仮想通貨に関連して、マイニングという言葉を耳にしたことがある人も多いだろう。マイニングは仮想通貨を得る手段を指すこともあるが、同時に仮想通貨のシステム構築の根幹を成す作業でもある。マイニングの仕組みを理解することは、仮想通貨の仕組みを理解することと等しい。
仮想通貨の信頼性を担保
マイニングを簡単に説明すると、仮想通貨の取引記録の演算と承認作業である。仮想通貨には中央銀行のような機関は存在せず、その取引記録はブロックチェーンと呼ばれる公開された台帳によって管理されている。この台帳を正確に記録し、ネットワーク参加者が相互に承認を行うことによって、信頼性が担保される。
ブロックチェーンの演算と承認作業は、仮想通貨の根幹を成す重要な作業である。この作業無くしては、仮想通貨は成り立たない。そこで、この作業の協力者に報酬を与える仕組みが用いられており、演算作業の成功者に仮想通貨が支払われる。
マイニング(mining)は日本語で「採掘」の意味だが、新しい仮想通貨を得るために演算作業を行うことを、金鉱山の採掘作業になぞらえたことに由来している。
一連の仮想通貨の取引をまとめた情報をブロックと呼び、その作成には数学的な計算を繰り返し、特定の解を見つけ出す必要がある。この解を見つける演算作業への参加がマイニングだ。
この作業は、非常に複雑な計算を行う必要があり、多くのマイニングの参加者(マイナー)のハードウェアの演算能力を用いることによって成り立っている。
ビットコイン(BTC)のマイニング報酬は?
マイナーはハードウェアによる演算能力を提供する代わりに、演算の成功報酬として仮想通貨を得る。ビットコイン(BTC)のマイニングに係る報酬を説明しよう。
ビットコインのマイニングでは、演算成功者に12.5BTCが付与される。ブロックの作成は10分毎に行われるため、1BTCあたり100万円と仮定すると、1,250万円の報酬を得るチャンスが10分毎に訪れることになる。この報酬は最も早く演算を成功させた者に支払われるため、マイナーによる演算競争が行われ、金鉱山の採掘競争さながらの光景がネットワーク上で日々繰り広げられている。
ビットコインのマイニング報酬は12.5BTCであると説明したが、この報酬はあくまでも現在のレートである。マイニング報酬は約4年毎に半減していき、2020年頃に6.25BTCへなる見込みだ。また、ビットコインは発行上限数が約2,100万BTCと定められており、2140年には上限に達することが見込まれる。そうすると、マイニング報酬もなくなることになる。
ただ、マイナーにはビットコインの送金手数料も報酬として支払われることになっている。マイニングによる新規のビットコインの付与がなくなっても、マイナーへ手数料が支払われる限り、仮想通貨の核を成すマイニングは続けられるというのが、仮想通貨の根本の仕組みである。
マイニングで儲けられる?
ビットコインのマイニングでは、10分毎に12.5BTCと送金手数料が得られる可能性がある。そう聞けば誰でもマイニングを行いたくなるだろうが、現状のビットコインに関してはマイニングのハードルは非常に高くなっている。
まず、ビットコインのマイニングには世界中から多くのマイナーが参加しており、その難易度は非常に高くなっている。また膨大な量の演算を行う必要があり、高い演算能力を持つ高性能のコンピュータを用いる必要がある。世界には大規模な設備投資を行ってマイニングを行うグループが多数存在しており、個人で太刀打ちできる状況ではないのが現状だ。
また、マイニングの損益計算においては、その演算に必要な莫大な電気料金とマイニング報酬を天秤にかける必要がある。
マイニングを行っているのは誰?
ビットコインのマイニングでは12.5BTCの成功報酬と送金手数料に対し、設備費や電気料金、人件費等の経費を計算し、損益を計算しなければならない。
現在、ビットコインのマイナーは巨大なグループに集約されつつあるが、その多くは中国のマイナーが占めている。AntPoolやBTC.com等が知られるが、これらは中国のマイナーグループであり、安価な電気料金や労働力を活かして巨大なマイニング設備を稼動させている。
中国では、マイニングによる大量の電力消費も問題となっており、規制が検討されている。仮に全面的に規制された場合、他の電気料金の安い地域がポスト中国として、マイナーを引き寄せることになるだろう。
日本でも、GMOインターネットなど複数の企業がマイニング事業へ乗り出している。
個人がマイニングに携わるには?
マイニングは仮想通貨の根幹を成す重要な作業であり、その報酬は非常に魅力的である。個人がマイニングに携わる方法はないのだろうか。
ビットコインなどの主要な仮想通貨においては、巨大マイニンググループによるマイニングが行われており、独力での太刀打ちは不可能に近い。人気の少ない仮想通貨では個人が参入する余地も残されているケースもあるが、人気や価格の上昇に伴って多くのマイナーが参入してくる可能性も高い。
個人がマイニングに携わるには、クラウドマイニングと呼ばれるマイニング事業への出資や、プールマイニングと呼ばれるネットワーク経由で自身のコンピュータの演算能力を巨大マイニングプールへ提供する方法が現実的であろう。これらの場合、それにかかる手数料や出資先の信用状況にも注意したい。
文・MONEY TIMES編集部/MONEY TIMES
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