日本人の寿命が伸びるとともに、老後の生活に経済的な不安を抱える人は多いのではないでしょうか。実際に生活不安で生活保護を受給する高齢者世帯の割合は右肩上がりで、2018年9月段階では受給者全体の54.1%を占めるに至っています。長く生きることの経済的なリスクに、私たちはさらされているのです。

そこで今回は、老後に向けてどれくらいを貯蓄すればよいのか、大まかなゴールを提示するとともに、そのゴールを達成するための投資方法として「インカムゲイン」に着目したいと思います。退職した後も得られる収入源を構築することで、経済的な不安のない老後生活を送れるように準備しましょう。

老後までにいくら貯める?最低限3,000万円が目標

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(写真=kan_chana/Shutterstock.com)

老後に向けた投資の方法を検討する前に、投資の「ゴール」を決めておきましょう。貯めたい資産額と期限を設定することで、そのゴールに合った投資方法も変わってくるからです。「30年後に5,000万円貯めたい」というゴール設定に対して、金利0.010%程度の定期預金だけで達成できる人はほとんどいないはずです。

ゴールの決め方は、個人によって異なります。現在の年齢と貯蓄額はいくらか、老後にどんな生活をしたいのか、家族構成はどうか、老後も仕事をするのかなど、条件次第で設定すべきゴールは変わってくるでしょう。

自分が高齢者になった時の年金制度に、どれくらい信頼を置くかによっても変わります。公的年金がなくても生活できるようにするには、必要な額は自ずと増えます。自分の現状や考え方を踏まえて、頑張れば達成できそうな水準のゴールを設定してみてください。

どうしてもゴールが分からない場合は、老後の平均的な生活を参考にしてみましょう。総務省統計局が毎月実施している「家計調査」によると、2017年の高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の家計は毎月5万4,519円の赤字です。また高齢単身無職世帯(60歳以上の単身無職世帯)の家計は、毎月4万715円の赤字です。

退職してから同じ生活を30年間続けると仮定すると、赤字累積額は高齢夫婦無職世帯で約2,000万円、高齢単身無職世帯で約1,500万円となります。ただし、この額は毎月健康で最低限の生活費だけを使って生活している前提で算出されていますから、実際にはもう少し貯蓄が求められそうです。持ち家の修繕・リフォームや医療費、介護費、交際費などを加味すると、あと数百万円から1,000万円ほどは上積みしておくと余裕が出るでしょう。

以上を踏まえると、夫婦二人世帯では3,000万円ほど、単身世帯では2,500万円ほどを標準的なゴールとして設定してはいかがでしょうか。この額を基に、個々の事情を加味して自分なりのゴールを検討してください。

ハイリスクハイリターンな投資は避けよう

ゴールが決まったら、後は達成方法を考えるだけです。大きく資産を損ねる可能性がありますので、ハイリスクでハイリターンな投資は避けるようにしましょう。長期的なスパンで資産形成を考えるのであれば、なるべくリターンがそれほど高くなくてもリスクの低い方法を採用した方が無難です。

実際に計算してみると、そこまでリスクの高い投資方法を採用しなくてもゴールを達成できる人も多いのではないでしょうか。仮にゴールが3,000万円で現状の貯蓄額が1,000万円、年齢が40歳なのであれば、残り20年で2,000万円の上積み資金が必要です。平均して毎年100万円増えればよい計算ですから、収入額によっては普通預金だけで達成できるかもしれません。

しばしば「ローリスク(あるいはノーリスク)でハイリターン」を謳う投資勧誘広告が存在しますが、あまりおすすめはできません。一般的にリスクとリターンは相関するものであり、リスクが低ければリターンも低く、リスクが高ければリターンも高くなる傾向にあります。リスクが低いのにリターンが高いというのは、何かしら問題のある投資である可能性があるので注意が必要でしょう。

不動産投資で年金を補うインカムゲインを構築

仮にゴールとして設定した資産を形成できたとしても、予想外の事態が起きた場合、老後の生活設計に影響が出るかもしれません。せっかく達成した貯蓄が少しずつ目減りしていくと、心理的に焦りを感じる人もいるでしょう。

そういった事態に備えて、退職した後も収入=インカムゲインを得られるように準備しておくことを考えましょう。そこで検討したいのが、不動産投資です。本業を辞めても家賃収入は長く得られますし、不動産の管理は管理会社に委託できるので安心です。実際に、「私的年金」として公的年金を補う目的で不動産投資を続ける方も多くいます。

現役世代のうちから貯蓄に励むとともに、不動産投資のような収入の柱を構築しておくことが老後の生活にワンランク上の余裕をもたらすことになるでしょう。書籍やセミナーなどから、不動産投資の情報収集だけでも始めてみてはいかがでしょうか。(提供:Incomepress

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