保険は、結婚や出産などライフステージが変わるごとに見直す必要があります。家族構成や資産状況などが変われば、必要な保障が変わるからです。住宅購入もまた、保険見直しの好機です。なぜなら、住宅ローンを組む際、生命保険の一種である団体信用生命保険(団信)に加入することが条件となっているからです。

住宅購入は保険見直しのタイミング

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(画像=リビタ)

団信とは、住宅ローン契約に付随する生命保険です。住宅ローンを借りた人が、完済前に死亡もしくは高度障害になった場合、ローンの残額を保険会社が代わりに支払います。これによって、残された家族はローンの心配なく自宅に住み続けることができます。

一方で、通常の生命保険(死亡保険)は、保険に加入した人に万が一のことがあった場合、あらかじめ設定した死亡保険金が支払われます。

この死亡保険金は、生活費や住宅費を基に必要保障額を算出しているはずなので、住宅を購入して団信に加入すると死亡時の保障が重複します。そのため、住宅購入時はすでに加入している死亡保険を見直すタイミングと言えます。

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保険の見直しは「重複」と「不足」を確認

住宅購入時の保険見直しのポイントは以下の4つです。

⑴現在加入している死亡保険の保障額はいくらか
⑵ローン残額分の保障を除いた場合の必要保障額はいくらか
⑶ローン残額分の保障を除いた場合、保険料はどう変わるか
⑷団信への加入で死亡保障以外に見直すべき点はあるか

重複する保障と足りない保障がないか調べることで、余計な負担を減らしながら万が一の時に備えることができます。

今入っている死亡保険の必要保障額が適当かを確認

2018年の生命保険の世帯加入率は88.7%(生命保険文化センター「平成30年度生命保険に関する全国実態調査」)なので、住宅購入時は多くの家庭で保険の見直しが必要になるでしょう。まずは今加入している死亡保険の必要保障額が適切かどうか確認してみましょう。

必要保障額は、「残された家族に必要なお金(末子独立までの家族の生活費・教育費・住宅費、葬儀費用・配偶者の老後資金)」から「残された家族に入るお金・貯蓄(遺族年金、会社員の場合死亡退職金・弔慰金、預貯金・有価証券、家族の収入)」を差し引いて算出します。

ここで必要保障額をシミュレーションしてみましょう。加入者の年齢は30歳、年収500万円、共働きで世帯年収は800万円と想定、子供は現在0歳で、進学先はすべて国公立とした場合、以下のようになります。(※価格比較サイト「価格.com」の必要保障額シミュレーションを使って試算)

住宅ローン残高が3,000万円ある場合……必要保障額3,566万円
住宅ローン残高を団信で弁済する場合……必要保障額566万円

細かな条件を変えればこの数値は変わるため、あくまで参考として見てください。ポイントは、ローン残額を考慮して生活費を算出するのと、住宅ローンは団信が全額返済してくれるのとでは、必要保障額に大きな差があることです。

必要保障額は人によって大きく異なるので、保険会社のWebサイトや比較サイトなどに設置されているシミュレーターで計算してみるといいでしょう。

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(画像=リビタ)

必要保障額を下げれば保険料が安くなる

必要保障額を下げた場合、保険料はどのくらい変わるのでしょうか。ある保険会社の商品では、定期の死亡保険なら、保険料は以下のように変わります。

保険金額3,000万円の保険(60歳満了)の場合……保険料月額4,936円
保険金額500万円の保険(60歳満了)の場合……保険料月額1,031円

受け取れる保険金額が少なければ、支払う保険料も安くて済みます。必要保障額を3,000万円から500万円に減額した場合、年間4万6,860円、60歳までの30年間で140万5,800円の節約になります。

保険料は、住宅ローンの金利に含まれていたり、自動で引き落しされたりするので支払っている実感は薄れがちですが、見直すことで大きな節約になるのです。

団信に入った場合に死亡保険以外で見直すべきもの

団信は、加入者が死亡または高度障害状態になった場合には住宅ローン残高を清算してくれますが、ケガや病気で仕事ができなくなった時の生活費の補てんはしてくれません。そのため、働けなくなった時の保障についても考えておいたほうがいいでしょう。

その際に考えられる手段には、以下のような選択肢があります。
・団信を疾病保障付きタイプにする
・就業不能保険や所得補償保険に加入する

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(画像=リビタ)

疾病保障付き団信は、死亡・高度障害に加え「ガン」「急性心筋梗塞」「脳卒中」の三大疾病にかかった場合でも住宅ローンの支払いが免除される保険です。三大疾病に、糖尿病や高血圧症疾患などの生活習慣病を加えた七大疾病保障付き団信などもあります。

ただし病気の種類や状態は細かく規定されているため、適用条件についてはしっかり確認しておくべきです。また住宅ローンの金利は、保障が手厚くなる分、通常の団信よりも高くなります。

就業不能保険と所得補償保険は、「働けない」状態に対して保険金が支払われます。長期の療養にも対応しており、医師の診断があれば病気も特定されません(精神障害やむちうちなどは除きます)。

その点は、保障限度日数が60~120日しかない医療保険や、疾病を限定する団信とは異なります。就業不能保険は生命保険会社が提供していて保険金は定額、所得補償保険は損害保険会社が提供していて保険金は実損分が支払われます。

働けなくなっても住宅費はかかります。万が一に備えて保障を手厚くすることを検討してみるのもいいでしょう。

住宅購入をきっかけに必要な保険について考えましょう

保険の無駄をなくすには、まず重複を避けることから始めます。同じ種類の保険に入っていないか、保障額が高すぎないかチェックしましょう。保険は一度加入すると保障内容を確認しなくなるものですが、住宅購入は保険見直しの良いきっかけになります。

文・篠田わかな(フリーライター、ファイナンシャル・プランナー)

(提供:のくらし

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