一般的な営利企業の中には、まだ副業を禁止するところも少なくありません。しかし昨今では、企業の就業規則のベースとなる「モデル就業規則」へ副業に関する規程が追加されるなど、副業を解禁する動きが進みつつあります。

その一方で、公務員にはより厳しく法律による制限が設けられています。しかし、中には法律や規則に則った形で副収入を得ることも不可能ではありません。今回は、公務員と副業をめぐるルールを整理するとともに、資産運用を含めて副収入を得る方法をご紹介します。

公務員は原則として副業禁止!

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(写真=PR Image Factory/Shutterstock.com)

2018年現在、公務員(国家公務員および地方公務員)が副業をすることは原則として禁止とされています。 国家公務員の副業については、国家公務員法の第103条と第104条でルールが設けられています。それによると、営利企業を経営したり役員などの地位に就いたりすることは禁止であり、また営利企業以外の事業で報酬を得て活動するには内閣総理大臣および所轄庁の長の許可が必要です。

また地方公務員の副業については、地方公務員法の第38条で定められています。任命権者の許可を受けなければ、地方公務員は営利企業の経営や役員などの地位の兼務、報酬を得て活動することができません。

つまり国家公務員は営利企業に関わってはならず、それ以外の事業でも許可を得なければいけません。地方公務員は、営利企業やそれ以外の事業に関わるには許可を得なければいけません。国家公務員と地方公務員でややニュアンスが異なるとは言え、公務員としての仕事以外に副業を持って収入を得ることは原則として禁じられていると解釈できます。

国家公務員法の第99条から第101条、そして地方公務員法の第33条から第35条では、「信用失墜行為の禁止」「秘密を守る義務」「職務に専念する義務」の3点が定められています。営利企業への接近が制限されるとともに、これら3点の規定を根拠として副業は制限されています。

ただし、国家公務員も地方公務員も許可が得られればある程度の副業はできるということでもあります。人事院規則によれば、「特別な利害関係が発生せず、職務遂行に支障がないとして人事院が定める場合でなければ承認しない」とされています。これらの条件をクリアする副業であればよいわけです。

公務員でもできる「副業・投資」

信用失墜行為に当たらず、守秘義務や職務専念義務に反することもなく、営利企業に近づかなければ、公務員でも副業で収入を得ることは可能です。具体的には、以下の5種類の副業および資産運用が考えられます。

・不動産投資
・株式投資
・社会貢献活動
・執筆・講演活動
・実家の手伝い(農業・酪農など)

不動産投資とは、購入した物件を貸し出して得られる家賃収入を目的とした資産運用です。ただし一定の規模を超えてしまうと「営利企業を経営している」とされ、人事院の定める所轄庁の長の承認が必要となります。ここで「一定の規模」とは、独立家屋の数が5棟以上、それ以外の建物(マンション・アパート)なら10室以上、賃貸契約の数が10件以上、賃貸料収入の額が年500万円以上、不動産に娯楽施設等の設備があること、旅館・ホテル用の建物があることを指しています。

株式や投資信託、債券、FXなどといった金融商品への投資も可能です。ただし、本業で知り得た秘密情報を活用した投資は「インサイダー取引」とみなされてしまいます。また投資対象の企業が国の機関と密接な関係にあり、しかもその企業が発行した発行済み株式の3分の1以上を保有する場合などに当たると、「株式所有状況報告書」を提出する必要があります。

社会貢献活動や執筆・講演活動については、法律や人事院規則で禁止事項として定められておらず、許可の必要な自営にも当たらないため可能です。もちろん、国家公務員法や地方公務員法で記載された信用失墜行為の禁止、守秘義務、職務専念の義務といった条件に反するものであれば禁止です。

農業や酪農などを自宅で兼業することも可能です。ただし営利を目的として大規模に運営されている場合は、「自営」とみなされるため注意が必要です。

将来的には公務員でも副業解禁?

これまで限定的にしかできなかった副業を、本格的に解禁する動きが存在します。2018年6月に政府で閣議決定された「未来投資戦略」の中で、「国家公務員については、公益的活動等を行うための兼業に関し、円滑な制度運用を図るための環境整備を進める」との記載が盛り込まれました。NPOやNGOのような非営利団体を目的とした副業に限定して認める方針が、2018年以降具体化されると予測されます。

一部の自治体に限られるものの、地方公務員については具体的な動きも見られます。神戸市では、2017年4月から職員が報酬を得て社会貢献活動に従事できるとする「地域貢献応援制度」を設けています。また奈良県生駒市でも、神戸市の事例を参考として2017年7月に職員が職務外に報酬を得て地域活動に従事する際の基準を定めました。

「副業解禁」とは言っても、信用失墜行為の禁止や守秘義務、職務専念の義務がなくなるわけではありません。そのため今後も厳しい条件がつくことは変わらないと考えられますが、少しずつ公務員の副業を認める仕組みの整備・普及が進むと期待されます。(提供:Incomepress


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