(本記事は、坂本彰・投資カービィ・坂本慎太郎(Bコミ)・さっかく・www9945・v-com2・たぱぞう・ゆず・AKI・すぽ・むらやん・N氏(Nobu)共著『俺の株式投資術』KADOKAWA、2018年8月22日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

ITバブルに乗じて投資を始めた

俺の株式投資術
(画像=SFIO CRACHO/Shutterstock.com)

2000年前後、日本はITバブルに沸いていました。ソフトバンクや光通信株、ヤフーなどがまさにそうでした。

この当時、新聞の株式欄にある、サービス業の項目を見るとソフトバンク、トランスコスモスなどの株が連日ストップ高になっていました。

私はその当時、23歳の学生で、投資の勉強はしたことがなかったのですが、もしかして今の市況はいいチャンスなのでは?と思い、試しに株を買ってみることにしたのです。

当時、私は450万円の貯金がありました。バイトで稼いだお金やお小遣いなどが意外に貯まっていたので、これを元手にしました。

結論からいうと、最初の投資はよく分からないうちにボコボコにやられた、という印象でした。実際、よく分からずにやってみた部分も大きかったので、当たり前かもしれません。

大損してほぼすべてのお金を失ったのは一瞬のことでした。

結局、そのときは退場して1年ほど貯金してから再びの参戦という形になりました。投資で生き残るには自分の考えを持つことが大事なのだと思います。

私も、これまでの経験から、自分なりの考えを持ちました。

常に努力を続けられるかどうか、が投資で生き残れるか否かにかかっているのではないでしょうか。今に至るまで、投資はひとつのライフワークであると考えています。

3つの柱を立てる投資作戦

私は主にアメリカ株への投資を中心に、3つの柱で投資活動を行っています。

具体的には、

・アメリカ株
・優待株
・REIT

というのが、私の3つの柱です。

REITというのはReal Estate Investment Trustといって、日本語では不動産投資信託と呼ばれます。

これは何かというと、複数の投資家から集めた資金でオフィスビルやマンションなどの不動産を購入し、それらからの賃貸収入や売買益などを、投資してくれた投資家たちに分配するという金融商品です。

これは収入を安定させるために行っているもので、私の投資の土台になっている部分といえるものです。

売買だけの利益では、稼げるうちはよいのですが、いざ負けが増えてきたときにどうしても不安が残ります。致命的なダメージを負わないためにも、安心できる土台を作っておく必要があります。

それに、REITで得た分配金をキャピタルゲイン(売買差益)狙いのグロース株投資に回すこともできます。

収入を一本だけにしないというのは、このように重要な効果を持っているのです。

優待株に関しては実のところ、あまり利益を期待して投資しているものではありません。

私は優待株を買うときには「自分が応援したいと思える企業」に投資するようにしています。これは日常的によく使う製品や、サービスを提供してくれている企業が当てはまります。

たとえば、ファストフードを運営する企業であったり、女性であれば化粧品メーカーなども当てはまるでしょう。

誰しも、お気に入りの企業には頑張ってもらいたいと思いますし、日頃から馴染みのある企業の優待であれば、結果的に節約にもつながるでしょう。

ゆえに私は、優待株を買うときには利益などはまったく気にしません。

私と同じ考えのもとで優待銘柄に投資するのであれば、優待に魅力があり、会社を強く応援したいと感じたときに買ってもよいのではないでしょうか。

最後にアメリカ株ですが、私はアメリカ株の中でも成長株に特化した投資を行っています。

冒頭で書いたように、投資を始めた当初は日本株でしたし、これまでも何度か、日本株への投資を考えたこともありますが、デメリットが多く断念しています。

日本株は急激に上がって急激に下がる、というような動きが特徴です。結果的に、リサーチを重ねてよい銘柄を探し当てても乗り遅れてしまう、ということがしばしば発生します。

日本株へ投資する場合、アメリカ株に比べて、かなり素早い動きを要求されるといってもよいでしょう。

これに対してアメリカ株は、日本株よりも素直な動きをしてくれます。動くタイミングとしては決算です。

AppleやAmazonといった巨大企業でも、決算がよければ株価は上がり、悪ければ下がります。日本の新興株のように決算を先に織り込みすぎた動きはあまりしないため、決算以外の期間に急激に動くことは日本株に比べて少ないです。

予測がつかない動きをする日本株に疲れてしまったというのが実際のところです。

市場が成長している上に、株価の動きも読みやすいですから、これらの点を考慮するとアメリカ株は非常に魅力的なのではないでしょうか。

私の資産の内訳はアメリカ株がおよそ7割強を占めています。

アメリカ株は主に成長株をメインに投資していますから、当たれば大きいのですが、失敗したときも同様に大きな損失を被ってしまいます。

そのため、保険という意味も含めてのREIT、応援したい企業への投資という3つが私の作戦です。

銘柄は「話題の企業から」

外国株というと手を出しにくいイメージを持たれている方もいるのでしょうか。銘柄を探しにくいとか、外国というだけで何となく怖いという印象を持つ方もいるかもしれません。

