(本記事は、大川護郎氏の著書『新聞少年が一代で4903世帯の大家になった秘密の話』ぱる出版、2018年7月26日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

なぜ駅前のワンルームを買ってはいけないのか

新聞少年が一代で大家になった話
(画像=picture cells / Shutterstock.com)

代表的な不動産投資の失敗例を挙げるなら、「不動産屋の言いなりになって買ってしまった」ケースでしょう。

また、「不動産投資本に書いてあることを鵜呑みにして失敗した」という例も珍しくありません。

典型的なのが駅前の狭小ワンルームマンションの購入です。

先生と呼ばれるような年収が高くて仕事で忙しい人たちを対象にしており、所得税が還付できると謳ってはいるものの、実際は管理費も修繕費も負担せねばならず、新築で買ったときが最高家賃であるため、後にお荷物物件になる可能性が高いといえます。

一般的にいえば、「駅前の物件は競争力がある」と思われています。

しかし実際は、ライバルも多いので、空室リスクが低いわけではありません。

いずれにせよ、ある程度の戸数を持つことでリスクヘッジができます。

理想をいえば、1部屋の平米数ができるだけ広い物件がよいでしょう。

そして、家賃下落を想定しておき、収支がマイナスになる物件は買うべきではありません。

不動産を所有することを前提に考えた場合、基本的に駅前の木造新築ワンルームは最悪です。これは不動産屋が儲けるための物件です。

駅前という好立地にあり、見かけの利回りも非常に高く新築なのに利回り9~10%です。これを読んでいる皆さんも、ちょっと買ってみたいと思いませんか?

しかし、利回り9~10%といっても、それが最大家賃です。それが新築の最もたる欠点です。

最大家賃が買った瞬間で、あとは下がる一方。しかも地方の木造は下がるスピードが早いです。

私の管理データからすると、ワンルームの平均入居期間は1年3ヵ月です。1年3ヵ月ごとに広告料がかかるし、入れ替えの度に家賃が下がります。

リフォーム代も発生しますし、近隣に競争相手の物件が増えている可能性もあります。

首都圏でもそのような新築木造アパートが流行っていると聞いたことがあります。

繰り返しますが、新築ワンルームアパートは不動産屋が儲けるための商品です。

「駅前」「木造」「新築」というキーワードで売りやすいのです。新築区分マンションも新築木造ワンルームアパートも、どちらも一緒で買ってはいけない物件です。

不動産投資ではとにかく広い物件を買うことが鉄則です。大は小を兼ねるけれど、小が大を兼ねることはないのです。

今、駅前のワンルームで利回り%あったとして、10年後にこの家賃で入るのかを検討する必要があります。

皆さんの投資エリアはどうか知りませんが、少なくとも私のエリアであれば、基本的に家賃は半分に下がります。新築で6万円だった物件は、10年経ったら家賃は3万円に下がります。

「その家賃で借金が返せるのか?」ということです。利回り9~10%だったのが、利回りが4.5%に下がったら払い続けるのは難しいでしょう。

「自分は金利2%だから大丈夫!」と思うかもしれませんが、変動金利のリスクもあります。

少し前までの不動産投資のトレンドは、「頭金ゼロで物件を買う」というハイレバレッジを好みました(現在、金融機関はそこまで開いていません)。

フルローン、オーバーローンについて「危険だ!」という人もいますが、私は返済ができれば問題ないと思います。

家賃の下落、修繕費、広告費、あらゆる出費に耐えられるのであれば、どれだけハイレバレッジでも構いません。

都会のリスクがもっとも高い!?

私はよく「ワンルームには手を出してはいけない」と言いますが、15平米も満たない狭小ワンルームはリスクが高く、100平米レベルの広いワンルームなら需要があると考えます。

もちろん、よく見かける中古の3点ユニットの狭小物件は、利回り30%以上でない限り避けるべきです。

ちなみに、家賃3万円の物件が東京・大阪・姫路にあったとして、「どれが一番お得ですか?」と聞かれた場合、皆さんならどう答えるでしょうか。

私は迷わず「姫路」と答えます。

普通であれば、東京を選ぶかもしれませんが、私は都市のリスクが最も高いと思っています。私からすると、東京や大阪といった都会の物件は需給バランスが崩れているように感じます。

