米国では決算シーズンが本格化し、好決算が相次いでいることから株式市場にも熱気が戻っている。だが、ウォール街の市場関係者からは「好決算の陰で世界経済のピークアウトが近づいている」の指摘もあり、足もとでの強材料と将来的な懸念材料の折り合いをどうつければいいのかが悩みの種となっている。加えて、モラー氏解任観測がくすぶり続けていることも気がかりだ。
1~3月期の米企業決算見通しは20%の増益か?
前述の通り、米国では1~3月期の決算発表が本格化しているが、先陣を切るかたちとなった大手銀行が軒並み好決算となり、米株式市場は活況を呈している。
米調査会社ファクトセットの調べによると、4月13日現在の1~3月期のS&P500構成銘柄の利益は17.3%の増益となり、2018年第3四半期には4四半期連続で過去最高を記録する見通しだ。。
宴は年内に終了? モルガン・スタンレーも警告
ただし、好決算は昨年末に成立した減税法案の恩恵を受けており、既に織り込み済みとなっている可能性が高い。
たとえば、好決算を連発した金融株の動きが冴えないのもこのためだとみられている。金融は国内の業務比率が比較的高いこともあり、減税の恩恵を最も大きく受けるセクターと考えられていた。要するに「噂で買って事実で売る」展開となっているわけだ。
同様の指摘はモルガン・スタンレーからも挙がっている。同社は4月17日のリポートで、財政出動が短期的には成長を後押しするが、その効果はすでに「織り込み済み」の公算が大きく、市場の「宴は終わりに近い」と指摘している。
米景気サイクルが終盤に差し掛かる中、米財政赤字の拡大とFRB(米連邦準備制度理事会)による利上げでイールドカーブ(利回り曲線)のフラット化が進み、株価は年内にピークアウトするとの見立てである。