ですが、そんなことは一切ありません。

アメリカ市場で成長株を探すポイントは、企業の「ギャップ」を見つけられるかにかかっているでしょう。

私がここ最近投資した中でうまく利益が挙がったものとしてはNVIDIAがあります。

この会社はパソコンの画面を描写するための「グラフィックチップ」やスマートフォン、タブレット向けのチップセットを開発しているメーカーです。

こう聞くと、どうも馴染みがないという方も多いのではないでしょうか。私も、どちらかというとコンピューター好きが注目しそうな銘柄程度にしか思っていませんでした。

しかし、実際にはNVIDIAは、単なるグラフィックボードのメーカーではなく、AI(人工知能)、ディープラーニング(深層学習)や、自動車分野での自動運転技術の開発にも取り組んでいる企業だったのです。

つまりは、NVIDIAが実際に行っていることと、投資家や世間一般が持つその企業に対する認識にギャップがあったのです。

実際、私が見つけた当時と比べ、順調に株価が伸びていってくれています。

これらの企業はどのように見つけてくるのかというと、他人が話題にしているところから探してくるのです。たとえば、アメリカ株市場を牽引する存在として「FANG」と呼ばれる企業があります。

これらはそれぞれ、Facebook、Amazon、Netflix、Googleの頭文字をつなげたものです。このようにして持て囃される企業にはそれなりの理由があるのです。

他にも、「MANT」というと、Microsoft、Apple、NVIDIA、Teslaですね。

これらの企業はアメリカ株市場では注目の的です。当然ながら、注目される以上、それに足る理由があるのです。まずはそれらを分析しましょう。

その企業はどのような分野に強みを持ち、投資家たちの支持を得ているのか。その企業の強みが分かったら、その企業の将来性を検討してみましょう。

まだまだ伸びそうか、他にもNVIDIAのように隠れた強みを持っていないかなどです。

企業のことをしっかり理解しよう

こうした分析を重ねた上で、自分の資産と相談して買えそうだったら、買ってみてもよいのではないでしょうか。

買う際のタイミングとしては私は、Fear&Greedという指数をひとつの参考としています。これは、市場動向や景気などを基に投資家の行動を数値に表したものです。アメリカの放送局であるCNNが推計しているもので、0~100の数値で示されます。

50を下回ると恐怖(Fear)な状態、つまり投資家たちは及び腰で市場が停滞している状態であり、逆に50を上回っていれば欲望(Greed)で取引が活発に行われているということです。

投資家の行動原理は恐怖と欲望に分類されるのです。恐怖を感じた投資家は投げ売りしますし、貪欲に動いている投資家は高値でもどんどん買いを入れます。

市場がFearになっていると判断されているときは、購入のチャンスにもなります。

『四季報』やネットで検索して、あまり知られていない企業を発掘してくる、というのもひとつの手ではありますが、私は基本的に前述の通り、話題の企業から投資候補を選ぶというやり方をしています。

過去には、隠れた企業の発掘もチャレンジしてみたことがあるのですが、結局、本当に上がるのかがどうも信じきれずに売ってしまったことがあり、それ以降は企業の発掘はやめてしまいました。

銘柄を保有し続けることは、その企業のことを分かってあげなければいけません。どんな経営者がかじを取っていて、どんな事業を展開していく予定なのか。

多少、株価が下がっても「何とかしてくれる」と信じて持ち続けられるだけの根拠が必要です。

ZOZOTOWNを運営するZOZOは、短期的に株価が急落することがよくありますが、それでも持ち続ける人はずっと持ち続けているのです。

それは、ZOZOのビジネスモデルがよく分かっているから、ということにほかなりません。

また、成長株というと、新興企業をイメージしやすいかもしれませんが、そんなこともありません。

日本株では大型企業は成長が鈍化していることも多いですが、アメリカではApple、Amazonといった企業も業績に応じてちゃんと株価が上がるので、日本株よりも安定感があります。

