「老後に向けてどれくらい貯金すればいいのか?」という疑問は、多くの人の頭に一度は浮かんだことがあるでしょう。人によってその答えは異なりますが、少なくともそれを導き出すための必要な考え方はある程度共通しているはずです。それは、マネープランを立てて目標を定め、現状との距離を自覚して家計改善を始めることになります。
今回は、20代から30代の既婚者を対象に、老後の必要資金額を計算するための考え方や統計データなどをご紹介します。
平均的な高齢者夫婦の生活費を基に必要資金を計算
退職してからどれくらいお金が必要なのか、目安として統計データを基に計算してみましょう。総務省が毎年実施している「家計調査」によると、2017年における高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の毎月の実収入は20万9,198円であるのに対し、支出額は26万3,717円です。したがって、家計の赤字額は約5万4,000円となります。
赤字が毎月5万4,000円だとすると、年換算で約65万円です。厚生労働省の「簡易生命表」によると、65歳男性の平均余命(あと何年生きられるかを示す期待値)は19.57年、60歳女性の平均余命は28.97年です。したがって長めに見積もって退職後30年間生活することを想定しますと、2,000万円弱の不足額が発生する計算となります。
もちろん上記の計算結果は、入院や自宅の修繕、旅行、冠婚葬祭などの突発的な支出を考慮したものではありません。また、将来も年金として毎月20万円程度を受け取れるという想定に基づいています。突発的な支出を考慮したい、あるいは将来の年金制度には期待できないと考える人は、さらに必要資金は増えるでしょう。
以上を踏まえると、最低でも2,000万円は必要、余裕を持たせるならプラス数百万円以上は必要ということになります。現段階の統計データや制度、平均寿命などを基にすると、高齢者夫婦の必要資金はこの程度であると考えられます。
統計データを見ても老後の不安は解消されない
ただし、上で示した高齢者夫婦の収入額と支出額は、あくまで平均でしかありません。自分の老後の生活における必要資金は、自分をとりまく事情によって大きく左右されるはずです。定期的に病院へ通うような持病の有無、親戚関係、老後の仕事の有無など、必要資金に影響する変数は数限りなく挙げられるでしょう。
したがって、統計データだけで老後の生活に対する経済的な不安を解消するには至りません。自分の現在と将来を見据えて、必要資金の目安を考慮する必要があります。そして必要資金の目標額が固まったら、今からでも少しずつ貯蓄や運用によって増やしていく心がけが求められるのです。
人生設計と将来のマネープランを立てよう
自分の老後の必要資金を計算するには、人生設計とそれに伴うマネープランを立てるのがおすすめです。老後を迎える前に十分なお金を貯めておきたいなら、それまでに家計をシェイプアップして安定的に貯金できる体制を構築しなければなりません。そのためにも、いつどんなイベント(結婚、出産、子育て、マイホーム購入など)があり、どれくらい出費を必要とするか認識しておくべきなのです。
それぞれのイベント費用の目安を知るには、やはり統計データが一つの目安になるかもしれません。たとえば、結婚式およびパーティーの金銭的な負担があります。ブライダルサービスに関連するリサーチ会社が調べたところでは、2018年の結婚式・披露宴・披露パーティーの総額は平均で357万5,000円、そのうち自己負担分は142万8,000円となっています。また文部科学省の「平成28年度 子供の学習費調査」によると、幼稚園から高校までの学習費総額は最も安い場合(全て公立)で約540万円、最も高い場合(全て私立)で約1,770万円に達します。
こうしたデータもあくまで平均値にしか過ぎず、実際の自分のケースでは異なってくるかもしれません。それでも、事前にマネープランを立てる際の参考にはなるでしょう。こうしたイベントに備えてどうお金を用意するのか考えた上で、さらに老後の生活資金の貯蓄を目指す必要があるのです。若いうちから家計収支に配慮した生活を送り、無理のない範囲で不動産や株式などへの投資を含めた資産運用に励むべきでしょう。(提供:Incomepress )
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