「税金が安くなればいいのに」と考えたことがある方は多いのではないでしょうか。近年は増税の動きが目立っており、これまで会社に守られてきたとされる会社員でも自己責任で節税に取り組む重要性が増しています。

そこで今回は、社会保険料や消費税が以前と比べてどれくらい上がっているのか確認した上で、手軽にできる節税方法としてiDeCo(個人型確定拠出年金)とふるさと納税をご紹介したいと思います。

社会保険料、消費税……増え続ける税金と保険料

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(写真=Jirsak/Shutterstock.com)

会社から配布される給与明細に細かく目を通す人は、それほど多くないかもしれません。もともとの給与額と、税金や手数料などを差し引いた後の手取り額だけをチェックして、後は捨ててしまったり自宅のどこかに片付けたりするのがほとんどなのではないでしょうか。これだと、引かれている額が毎年どのように変わっているのか、気になることはあまりないでしょう。

しかし実際は、社会保険料や消費税などさまざまなコストが増え続けています。たとえば、厚生労働省によると会社員が支払う厚生年金の保険料率は2004年から2017年にかけて、段階的に上昇しています。2004年段階では13.93%だったものが、2017年9月以降は18.30%となっているのです。

仮に年収が600万円程度だとすると、毎年1万円以上も保険料が増えている計算です。厚生労働省は2017年をもって引き上げ終了(以降は18.300%で固定)としていますが、少子高齢化を踏まえるとさらなる引き上げがないとは言い切れません。

消費税も会社員の懐事情にダメージを与えています。1989年の竹下内閣時代に消費税法が施行されたときは、税率3%でした。それが5%(1997年)→8%(2014年)と上昇し、2019年10月より10%へ引き上げる方針が決定しました。10%への引き上げは2015年のうちに実施する方針でしたが、過去2回にわたって経済状況への配慮から延期された経緯があります。消費税は社会保障対策として設けられたため、2019年以降も社会保障の充実を理由に税率引き上げが繰り返される可能性もゼロではありません。

以上のように、給料から引かれる分が増えているため、結果として会社員の手取りとして残るお金は少しずつ目減りしているのが現状です。節税によって手取りを増やす方法があるのであれば、積極的に活用すべきなのは間違いないでしょう。

会社員がすぐできる節税方法

所得税や住民税といった代表的な税金、あるいは厚生年金保険料の額は、個人の所得に税率をかけることで決められます。したがって、経費や控除を駆使して見た目の所得を抑えることができれば節税につながると考えられます。多くの節税方法は、所得の抑制を目的とするものが大多数です。

中でも会社員にとって気軽に取り組める節税方法が、iDeCo(個人型確定拠出年金)とふるさと納税の2つです。iDeCoとは、自分でお金を出して老後の資金を作っていく「私的年金」の一種です。国民年金や厚生年金のような公的年金とは異なり、自己責任で掛金の積立とその運用指示を出す必要があります。

iDeCoに掛金を拠出すると、その全額が所得控除の対象となります。掛金として積み立てた分を年間の所得から引いた額が課税所得になるため、節税につながるのです。たとえば、年収500万円の人がiDeCoに50万円を掛金として拠出したと仮定します。この所得水準の人の所得税率は20%なので、一律10%の住民税も含めて15万円(=50万円×30%)もの節税となります。

ふるさと納税は、自分の住んでいるところ以外の市区町村に寄附を行う制度です。一般的な寄附とは異なり、見返りとして金額に応じた地域の特産品をもらえる点に特色があります。iDeCoと同じく、寄附した分が所得控除の対象となります。寄附金が大きいほど控除額も大きくなり、しかも貴重な特産品を入手できるのがメリットです。

ふるさと納税で控除対象となる掛金の額は、その人の所得や他の控除の有無などによって変わってきます。お得だからと言って、無制限に寄附できるわけではありません。控除対象となる限度額の目安は総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」から確認できますが、一例として給与収入500万円・夫婦共働き・子どもなしですと、年間6万1,000円が限度額として示されています。

iDeCoは各金融機関経由での申し込みが可能、ふるさと納税に至っては各種ポータルサイトや自治体のホームページからオンラインショッピングの要領で必要情報を入力するだけで申し込みが可能です。他にも会社員ができる節税方法はいくつもありますが、最も手軽な方法と言えるでしょう。

iDeCoとふるさと納税は、自分の勤め先とは関係なく自力で手続きを済ませる必要があります。国や会社に頼ることなく、自助努力でお金の計画を考える時代がやってきていると言えるでしょう。(提供:Incomepress

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