日本企業の経営者の間で、「ROE(Return on Equity=株主資本利益率)」という指標が、今注目を集めています。これは、株主が出資した資金を、企業がどの程度効率よく利用し収益につなげているか、つまり経営効率を示す指標です。企業の株式に投資するうえでチェックするべき指標の一つ、ROEをもっと詳しく知りましょう。
ROEとは?
企業は、投資家が出資した資金と、銀行からの借入金や社債によって調達した資金を利用して、事業活動を行っています。このとき、投資家は自分の資金を経営者に委託・運用してもらっている状態なので、企業のROEは株主の資金を運用している利回りに近い存在です。
さら にROEを分解すると、
ROE=当期利益/自己資本
=(当期利益/売上高)×(売上高/総資産)×(総資産/自己資本)
=(当期利益率)×(総資産回転率)×(財務レバレッジ) となります。
つまり、ROEとは、収益性、資産の効率性、負債の有効利用度の3つを掛け合わせたものです。株式への投資判断をするとき、この3つの指標を同じ業界のなかで比較することで、業界内での経営の良し悪しが浮き彫りになってくるのです。
ROEが8%を超えると、株価が上がる?
さて、ROEが高くなると、特に8%を超えると、投資家の注目を集めて株価が上がる傾向があります。例えば、ROEの8%超えが注目された企業の一つ、ブラザー工業<6448>の株価は、同社のROEが大幅に上昇するという事を好感した投資家の買いが入り、年初来40%強の上昇率です。
国内企業のROEが 海外企業に比べて低いことが、国内株式市場低迷の一因とみなされています。実際、欧米の株式市場では平均ROEが15%程度である一方、日本では東証一部上場の大企業でもROEが10%に満たないところが多数あります。