低コストが魅力のインデックス型

投資信託,トウシル
(画像=トウシル)

投資信託の運用手法には大きく分けてアクティブとパッシブ(インデックス)の2種類が存在します。アクティブは、ベンチマーク(運用の良し悪しを計る基準)として掲げられたインデックス(指数)を上回る運用成果を目指すのに対し、パッシブはベンチマークと同じ運用成果を目指します。特定の株価指数に連動するインデックス型は、パッシブ運用を行う投資信託の一種です。なお、資産運用の世界では、アクティブ運用に明確な定義は存在せず、完全なインデックス連動型でないものをアクティブ型と総称することが多くなっています。

分散投資の重要性を説いた現代ポートフォリオ理論によれば、保有銘柄が十分に分散化されたインデックス運用こそが最も効率の良い運用方法であるとされています。更にインデックス運用は、アクティブ運用のように銘柄選定に伴う調査費用がほとんどかかりません。機械的に運用できるため、信託報酬を比較的低く抑えることができ、結果的に投資家が負担する保有期間コストも低く抑えられるというメリットがあります。

インデックス型とベンチマークは「運命共同体」

しかし、機械的に運用を行うということはつまり、銘柄選定の自由度が低いということでもあります。ベンチマークである株価指数の組み入れ銘柄が何らかの理由で急落したり、信用不安が膨らんだ国の債券価格が下落したりという場合でも、指数算出会社が採用銘柄の見直しを行わない限り、特定の銘柄を排除することはできません。インデックス投信に採用されているベンチマークがどれも似ているのは、調査力、分析力に定評のある指数算出会社でないと、マーケットの実態を迅速に反映できないことも関係しています。

例えば、海外株式の代表的なインデックスとしては、モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)社が算出するMSCIインデックスシリーズが有名です。先進国のほか、新興国や世界全体を網羅したインデックスもあり、世界中で使用されています。年に4回行われる指数構成銘柄の入れ替え時には、新たに採用された銘柄の株価が上がったり、反対に除外された銘柄の株価は下がったりすることがあるほど大きな影響力を持ちます。

なお、残存年数や発行体によって表面金利などの条件が細かく異なる債券は、株式よりもインデックスの組成が難しいとされています。このため、国内投信でも完全なインデックス連動型というのは株式型ほど多くなく、あくまで特定のインデックスを参考指数として掲げるファンドが主流になっています。

運用
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篠田 尚子(しのだ しょうこ)
楽天証券経済研究所 ファンドアナリスト
慶應義塾大学法学部卒業、早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。国内銀行で資産運用関連業務に従事後、ロイター傘下の投信評価機関リッパーで市場分析担当、ファンドアナリストとして活躍。2013年より現職。

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