(本記事は、冨田和成氏の著書『稼ぐ人が実践している お金のPDCA』KADOKAWA、2018年5月26日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

お金のPDCA
冨田和成(とみたかずまさ)
神奈川県出身。一橋大学在学中にIT分野で起業。2006年大学卒業後、野村證券株式会社に入社。本社の富裕層向けプライベートバンキング業務、ASEAN地域の経営戦略担当等に従事。2013年3月に野村證券を退職。同年4月に株式会社ZUUを設立し代表取締役に就任。
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財産には税金がかかるが教育には税金がかからない

お金のPDCA,冨田和成
(画像=smolaw/Shutterstock.com)

富裕層や稼ぐ人は、自分の子どもの教育に莫大な投資をすることを惜しみません。たとえば、ある経営コンサルタントの方は、お子さんのために年間360万円の費用をかけて、カリスマ家庭教師をつけているそうです。

なぜ稼ぐ人は教育に熱心なのでしょうか? 答えをひと言で表現すると、「頭脳に税金はかけられないから」です。

資産が膨らんでいくと当然、最後に多くの相続税を納める必要があります。日本の相続税率は最高で55%。世界的に見ても高い水準にあり、ときには相続破産という悲劇が起こっています。仮に相続税が払えたとしても、子どもや孫に自ら稼ぐ能力がないと資産は3代で食いつぶされると言われています。

せっかく努力して財をなしたからには、自分の子どもたちが食べていけるようにしたい。

それこそ親心です。だから子どもの教育にはできる限りお金をかけ、稼ぐための能力を身に付けさせようとするのです。 実のところ、最終的に相続税として資産を取られてしまうことを考えれば、子どもが小さいときに教育費を払うことは最高の資産移転となります。

「勉強だけじゃない」高いレベルの教育から得る意外な効果

富裕層の親たちは、名門学校での英才教育やインターナショナルスクール、ボーディングスクール、MBAなどの環境を子どもに与えます。また、そうした学校に行くための一流講師による個別指導もつける。子どもの教育に平気で数千万円を投じることも珍しくありません。子どもの育つ環境を重視して住む場所を変えることすらあります。

小さいときからそのような教育環境を与えられた子どもたちは、富裕層や成功者のネットワークの中に入ることで、将来につながる貴重な人脈を手に入れることができます。また、グローバルな教育を受けることによって子どもたちはさまざまな価値観を学び、思考力や問題解決力を身に付けていきます。すなわち、稼ぎ力が身に付くので、最悪1円も資産移転できなかったとしても、その子ども本人は十分に稼ぐことができるかもしれません。

将棋の藤井聡太の教育は「金融投資」的にも正しい選択

最近、将棋の藤井聡太六段が小さいときに受けていたことから、モンテッソーリ教育が話題になりました。グーグルの創業者であるラリー・ペイジ、Amazon の創業者ジェフ・ベゾスもモンテッソーリ教育を受けていたこともよく知られた話です。

モンテッソーリ教育などで思考力や問題解決力を小さいときから身に付けていけば、将来、稼ぐことに困らない可能性が高くなる。若いときに投資して実力を身に付ければ、一生かけてその能力を回収できるわけですから、教育に早くから投資すればするほど回収期間が長くなります。

10歳のときに稼ぎ力を身に付けた人と、50歳のときに身に付けた人とでは回収期間で大きな差が生まれます。10歳のときに身に付けたら、そこから何十年もかけて回収できます。

これは、金融の発想とよく似ています。金融商品への投資も早く始めて、長期間投資を したほうが、当然回収期間が長くなり、資産を大きくすることができます。

教育への投資は、人的資本を高めることになり、その結果、稼ぎ力の向上につながります。稼ぐ力が早くから身に付いていればいるほど、将来稼げる可能性が高くなるのです。もちろん、子どもが稼ぐことに対しては、相続税はかかりません。

また、親にとっては、子どもの稼ぎ力がアップすれば、老後不安も緩和されます。私も両親から「食べられなくなったら生活の面倒を見てね」と半分冗談で言われますが、私は、「当たり前でしょ」と答えていますし、実際にそうなったら、両親にできるだけの金銭的サポートをするつもりです。子どもの稼ぎ力がアップすれば、将来、親が働けなくなったとき、子どもが家計を支えてくれる可能性もあるのです。

お金のPDCA,冨田和成
(画像=『稼ぐ人が実践している お金のPDCA』より)

また、図を見てわかるように、親から子の頭脳へ教育投資は親の資産のバランスシート(B/S)の中から現金を使い、子のB/Sの人的資本へ資産移転が行われています。

なお、子どもの教育費を親が支払うのは認められている権利であり、教育費に対しては非課税という現在の税制を考えれば、親から子の頭脳へ非課税で資産移転が行われているという考え方もできるのです。

お金のPDCA
冨田和成(とみたかずまさ)
神奈川県出身。一橋大学在学中にIT分野で起業。2006年大学卒業後、野村證券株式会社に入社。本社の富裕層向けプライベートバンキング業務、ASEAN地域の経営戦略担当等に従事。2013年3月に野村證券を退職。同年4月に株式会社ZUUを設立し代表取締役に就任。
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