(本記事は、坂本彰・投資カービィ・坂本慎太郎(Bコミ)・さっかく・www9945・v-com2・たぱぞう・ゆず・AKI・すぽ・むらやん・N氏(Nobu)共著『俺の株式投資術』KADOKAWA、2018年8月22日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

いくつもの仕事を渡り歩いたのちに

俺の株式投資術
(画像=Suradech Prapairat/Shutterstock.com)

私は株式投資を始める以前に、いくつかの職場を渡り歩いていました。不動産の営業、健康器具の販売などの仕事を経験しています。

そんなサラリーマン時代に知り合った知人から、「株をやると儲かるらしい」という話を聞いたのが、投資をするようになったきっかけです。

実際、その知人がライブドアの株で1億円を儲けたというのだから、本当に稼げるのかもしれないと思い、私も株式投資の世界に興味を持ったのです。

投資に関する勉強はすべて独学で、元手の金額は500万円ほどでした。

投資家になって12年が経過しましたが、株一本で食べていけるくらいは稼げていますし、これのほかにやりたいことというのもないので、続けています。

大企業に勤めて、いい生活をしようと思うと、それ相応の学歴が必要ですが、株式投資には学歴や社会的地位などは何も関係なく、自らの腕一本で稼げるのが最大の魅力だと思っています。

その分、リスクと責任も負わなくてはいけないのは確かですが、正しい方法さえつかめれば、誰でも億万長者になれるチャンスが待っているのが株式投資だと思います。

決め手は買う時間帯

基本的にはデイトレードを中心に取引しているのが私のスタイルです。これは株をやり始めた当初から変わっていませんね。

過去にはFX(外国為替証拠金取引)や先物取引にも手を出したことがあるのですが、こちらはどうもうまく稼げなかったので、やめてしまいました。結果的に今でもデイトレードが中心になっていますね。

取引する上で気をつけているのは「時間」です。デイトレードとなると、株の売買が活発に行われる時間帯に動かなくてはいけないですから、何時に取引するのか、というのはとても重要になってくるのです。

活発に取引が行われるのは基本的に9時の相場開始直後から長くても10時くらいまででしょうか。スーパーのセールみたいなもので、開店直後は人がたくさんいるわけです。もうひとつの時間帯としては、終了間際の時間帯です。

だいたい14時頃から終了の15時まで、株価の動きが激しくなります。

そのため、私はその中間の時間帯、いわゆるザラ場ではあまり取引しません。大きな利益を狙うのであれば、やはり値動きが激しい時間帯に動くほうがいいですからね。

狙っている企業があったとしたら、その企業に資金が入っているかや、海外のマーケットの動向も参考にできます。

デイトレードでは、株価の動き方を事前に予測できるかどうかが大事になります。

どこが下値で、どこが最高値かをピタリと当てられたら最高なのですが、実際はそこまでするのは難しいかもしれません。とはいえ、練習しだいである程度予測精度を上げることはできます。

もし、その企業に何らかの好材料が出てきたら、練習がてらに予測してみましょう。

予測のやり方ですが、まず過去にその銘柄がどんな値動きをしているのかを確認します。

次に、それを現在の株価と照らし合わせて、どのあたりが下値になって、どのあたりが高値かを検討するのです。

当然、期待外れに終わる銘柄もたくさんあるでしょう。そんなときはさっさと売ってしまうのが、資産を増やすためのコツだと思っています。

損失を出すときは、たいてい熱くなったときですから、いかに自分を冷静に保つのかが、ひとつのカギではないでしょうか。

売買代金に注目してみよう

短期トレードの視点からいうと、いわゆる“テーマ株”は値動きが激しく、売買代金も比較的多いので、短期トレーダーには狙い目の銘柄ではないでしょうか。

私の場合、その時点での為替や海外市場なども含めて検討しますが、前述した過去の経験則で、買うかどうかを決めています。

私が注視する銘柄は、「他の投資家が注視する銘柄」です。たとえ日経平均株価やマザーズ指数が下がり気味でも、なかなか株価が下がらない銘柄というものは必ず出てきます。

市場全体の下落に負けないのは、強い銘柄だと思っています。私が買い入れるのはそのような銘柄ですね。

また、売買代金上位銘柄を選ぶことも大事なポイントです。毎日、その日の売買代金上位にある銘柄を調べておきます。

その中でも350円くらいから200万円までの銘柄を抜き出し、明日の買い入れ候補とするのです。なお、翌日に持ち越すことはないので、業績やその他のテクニカルの指標などは一切無視しています。

