40代の投資への意欲は高い。仕事に脂が乗ってくる頃で、教育費や老後資金など資金形成のモチベーションがもっとも高まる年代だからだ。しかし徐々に貫禄もついてきた40代が「投資信託って何?」とは聞きにくいだろう。こうした「オトナ初心者」に投資信託の疑問について解消していただこう。
投資信託は「福袋」? 始めるのはいたって簡単
投資信託とは金融商品の“福袋”のようなもので、国内株式・国内債券・海外株式・海外債券などのさまざまな商品が少しずつ詰め合わせになっている。1社の株式なら数十万円必要なところが、投資信託なら1万円程度から選べる。
海外口座がなくても、海外株式が簡単に買えるのも大きな利点だ。福袋と違うのは中身がしっかり開示されていることである。リスクやコスト、期待できるリターンなどを比較して好きなものを選べる。
投資信託を始めるには、まず何をすればいいのか。証券会社に口座を作り、入金を済ませたら、好きな投資信託の口数を選択して注文するだけだ。ネットショッピングと変わらない。ただ、「何を買うか」が食品や衣類よりも難しい。何しろ投資信託は2018年6月末時点で1万2,000本以上ある。色や形があるわけでもなく、慣れないうちは妥当な値段も分からないので、そこでフリーズしてしまうのが初心者のお決まりコースだ。
投資信託を選ぶときのポイント
初心者がやりがちな誤った選び方の代表が、「人気ランキングから選ぶ」だ。販売金額ランキングや証券会社が提示するスターレーティング(★3つなど)は、参考程度にとどめておいたほうがいい。すべてとは言わないが、証券会社が推してくる商品は話題性はあるものの、手数料が高く投資家にとって有利とは言えないものが多い。
投資信託を選ぶにあたっては、どのように分類されているかを把握することが不可欠だ。
ファンド分類 「どの金融商品に投資するか」
株式・債券・REIT(不動産投資信託)・コモディティなど、どの金融商品に投資するかによる分類だ。いずれかだけの場合と、ミックスされている場合がある。比率は投資信託の目論見書に記載してある。株式に偏らず国内外の債券も組み入れた投資信託は「バランス型」と呼ばれ、比較的リスクが低い。
投資地域 国内か海外か……
国内か、海外か。海外なら国や地域が示されている。ベトナムやインドネシアといった注目地域に特化したファンドから、全地域に投資するグローバルファンドまで存在する。海外のファンドは多くがアメリカだが、「アメリカを除くグローバル」というくくりもある。
投資スタイル インデックス/アクティブ、ブル/ベアなど
日経平均やダウ平均といった指標に連動する「インデックス型」、値動きが激しく積極的にリスクを取りに行く「アクティブ型」、先物やオプションなどを利用して基準となる指数を大きく上回ることを目指す「ブル/ベア型」など、スタイル別に分けることもできる。分類方法は各社さまざまだ。
証券会社のWebサイトや投資信託の格付け機関モーニングスターのサイトでは、これらの条件を入力することで、好みの投資信託を検索できる。
絶対に無視できない手数料
投資信託を選ぶにあたって、絶対に比較すべきなのは手数料だ。基本的に、手数料が高い投資信託はハイリスク・ハイリターン型が多い。これから投資信託を始める場合や、長期安定的な資産形成を考えている場合は、手数料の高い銘柄は避けておいたほうがいい。
投資信託にかかる手数料には3種類ある。
・ 販売手数料
・ 信託報酬
・ 信託財産留保額
このうち最も気を付けるべきなのが、「信託報酬(運用管理費用)」だ。販売手数料は購入時、信託財産留保額は売却時に1度きり発生するものだが、信託報酬は保有している限り毎日発生する。
よく「手数料無料!」などと宣伝されている投資信託があるが、どの手数料が無料なのだろうか?販売手数料が無料の投資信託は「ノーロード」と呼ばれるが、本当にオトクなのかは他の2つの手数料を併せて比較してから判断したいところだ。
手数料率の目安は、販売手数料が1~3%、信託報酬が0.1%~2.5%程度だ。数字が小さいのでたいしたことがないと思いがちだが、たとえば販売手数料2%、信託報酬年率2%の投資信託を100万円分購入し1年間保有した場合、合計4万円の手数料が発生する。つまり、年4%以上の運用利回りが得られない限り、元本割れしてしまう。
初心者が選ぶべき投資信託
どんな投資信託から買い始めるかは個人の自由だが、慣れるまでは以下のようなファンドが適しているのではないだろうか。
· 手数料が安い(販売手数料1%以下、信託報酬1%以下)
· 投資対象は「バランス型」または株式に偏り過ぎない2種類以上
· 対象地域は「グローバル」または「複数の先進国」
· インデックス型
買った投資信託の運用成績は、証券会社の「トータルリターン」のページで確認できる。評価金額と配当金の額、いま売った場合の最終的な損益金額など、定期的にチェックしておきたい。
文・篠田わかな(ファイナンシャル・プランナー、ライター)/MONEY TIMES
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