『2020年東京オリンピック』のメインスタジアムとなる新国立競技場。一時はメディアで大きく取り上げられた同競技場も最近は話題になることも少なくなった。そうしたなか、株式市場では9月20日に大成建設 <1801> が5985円と年初来高値を更新した。大成建設といえば、新国立競技場の建設を急ピッチで進める大手総合建設会社だ。今回は新国立競技場と同社の現況をみてみよう。

日本の建築技術、マネジメントは素晴らしい

大成建設,株価
(写真=Thinkstock/Getty Images)

新国立競技場といえば2013年の「新国立競技場問題」を思い出す人も多いことだろう。当初は、英国の建築設計会社ザハ・ハディド・アーキテクトのデザインが採用されたが、予算計上した総工費が約1300億円なのに対し、実際は約3000億円もかかることが発覚した。しかも、2019年のプレオープンとして予定していたラグビーのワールドカップに間に合わない可能性も濃厚となり、メディア等でも大きく取り上げられた。その後、2015年に再入札となり大成建設と建築家の隈研吾氏などのチームによる総工費1490億円、2019年11月末完工予定案が採用され、2016年末に着工した。

日本スポーツ振興センターのWebサイトでは、そのスケジュールと進捗状況が公開されている。2016年末に着工したプロジェクトは、すでに地下工事を終え、現在はスタンド部分の基礎工事と鉄骨工事を進めている。2016年のリオ五輪や2018年開催予定の平昌冬季五輪では、時期が迫っても未完成なシーンがメディアで報道されたが、日本のメインスタジアムの進捗状況は目下のところ順調なようだ。スポーツが大好きな筆者としては日本の建築技術、マネジメントはやはり素晴らしいと感心させられた。

建設業界は業績も株価も好調

オリンピックに向けて建設業界は好調だ。国土交通省が調査・発表している「建設投資額」は1992年度の約84兆円をピークに減少、2010年度には約42兆円と半減していた。しかし、その後は増加に転じ、2016年度には52兆円まで回復する見込みである。背景にはアベノミクスによる景気拡大と『2020年東京オリンピック』に向けたインフラ整備がある。

大成建設の2017年3月期は、売上が3.8%減の1兆4783億円と減収だったが、営業利益は19.9%増の1408億円、当期利益は22.8%増の906億円と利益ベースでは過去最高を更新した。前述の「建設投資額」はピーク時から62%低い水準にあるが、建設業者が減り大手のシェアが上がっているため、大手ゼネコンの利益水準は過去最高レベルにあると見られる。

大成建設は2017年3月期に業績の上方修正を繰り返した。前期決算発表時(2016年5月)の会社予想の2017年3月期の当期利益は700億円だった。その後2016年11月に760億円に、2017年4月には905億円に2度の上方修正を発表し、株価はそのたびに上げている。

2018年3月期は、期初(2017年5月)時点の会社予想では、売上は8.3%増の1兆6100億円ながら、最終利益は3.9%減益の870億円となっている。もっとも、すでに発表済みの第1四半期(4〜6月)の受注は8.5%増の3195億円、粗利は13.7%と2.6ポイント改善している。加えて、6月末の受注残は8.6%増の2兆2014億円と年間売上の約1.4倍に達しているのだ。建設業界では実績の売上や利益よりも、受注や受注残、粗利をみるのが株価予想には有効と筆者は考えている。その意味においても、今期も上方修正する可能性が高そうだ。