企業が「人事評価制度」を導入して運用するためには、いつ、どのようにするのがベストでしょうか?まずは、人事評価制度の意義や目的を正確に理解する必要があります。今回はそのタイミングについて一緒に考えてみましょう。
いつ人事評価制度を導入するのがベストか
人事評価制度は企業が成長、発展するステップや、マネジメントのレベルに伴った内容であることが重要です。現場の評価者が持つレベルやマネジメントにそぐわないシステムは、理論的には完璧でも実際には機能しないおそれがあります。企業の成長やマネジメントの段階に合わせて人事評価制度を導入し、運用するのがよいでしょう。
現実に運用しながら、必要な時には人事評価制度の改善を重ねることも大切です。想定される諸問題への対応を踏まえ、予防法や解決策を盛り込みましょう。成果を焦るがあまり、大幅な変更を何度も加えてしまうと、現場に過度なプレッシャーがかかります。それがきっかけで社員が不信感を招いてしまうと、制度自体が形骸化するおそれがあります。
どのように人事評価制度を導入するのがベストか
適正な人事評価制度を導入しても、組織に明るい見通しがなければ、どこかマッチせず、不具合が生じている可能性があります。現場マネジメントのレベルに配慮しながら、組織を改善できる人事評価制度を導入することが最善です。このシステムを変えることで、企業や組織のレベルアップを目指すのが適正な導入につながります。
企業が目指す経営理念やビジョン、事業計画や目標などを的確に社員に伝えることが人事評価制度を導入する上で大切です。目標達成は、企業の成長や業績そのものなのです。組織の方針や目標などが明確であれば、導入、運用する方向性に大きなブレは生じません。
導入の初めは経営陣や社員にもシンプルで分かりやすい制度にして、徐々に改良や改善を重ねて企業や組織にマッチした人事評価制度に仕上げていくのがよいでしょう。
社員のエンゲージメントを高めるのが目的
人事評価制度を導入する場合、経営者なら効果的で実効性のあるシステムにしたいと考えるものです。独立行政法人労働政策研究・研修機構の「従業員の意識と人材マネジメントの課題に関する調査」によれば、社員の働く意欲を高めるために有効だと思う施策で「社員の納得性を確保した評価制度」(60.4%)が1位でした。
従業員調査による「仕事に対する意欲が低くなっている理由」については、「賃金が低いから」が最も高く46.8%という結果でした。もちろん賃金のアップは企業の業績次第ではあるものの、適正な人事評価制度に伴う評価結果が昇給や昇進にリンクすることが大切と分かります。
社員のどのような行動や成果を評価するのかを明確にすることによって、社員も次へのステップや新たな目標を設定することができます。社員が良い評価を得ようと意欲的に行動できる、透明性のある人事評価制度を通して人材を育成することも大きな目的のひとつだといえるでしょう。
人事評価制度を形骸化させない適正な運用
たとえ人事評価制度を導入しても、適正に運用できければ100%の効果を発揮することはできません。評価基準や項目はもちろん、導入後の運用や追加、修正などで企業の実態や現場のマネジメントに沿った見直しも随時行う必要があります。
人事評価制度の運用がスムーズであれば、生産の効率化や業績のアップ、社員の育成にも期待できます。制度の導入後に大事なのは、継続して適正な運用を心掛けることです。企業の実態と人事評価制度がマッチしていない場合には早期に見直すことが重要です。放置したままでの運用は宝の持ち腐れとなってしまいます。
最初から完璧に運用することは容易ではありません。評価結果から社員や組織の課題や問題点を見付け出し、継続的に見直しを行いしょう。こうすることで社員の信頼を高め、より良い運用になるといえます。
人事評価制度で社員が成長、会社は発展
日本の中小企業には世界的な技術を誇り、優れた社員を抱える組織がたくさんあります。中小企業であっても組織を強化し、大企業に負けない業績をあげることも不可能ではないはずです。社員が会社のビジョンや目標を共有し、同じ目標に向かって意欲的に行動すれば生産性は向上するのではないでしょうか。
適切な人事評価制度を導入、運用することで社員を育て、強い組織になれば業績はアップします。社員一人ひとりの行動や成果を人事評価制度を通じて促進させることが会社の成長、発展に繋がるのです。(提供:あしたの人事online)
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