(本記事は、渡邊浩滋氏の著書『税理士大家さん流キャッシュが激増する無敵の経営』ぱる出版、2018年11月13日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

不動産投資で手残りを爆発的に増やす3つの方法

税理士大家さん流キャッシュが激増する無敵の経営
(画像=Pressmaster/Shutterstock.com)

●手残りを増やす3つの柱

どうすれば、手残りが増えるのか・・・

手残りを増やすには3つしかない、と私は考えています。

(1)家賃収入を上げる
(2)支出を減らす
(3)税金を抑える

具体的な数字で考えてみましょう。

手残りを出す方法は、いろいろとありますが、私のスタンスは、いかにシンプルに考えられるかです。

複雑になればなるほど、人は思考停止になってしまいます。

ですから、ざっくりと考えるため、使うのは収入・支出・税金だけです。

収入から支出を引いたものが手残りと考えがちですが、そこから所得税や住民税などの税金を払わなければなりません。

その税金を差し引いたものが手残りです。

収入1000万円、支出500万円の場合の手残りは、次のようになります。(税金は所得税、住民税を想定していますが、概算の数字です)

(0)ベースの数字
収入 1,000万円
支出 -500万円
差引 500万円
税金 -110万円
手残り 390万円

この数字をもとに、収入、支出、税金を変動させてみます。

(1)収入が上がった場合(収入200万増)
収入 1,200万円
支出 -500万円
差引 700万円
税金 -170万円
手残り530万円

(2)支出を減らした場合(支出200万減)
収入 1,000万円
支出 -300万円
差引 700万円
税金 -170万円
手残り530万円

(3)税金を抑えた場合(税金55万減)
収入1,000万円
支出 -500万円
差引 500万円
税金 -55万円
手残り445万円

いずれも手残りが増えています。

では、それぞれどんなことをしたら収入が上がるのか、支出が下がるのか、税金が減らせられるのでしょうか?

たとえば、収入を上げる方法を考えてみましょう。

●空室を埋める
・営業廻りをする
・空室をモデルルーム仕様にする
・リフォームをする

●物件を増やす
・新規物件を購入する
・資産の組み換えをする

●副収入を増やす
・自動販売機を置く
・携帯のアンテナを置く
・太陽光発電を置く

項目を挙げてみると、ハードルが高いものと低いものが見えてきます。

つまり、お金をかけなくてもできるものとお金をかけずにできるものがあります。

この中でお金がかからない方法を優先的にやっていくことになります。

支出、税金についても同じことがいえます。

ポイントは、それぞれバランスよく対策をすることです。

「収入を200万増やす」のは、難しいけれど、「収入を100万円増やして、支出を100万円減らす」ことは意外に簡単で、効果は同じです。

簡単な方法を組み合わせてみるのです。

(4)バランス型(収入100万増、支出100万減、税金10万減)
収入 1,100万円
支出 -400万円
差引 700万円
税金 -100万円
手残り600万円

このように無理なく、手残りが増やすことができる場合があります。

数字を分析するということは、優先的に何をすべきかを探るということです。

何にお金と時間を投資するべきか、賃貸経営においても重要なことです。

超コスパよく空室を埋めていくノウハウ

●空室対策で不動産会社が言いがちな2つの提案

収入を上げる方法で、真っ先にするべきことは、空室を埋めることです。

しかし、多くの方が実践している空室対策は、より資金繰りを悪化する方法です。

空室がなかなか埋まらないとき、不動産会社さんに相談すると、だいたい次のような回答が帰ってくると思います。

(1)「家賃を下げましょう」

「空室が埋まらないのは、家賃が高いからです。近隣アパートの同じようなお部屋と比べると少し高いので、下げて募集しましょう。」

などと言われたことはないでしょうか。

「空室で全く家賃が入らない状態よりは、少し下げて家賃収入が入ってくる方がよいのではないか」

そう考えたくなる気持ちもわかります。

しかし、それをやってしまうと、収入ベースが少なくなるので、手残りが少なくなって、資金繰りが苦しくなります。

さらに、家賃を下げることで、近隣のアパートを所有する大家さんも家賃をさらに値下げしてくる可能性もあります。

そうなると、家賃の値下げの連鎖が始まって、止めどなくその地域の家賃が下がるというスパイラルになります。

(2)「設備導入やリフォームを行いましょう」

「駅前に新築マンションが立ち並んでいます。古い設備では太刀打ちできません。今の若い子たちは、IHコンロでないと入居しませんよ」

などと言われ、設備を入れ替えたり、高額なリフォームを提案される大家さんは多いと感じます。

しかし、資金繰りに余裕がない大家さんが、それをやってしまうと、ますます資金繰りに追われることになります。

そのリフォームをすることで絶対に空室が無くなるという保証はありません。

リフォーム後は、家賃を高くして貸せるかもしれませんが、2年後の家賃はどうなっているかもわかりません。

それにもかかわらず、1室あたり、300万円?500万円と高額なリフォームを提案されて、しぶしぶ実行している大家さんは多いです。

家賃の値下げも高額リフォームも「やってはいけない」とは言いません。

それが空室対策につながって、キャッシュフローが改善した例もあるでしょう。

しかし、これらの対策をする前に、まずは手残りを減らさないで(収入を下げたり、支出を増やさないで)空室対策する方法はないか探ることが大事だと思います。

つまり、これは空室対策を、不動産屋さん任せにはせず、大家さんが自ら考えなくてはならないということです。

一部の不動産屋さんが、家賃の値下げや設備導入を安易に進めるのは、その方が入居者さんに説明したり、案内するのが、楽だからです。

不動産屋さんからすれば、どの部屋に入居してもらっても、担当者の成績には大きく変わらないので、決めやすい物件にした方がよいのです。

税理士大家さん流キャッシュが激増する無敵の経営
渡邊浩滋(わたなべ・こうじ)
税理士、司法書士、宅地建物取引士。税理士・司法書士渡邊浩滋総合事務所代表。明治大学法学部卒業。税理士試験合格後、実家の大家業を引き継ぎ、空室対策や経営改善に取り組み、年間手残り-200万円の赤字経営から1400万円までV字回復をさせる。2011年12月、同事務所設立、現在に至る。2018年には、大家さん専門税理士グループ「Knees(ニーズ)」を設立し、フランチャイズ展開を開始。

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