株式市場では度々、株価の割安性に注目が集まります。これは、株価が需給関係によって決まるからに他なりません。では、投資信託はどうでしょうか。投資信託の基準価額に「割安」または「割高」な水準というのは存在するのでしょうか。
投資信託の基準価額は需給では決まらない
投資信託の基準価額は、ファンドに組み入れられている株式や債券の時価総額を、保有者全体の口数で割ったものです。あくまで「口数あたりの時価総額」で、「価格」ではありません。このように、銘柄の需要と供給によって値段が上下する株価とはそもそもの性質が異なるため、基準価額の水準だけで、客観的にその投信が割安だ、割高だと判断することはできません。運用開始時の基準価額である1万円を大きく上回っていても優良なファンドは存在します。また、基準価額が数千円のファンドの中には、元本を削りながら分配を継続しているようなものも散見されます。
投信には投信の評価基準がある
株価の割安性を示す指標としては、PER(株価収益率=株価を1株あたりの利益で割ったもの)や、PBR(株価純資産倍率=株価を1株あたりの純資産額で割ったもの)がありますが、投資信託の評価ではこうした指標は使いません。投資信託では、取ったリスクに対してどれだけのリターンをあげたかを示す「シャープレシオ」や、ベンチマーク(運用の目安となる指数)のリターンをどれだけ上回ったかを示す「アルファ」などが多く用いられます。これらの数値は楽天証券ホームページ内、投資信託の銘柄詳細ページでもご確認いただけます。銘柄を選ぶ際の材料として参考にしてみても良いでしょう。
投資信託の評価で用いられる指標の例
篠田 尚子(しのだ しょうこ)
楽天証券経済研究所 ファンドアナリスト
慶應義塾大学法学部卒業、早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。国内銀行で資産運用関連業務に従事後、ロイター傘下の投信評価機関リッパーで市場分析担当、ファンドアナリストとして活躍。2013年より現職。
(提供=トウシル)
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