早いもので2018年ももうすぐ終わり。株式投資の税金で有利な扱いを受けるために年内にしておきたいことを確認しておきましょう。

いますぐ確認・把握しておきたいこととはいったい何?

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(画像=トウシル)

2018年もあと1カ月足らずで終わろうとしています。今年は筆者の周りの上手な投資家からも「非常に難しい1年だった」という声が聞こえてきます。

であるならば、せめて税金面で損をすることがないように、今年中にできることはやっておきましょう。

まず把握しておきたいのは、以下の内容です。

・2018年の株式の売却損益の合計
・2018年の配当金の合計
・2015年、2016年、2017年に生じた売却損のうち、確定申告により繰越ている金額

繰越損失が残っているならば「益出し」を検討

もし、繰越損失が残っているならば検討したいのが「益出し」です。益出しとは、「含み益を有している保有株を売却し、利益を実現させる」ことをいいます。

特に2015年に生じた売却損は、2018年中に利益と相殺して使い切らないと、切り捨てになってしまいます。2016年、2017年の売却損は2019年も繰越できますが、切り捨てになる前に利益と相殺できるのであれば、早めにしておいた方がよいでしょう。

例えば、2015年に生じた売却損の繰越額が100万円残っている場合、この全額を2018年の利益と相殺できれば20万3,150円分だけ税金を減らすことができます。でも、相殺できなければこの恩恵を受けることはできず、損失は切り捨てられてしまうのです。

注意しておきたいのが、2018年の損益状況です。2018年の売却損益と配当金の合計が損失となっている場合、利益を出してもまず2018年の損失から相殺することになります。2018年のトータルの損益がプラスになってはじめて、過去の損失の繰越額と相殺できますので気を付けてください。

利益が出ているならば「損出し」も一考

一方、何年も前から所有していた株式を今年になって売却したような方は、2018年トータルで利益となっているケースも少なくないと思います。こんなときは「損出し」をすることも一考です。

損出しとは、「現在保有している株のうち含み損を抱えているものを売却し、損失を実現させることで、利益と相殺して税金を抑えよう」というものです。

例えば今年の利益合計が200万円あり、損出しにより損失を50万円実現させた場合、50万円×20.315%=10万1,575円の税金を節減することができます。

なお、2015~2017年の繰越損失がある場合は、損出しをして今年の利益を減らすよりも、今年の利益と繰越損失を相殺させることを優先した方が有利です。

繰越損失を相殺してもなお利益が残るならば、損出しを検討すればよいでしょう。

特定口座で益出し・損出しする場合の注意

益出し、損出しする場合は保有株を実際に売却することになりますが、売却した株を買い戻すことももちろん可能です。

この場合、特に特定口座を用いているならば注意したい点があります。特定口座の損益計算のルール上、売却した日と同じ日のうちに買い戻しを行うと、益出しや損出しの効果が半減してしまうからです。

例えば特定口座にて株価1,000円で買った株を1,000株保有していて、これを現在の株価2,000円で売却すれば、実現する利益は(2,000円-1,000円)×1,000株=100万円です。

ところが、2,000円で売却したのと同じ日に特定口座で2,000円、1,000株買い直した場合、1株1,500円で2,000株所有しているうちの1,000株を売却した、とみなされてしまいます。その結果、売却による利益は次のように減少してしまいます。 {(2,000円×1,000株+1,000円×1,000株)÷2,000株-1,000円}×1,000株=50万円

益出し、損出しの効果をフルに享受したいのであれば、翌日以降に買い直しをするか、信用取引にて買い直しをするようにしましょう。

特定口座の源泉徴収あり・なしの切り替えも年内に

特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類があります。筆者は、確定申告不要、かつ当年中の売却損と配当金を証券会社で相殺(※)してくれる「源泉徴収あり」の方をお勧めしています。
※配当金の受け取り方法として株式数比例配分方式を選択している場合。

この源泉徴収あり・なしの切り替えは、その年に最初に株式等を売却するまでとなっています。ですから、来年から源泉徴収あり・なしを切り替えたいのであれば、今年中に手続きをしておくのが確実です。

【注】税金に関する記述は筆者が信頼できる情報をも基に執筆していますが、あくまで一例として、ご紹介したものです。実際の取引に際しては、公認会計士、税理士や税務署へご相談された上で実行することをお勧めします。

足立 武志(あだち たけし)
足立公認会計士事務所代表 公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー
個人投資家の「困った!」を解決する公認会計士。一橋大学商学部経営学科卒業。資産運用に精通した公認会計士として個人投資家向けに有用かつ実践的な知識・情報をコラム、セミナー、書籍、ブログ等で提供。株式会社マーケットチェッカー取締役として株式投資スクリーニングソフト「マーケットチェッカー2」の開発にも関わる個人投資家でもある。

(提供=トウシル

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