売買代金とは、その銘柄の取引が成立した金額です。

この金額が大きければ大きいほど、その銘柄はたくさん取引されているということです。つまり、他の投資家も注目している銘柄であると考えることができます。

売買代金が低い銘柄の場合、何らかの好材料が出てこない限り、なかなか株価が動かないことが多いのです。

その点、売買代金上位銘柄であれば、常時たくさんの投資家が取引しているということですから、必然的に値動きが激しくなる可能性が高いのです。

上がるのか下がるのか、というのはそのときにならないと何ともいえませんが、どちらにせよ期待が持てる銘柄であることには変わりありません。

基本的には、人気の銘柄を底値で拾って高く売れれば負けることはないのです。

日本の株式市場は、外国人投資家の数がとても多いです。そのため、市場は彼らの影響をとても受けやすいといえるでしょう。

テロや災害など、外国で何か緊急事態が発生すると、途端に外国人投資家たちの動きがパタッと途絶えるということはあります。

つまり、日本の株式市場の雰囲気は、外国人投資家に左右されることもあるのです。

常日頃から外国の情勢にもしっかりと目を通しておくことで、市場がどう動くか、ひいてはあなたが狙う銘柄の予測に、より高い精度を出すことができるのではないでしょうか。

自分で決めたルールを守ろう

売り時は誰しも悩むでしょうが、私も100%の自信で利益になる、といえる瞬間はあまりありません。

その場その場での材料や市場全体の雰囲気を見て「この感じなら50%くらいかな」というくらいに思うことはあります。

売り時はこれまで取引していた経験から、何となく感覚でつかんでいます。

「過去にあった、あのときの感じに似ているな」と思えばその分自信は高まりますが、それでももちろん負けるときは負けますから、そうなったらいさぎよく損切りしています。

基本的に、損切りする基準を決めてから買いに行くようにしていますから、大敗を喫することはそうそうありません。具体的には「見込める利益の30%の損失」で損切りするようにしています。

たとえば、銘柄Aで10万円の利益を見込んでいたとしましょう。

それが3万円の損失を計上したところで損切り、銘柄Bで100万円の利益を見込んでいた場合、30万円の損失を抱えてしまったら損切り、といった具合です。

結果的に損をしてしまうときというのは、取引に熱くなりすぎて感情的になってしまった場合がほとんどではないでしょうか。

感情の暴走がリスクを招き、やがては退場という結果につながってしまう投資家も多いように見受けます。

取引する前には分かっているのに、いざ始めてみるとコロッと忘れてしまい、まるで泥沼にはまり込んでいくかのごとく、悪循環の無限ループをひたすら走り続けてしまうことはよくあるのです。

どれだけいつもの考え方で冷静にトレードできるかが、損失を出さないようにするポイントでしょう。

特に、自分が決めた損切りのルールは絶対に守りましょう。

前述の例でいくと、10万円を見込んでいた銘柄が5万円の損失になっているけど……、もしかしたらまた上がってくれるかもしれない、といつまでも待ち続けているようではいけません。

一度、ルールを破ってしまえば、あとはもうどこまでも持ち続けてしまうだけです。

奇跡的に持ち直すこともあるでしょうが、運に頼っているようでは、いずれ退場するハメになるかもしれません。心当たりがあるという人は、自分の感情をコントロールする術を身につけたほうがいいかもしれませんね。

損切りのルールを守る、感情的にならない。この2点を守ることができれば、大損失を被る機会はなくなるのではないでしょうか。

忘れてはいけないのは「努力」

この先の、たとえば数ヵ月、あるいは数年先の相場がどうなるか、という予測はなかなか難しいものがあります。現状から予測しても、これからの政治の動きや経済の変動によって、いきなり状況が一変してしまうことがよくあるからです。

ですから、これからどうなるかを考えるよりは、起きた後にどうするかを考えるほうが重要ではないでしょうか。

たとえば、今日起きた政治や経済的な動きが、翌日の株価にどう影響を与えたのかを研究するのです。ショックや市場の急落は必ず起きるものとして、半ば開き直るしかないでしょう。

それよりも、状況の変化にいち早く対応できる臨機応変さを身につけておくほうが、今後の自分のためになるでしょう。退場してしまっては、元も子もないので、稼ぐことよりも負けないことを考えるほうが、今後のためかもしれません。

私は、株式投資を通してお金以外のものもたくさん手に入れることができました。

多くの投資仲間や、私からすると信じられないくらいにお金を稼いでいる投資の先輩との出会いが数多くありました。自分1人では想像もつかない、投資についての考え方や、私1人では不可能だったであろう、数々の体験がありました。

これらはすべて、株式投資をしていなかったら、きっと手に入らなかっただろうと思います。特に、個人投資家の方々は人間としての魅力に溢れた方々がたくさんいるのです。

投資以外の面でも、一緒に遊んでいるだけでもとても満足度の高いことができます。

自分以外の他人との交流は、自分の成長を促してくれるものです。株式投資は、そうした出会いを手にするという意味でも、優れたものであると思います。

私にとって、株式投資とは、ひとつのルーチンワークであると考えています。機械的にルールを決め、それに従って動くひとつの作業です。

しかしそれゆえに、一度大金を稼ぐと、どうしても楽をしたくなって、そこからさらに稼ぐための努力をしなくなってしまう人がとても多いように思います。

皆さんに覚えていてほしいことは、今稼いでいる投資家たちは、常に努力を怠らなかったから、今の地位を築くに至ったのだ、ということです。途中で、やる気が切れることもあるでしょう。

どうしたらいいのか分からないという状況に陥ることもあるかもしれません。

もし、道に迷ったら一度、原点に立ち返りましょう。常に自分の出発点を見失わずにいれば、道は見えてくるものと思います。

常に初陣に臨むつもりで進んでいけば、結果はついてくるでしょう。

私的な話題ですが、株式投資をしはじめてから、何だか性格がほんわかしたような気がしています。いや、ひょっとすると年齢のせいかもしれませんが、これもひとつの変化だと思っています。

相場が悪ければ、時には傍観者となり、感情をコントロールして、ルールを守っていれば生き残ることができます。

そうして、末永く投資の世界にいられたら、というのが私の願いでもあるのです。

俺の株式投資術
むらやん氏
居住地:東京都
性別:男性
年齢:30代
職業:専業投資家
投資歴:12年
運用資産:1億円
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