ちなみに、大前提として投資するかどうかの判断としては、株価が右肩上がりになっているということがあります。

月足で順調に右肩上がりの銘柄以外は、どれだけの強みや有能な経営者に牽引されている企業でも、私は選びません。

話題になっている銘柄を探し、株価が右肩上がりだったら、まずは数ヵ月の間、株価の動きを観察しつつ、その企業のギャップや強みを探します。

そして、自分の中でその企業の成長ストーリーを描くことができれば、ようやく買うステップに移っています。

3つに分けられる売りのポイント

売り時の判断というのは、かなり難しいと思います。おそらく大多数の人が買い時よりも悩む瞬間ではないでしょうか。

私は買うときはかなりの時間をかけますが、売るときはスパッと売ります。私としては、3つの基準点を設けてそれを基に売り時かどうかを判断するようにしています。

・決算時に評価が高いのに株価が下がったとき
・業績が最高潮なのに株価が下落しているとき
・決算が期待外れだったとき

ひとつ目の基準点は、決算時に、次の四半期のガイダンスが市場予想を上回っているにもかかわらず、株価が下落している場合。こうなった場合、私はその銘柄は売ります。

決算のときに売上や利益、その後の利益の予想のすべてが市場の予想を上回っているのであれば通常、株価は上がるはずなのです。

それにもかかわらず、株価が下がっているのは異常事態です。

株価は先見性があります。株価が下がると業績が下がるというパターンがよく見られます。

これは今後、その会社はどんどん低迷していくかもしれないというサインと見てもよいでしょう。

それに、株価下落の原因を探ろうとしても、多くの場合は理由が分かりません。分析するだけ無駄なので、こうなった場合、仮に損切りになったとしても売りに出してしまいます。

これはめったに起こることではないのですが、起こるときは起こりますから、注意しておくべきポイントです。

ふたつ目の基準点は、業績が最高潮に上がっているにもかかわらず、少しずつ株価が下落しているときです。

成長株の理想というのは、常に上場来高値をとってくるような銘柄なのです。

もし、その銘柄が上場来高値からだいぶ離れていて、しかもそのレベルまで戻ってこないとしたら、それはもう乗り換え時期なのではないかな、という判断を下します。

場合にもよりますが、このような状況に陥った銘柄は、成長鈍化が原因のひとつとして考えられます。

もはや成長株とは呼べませんね。

概ね13~15%以上、上場来高値から下がっているようであれば、持ちなおすのは厳しいように思えます。

このような場合はいったん売って、再び上昇の兆しが見えてきたのなら再度購入するのもよいでしょう。

最後の基準点は、決算が最悪に期待外れだったときです。理想の状況は売上、利益、次の業績予想の3つがパーフェクトなときです。これが、よい決算です。

しかし、これらのうち、どれかひとつでも予想より悪かった場合は、売る可能性があります。

そうした、どれかひとつでも市場予想を下回った決算が2四半期連続で来た場合は、危険信号だと思っています。こうなったときは私はすぐ売ります。

期待外れな決算も1度目ならばあまり厳しくは見られませんが、2度も続いてしまうと、投資家たちは、成長鈍化とみなすでしょう。

なので、1期目は大目に見るとして、2期目がどうなのかでその企業を判断するとよいでしょう。

企業分析は絶対にしよう!

これから先の相場は緩やかな上昇を見せていくのではないでしょうか。

特に、2018年はアメリカの中間選挙の年です。

中間選挙の年は例年、安値をつけるのですが、今年はすでに2月、4月の段階でかなりの安値をつけています。今後はそのレベルまで下がることはなく、上振れになるのではないかと見ています。

私は、どちらかというと相場全体よりも投資している銘柄の動きに注視します。

相場全体と銘柄の動きは必ずしも連動しませんし、鉄鋼メーカーや化学業界など、景気や季節に応じて何らかの変化を起こしやすい循環株に比べると、自分で成長できる成長株は継続的に上昇する可能性が高いといえるでしょう。

もし、私と同じようなスタイルで株式投資をするのならば、相場全体よりも個別銘柄の動きを見たほうがよいのではないでしょうか。

その際、企業分析は怠るべきではありません。

前述しましたが、その企業のことを分からない限り、その企業を信じることもできませんから、保有し続けることは難しいでしょう。

私の投資法は、アメリカ企業の強みやギャップを見つけ出すことにかかっています。

米国株取引は、素直な動きをなかなかしてくれない日本の新興株を売買するよりはリスクが少ないように感じています。

どんな投資法をとるにしても、常に努力を怠らないようにしましょう。常に勉強することが大事です。

奢りを見せた瞬間にやられてしまうかもしれません。大損した場合は、特に資産が大きくなれば大きくなるほど、あなたが被るダメージは大きくなります。

持つ資産が大きければ大きいほど、リスクに対しての警戒心を強めるべきでしょう。

退場しないことが何にも増して、重要なことです。どれだけ遠回りだったにしても、道はどこかにつながっています。

一気に儲けようとしても失敗するのは目に見えています。儲かるには時間がかかるんだ、ということを念頭に置いて気長に続けていくことが、いちばんの近道ではないでしょうか。

俺の株式投資術
投資カービィ氏
居住地:非公開
性別:男性
年齢:40代
職業:兼業投資家
投資歴:18年
運用資産:非公開
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