不動産投資,2022年問題
(写真=PIXTA)

目次

  1. 近年のアパート経営が過熱した3つの要因
  2. 「2022年問題」と言われる生産緑地法とは?
  3. 「ピンチの時こそチャンス」と思うのが真の投資家

東京オリンピックが終わる2020年以降、不動産の価格が下落するのでは?と一部では言われている。 その原因の1つとされるのが、2022年問題と言われる問題だ。2022年以降、宅地の供給が増えて、不動産価格が下落するのではないかと言われている。

東京オリンピック以降の不動産価格はどうなるのか、懸念される2022年問題について考察していく。

近年のアパート経営が過熱した3つの要因

最近になって、ようやく加熱気味だったアパート市場にブレーキがかかってきた理由を振り返ろう。近年のアパート経営が過熱するようになったと考えられる主な要因は以下の3つ。

(1)相続税対策による供給過多
(2)少子高齢化と地方の人口減
(3)2022年問題による農地からの転用

(1)は、2015年に相続税が改正となった結果、課税対象者が広がったことと関係している。改正によって相続税の控除枠が大幅に縮小された結果として、これまで相続税とは無縁だった人も、税金対策を取らなければならない状況に陥った。課税から逃れたい人々が、「土地をそのままの状態にしておくよりも、アパートなどを建てることによって、課税時の評価額を下げられる」と聞きつけた結果、にわか大家が大量に発生したのだ。

このブームに乗ったのが銀行だ。(2)にあるように、すでに人口減が顕著になっている地方では、場所によっては経済の衰退に歯止めがかからない。このような中、特に地方の銀行にとっては、担保付き案件であるアパートローンは数少ない融資先である。

しかし建てる側からしてみると、一時的な家賃保証などにつられてアパート経営に乗り出したところで、素人経営で借り手が見つからないままに保証が切れてしまえば、空室リスクと固定資産税とのダブルパンチになりかねない。金融庁から注意喚起がなされたのも、ある意味、当然のことだ。

「2022年問題」と言われる生産緑地法とは?

続いて(3)にある2022年問題とは何なのか。これは「生産緑地法」のことを指している。

生産緑地法とは、無計画な開発から都市環境を守るために1974年に発令された法律だ。ところがその後の日本経済の発展に伴う土地不足により、市街化区域については原則、宅地並みの課税が課されることになった。これにより、農地の多くが宅地へと変わったが、1991年の改正緑地法によって、翌年から生産緑地地区の指定が始まった。

指定を受けた土地は30年間、農地として管理する必要があり、基本的に土地に手を加えることは許されていない。代わりに、税金面では農地扱いとなって、相続税の納税猶予などの適用も受けることができた。目下、指定を受けている土地の大部分が指定開始初年度に受けたものと見られており、それらの期限がくるのが2022年というワケだ。

これによって多くの土地が2022年以降、宅地用として放出されることになるのではないかと懸念されていたが、今年の5月に緑地法の改正が行われた。主な改正点を見てみると、一定の要件を満たすことによって、

(1)従来の要件「500平方メートル以上の農地」が「300平方メートル」へと変更
(2)指定地区内での直販所やレストランなどの建物設置を許可
(3)生産緑地地区の指定期間延長(30年経過後は10年ごとに延長可)
である。

「ピンチの時こそチャンス」と思うのが真の投資家