「老後資金を保険で貯める」時代は一昔前の話となりました。アラフォー女性のこれからの保険は「貯蓄と保険はまったく別」と考え、最小限の保険料で必要な保障のみを準備することを心がけましょう。 老後の保険で本当に必要なものについてご紹介します。

生命保険は自分が亡くなった場合に役立つ

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(画像=PIXTA)

お金を残してあげるパートナーや子供がいない場合、多額の生命保険金は不要です。葬儀費用と、自宅の片づけ程度の資金があれば良いので、貯蓄で300万円ほどもっている方であれば、特に準備する必要もないと思います。

ただし、自分の残す資産は相続手続きが完了するまで誰も動かすことができなくなります。「葬儀費用などを執り行ってくれる人にすぐに渡したい」ということであれば、生命保険の活用が有効です。書類さえ整っていれば、保険金の請求から1週間程度で支払われることが多く、万が一の場合に役に立ちます。

この場合の生命保険は、解約払戻金を考えなければ、終身保険や99歳まで保証される長割り定期保険よりも、定期保険の方が保険料は安く、検討に値するでしょう。

ただし、保険金の受取人指定は、誰にでもできるわけではないので注意が必要です。基本的には、2親等以内の血族までと決められているので、死亡後の一切を任せる予定の人に話を伝えて依頼し、承諾を得ておくことを忘れないでください。

医療保険は入院時に1万円前後給付されるものを

老後一番心配なことは、病気やケガによる入院です。入院に対して給付される医療保険には、加入しておきたいところですね。今までは病気ひとつせずやってこられた人でも、年齢を重ねるとあちこちガタが出てきます。思いもかけない状態で緊急入院!なんてことも起こりえます。

入院の際、多額の入院費用が掛かっても、公的社会保険には高額療養費制度があります。これを利用すれば、治療費は1ヵ月あたり8万円程度(目安の年収は約370万円から約770万円)、収入の多い方でも17万円程度(目安の年収は約770万円から約1,160万円)の自己負担で済むので、検討すべき医療保険は、病気や怪我で入院した場合に5千~1万円程度給付されるもので十分でしょう。

ただ、緊急入院した場合などに個室しか空いていない場合、差額ベッド代などで1日1万円前後かかることもあります。差額ベッド代は高額療養費の対象とはならないので、相部屋が難しいデリケートな方はこの金額も考慮して医療保険に加入しておく方が良いでしょう。

医療保険プラスがん保険に入るべき理由

二人にひとりが、がんになる時代、がん治療特化型の保険に入っていると心強いですね。がんと告知されたときのショックを乗り越えて闘病するにしても、お金が無ければ治療できる範囲が限定されてしまいます。

私が相談を受けていて不思議に思うのですが、「何かあったときのため」と貯蓄している方でも、自分の治療や闘病のために今まで貯めてきた資産を切り崩すことに抵抗を覚える人が多いのです。それであれば、がんの診断給付金があり通院治療で給付金が出るタイプのがん保険に加入しておき、がん治療に心置きなく使えるお金を用意しておいた方が良いのではないでしょうか。

医療保険は、がんを含めて病気やケガなどで入院すれば給付されるオールマイティーな保険ですが、がんの診断給付金や通院保障はついていません。最近のがん治療は入院せず、通院での抗がん剤治療が増えているため、そこに対応するには通院治療特約が付いたがん保険などが必要となることも多くなっています。

私も「医療保険とがん保険、両方必要なの?」とよく聞かれますが、そこはご自分が安心できる選択をしてもらえればと思います。基本は医療保険に加入しておいて、「我が家はがん家系だから絶対がん対策しておきたい!」という方は両方に加入で良いでしょう。

おひとり様だからこそ万が一の備えを大切に

私も腸閉塞で緊急入院、開腹手術、そのまま1ヵ月の入院生活を経験したことがあるのですが、ひとりでいるときに病気で倒れる心許なさは計り知れないものがありました。保険は、基本的に病気を発症してからだと加入できない可能性が大きくなります。また、年齢が上がってから入ると、保険料も高いのです。

保険料が家計を圧迫するような加入の仕方は問題がありますが、自分の心の支えとして持ち、家計の負担にならない金額で入るのであれば万が一の場合に頼りにできます。ただし、すでに保険に加入していて「保険料が高いから見直したい」と考えているのであれば、今後の自分に本当に必要な保険なのかどうか見直すことも大切です。

「どんなことにも貯蓄してある資産で対応するから大丈夫!」と決めている方以外は、老後に何が心配なのかをご自分できちんと考えたうえで、ご自身にあった保障を今から準備しておくことをおすすめします。

文・矢澤理惠(ファイナンシャル・プランナー)/fuelle

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