価上昇が周辺エリアに波及した格好だ。

例えば、玉川署(玉川通り)の上昇率13.2%は前年より1.2ポイント高い。魅力の一つは、駅直結の商業施設だ。約180店舗のショップ・レストランが入居する2011年開業の二子玉川ライズは、入館者数が3000万人を超える(2017年)など、このエリアの集客の要として機能している。

もう一つは、高い利便性だ。ニコタマの愛称で知られる二子玉川駅は、田園都市線(東京メトロ半蔵門線直通)で渋谷まで15分、大井町線で自由が丘まで10分ほどの位置にある。2017年度の乗降客数も10.2万人と、前年より1.7%伸びている。

足立署(北千住駅西口駅前広場通り)の上昇率14.5%も、前年より2.8ポイントも高い。日比谷線・千代田線・JR常磐線・東武伊勢崎線・つくばエクスプレスが乗り入れ、東京駅まで約20分の高い利便性を誇る。旧千寿小学校跡地に建設された東京芸術大学(音楽環境創造科)をはじめ、東京電機大学・帝京科学大学など複数の文教施設誘致にも成功、街のイメージアップや賑わい創出に寄与している。駅周辺では、マンション建設も目白押しだ。

横浜・川崎の地価も大きく上昇

地価上昇は周辺県にも波及している。神奈川県内では、川崎南署(川崎駅東口広場通り14.9%)、横浜中署(横浜駅西口バスターミナル前通り13.3%)と、上昇率は都心部や都区内周辺エリアと比べてもひけを取らない。

キーワードは再開発事業だ。鶴屋町地区には今年2月、リッチモンドホテルが開業した。横浜駅西口では、2020年にJR東日本が26階建てビルを開業予定だ。川崎駅では、東口に2019年にも商業施設「川崎ゼロゲート(仮称)」が開業、将来的にはさらなる再開発計画も検討中だという。

一方で、県内全域が好調という訳ではない。最高路線価の上昇ベストテンのうち8つは横浜市・川崎市が独占した一方で、小田原・横須賀・厚木は横ばいが続く。利便性が悪く、高齢化・人口減が減少するこうしたエリアの活性化策をどうしていくかは、今後の課題だ。(ZUU online 編集部)