都市は土地値が高いため、同じ家賃でも姫路のほうが広い部屋を購入できます。

私は、大阪市内にある某区が世界一安いワンルームだと認識しています。

3点ユニットのワンルームは、新幹線が停まる新大阪の駅から近いにもかかわらず、非常に家賃が低いです。築古ならワンルームで2万円以下の物件も珍しくありません。

対して、東京23区の家賃水準は高いです。

3万円以下の物件は探せば見つかりますが、「風呂なし・6畳」というイメージです。一般的な狭小ワンルームの価格帯は4~5万円くらいでしょう。

これがJR山手線の駅や山手線の内側になれば、もっと高い家賃がつきます。

そもそも東京に住む人は地方よりも平均年収が高いので、高スペック・好立地の物件が好まれます。しかし、そのような物件は金額も高く利回りも低いものです。

23区でよくあるのが、大きな幹線道路沿いに背の高いマンションが建てられ、周囲100メートル圏内に100件以上ライバルがいるというケースです。

実際、都心に区分物件を持っている投資家の話を聞いても、いくら「立地が良いから」といって競合も多いので、客付けがラクというわけではないようです。

そんなわけで私は「都市が良くて地方はダメ」というロジックは妄想だと考えています。

今後は人口減少が加速する一方で、より格差が広がるため、満室経営ができていたマンションでも、10年後に勝ち残るのは難しいのではないでしょうか。

管理会社への丸投げは厳禁

管理会社の物件管理においても失敗が多発しています。

私も正にそうですが、今よりもずっと小規模のときから、所有物件が1000件くらいになるまで任せていた管理会社がありました。

その会社と共に成長したような関係ですが、その会社は自社でワンルームを開発するようにまでなりました。ただ、満室になるまで年がかりのようでした(私の物件は、建った瞬間に満室なっていましたが)。

その管理会社は運営がうまくいくようになったら社員に福利厚生という名目で慰安旅行などをして、大家の許可もなしに3日間も連絡が取れない状況になりました。

このように、経営が安定してくると、私の物件をないがしろにするようになったのでした。

こういったケースは決して珍しくありません。

また、客付けの強い管理会社を謳っている場合には、管理には力を入れていない例もよくあります。客付け営業マンの報酬は基本給プラス歩合給の人が多く、部屋を決めてしまえばアフターフォローが手薄になりがちです。

そうした管理会社に物件管理を丸投げした結果、空室だらけの荒れた状態に陥ってしまうこともあります。

シェアハウス投資に手を出してはいけない

これだけは手を出してはいけない不動産投資の一つとして、「シェアハウス投資」が挙げられます。

私が知る限り、シェアハウス投資で成功しているのは、東京で外国人をターゲットにしたものだけです。それ以外に成功している人を見たことがありません。

シェアハウスは基本的に団体行動、集団生活です。これらは基本的に日本人の概念に合いません。もともと他人同士で住めない性分なのです。

昔は「下宿」というものもありましたが、そのようなものが今の生活に見合うと思いますか?

そもそもシェアハウスに住む最大の理由は、「家賃が安くなるから」「何も持たなくて明日から住めるから」です。

彼ら彼女らも同じ家賃でワンルームマンションに住めるのなら、必ずそちらを選ぶはずです。

東京の事情は知りませんが、シェアハウスに3万円を出せるなら、姫路では場所、古さを問わないのであれば2DKの物件に住むことができます。

外国人をターゲットにするとまた事情が違うかもしれませんが、シェアハウスは日本の風土に馴染まない文化です。

日本人は、誰よりもプライベートな場所・時間を大切にします。それがシェアハウスだと狭小な部屋であったり、なかには1部屋に2段ベッドを置いてあったりするケースもあります。

これでは多少なりともストレスを感じるはずです。

また、シェアハウスは住民同士の交流を「ウリ」にしているのですが、実際のところ集団生活においてはトラブルがつきものです。

女性専用シェアハウスはもちろんのこと、男女混合であっても、外国人主体であってもコミュニティの管理はそう簡単にはいきません。ゴミ捨てのマナーから水回りの使い方、クレーム対応などアパート、マンションとはまた違った苦労があります。

その辺を十分に理解して行なっているのであればいいかもしれませんが、そのほとんどが収益性に魅力を感じて安易に始めています。

そして、コミュニティ管理の難しさ、そもそも管理委託料が一般のアパート・マンションが3%~8%のところ、20%や30%というところも多く、入退去も頻繁です。

その結果、思ったよりも儲けが出ないと嘆いているオーナーも少なくありません。かといって自分で運営したところで、その手間を考えると採算は合いません。

そもそもシェアハウス投資は、今問題になっている"かぼちゃの馬車"のように、相場よりも高額な家賃を設定して、無理に経営しているケースがあります。

つまり、投資としての成果がほぼ出ないというわけです。

正直なところ、都会の物件で管理を外注せずに済むのなら、投資として成立するかもしれませんが、そうでないのなら管理費を支払うと手残りは少ないでしょう。

新聞少年が一代で4903世帯の大家になった秘密の話
大川護郎(おおかわ・ごろう)
1972年生まれ。姫路市に育ち、小学生のときに親の会社が破綻、貧困生活を送る。16歳で新聞販売店に就職。23歳のときにコツコツ貯めたお金で不動産投資を始める。23年で274棟4903室(2018年6月末現在)、家賃収入を含めた総年間収入48億円までに。全国セミナー等で「ゼロ家賃」構想を打ち立て大反響を浴びる。 ※画像をクリックするとAmazonに飛びます