◉不動産市場の上昇要因③〜金融緩和と実需改善の相乗効果〜


なお、このような環境の改善による実需の押上げは、アベノミクスが目指すマクロ環境の改善と相関関係にあります。金融緩和による景況感の改善は、個人消費や企業の設備投資の改善に結びつきます。その事は企業活動を活性化させ、新たな企業のオフィスの需要に繋がるかもしれません。

そうなれば、不動産市場への期待が更に高まり景況感は益々改善されていく好循環に入る可能性も存在します。


◉この不動産上昇は本物なのか?〜今後のポイント〜


ただ、上記のようなハイグレードビルの空室率の改善等、好感触を示す事実はあるのですが、まだ見通しが完全に開けたわけではありません。

現状の地価上昇のトレンドが本格化するかは、回復が鮮明なハイグレードビルとは対照的に、いまだ高止まりする中堅以下のビルの空室率の改善が必須となります。そしてその為には、「金融緩和と実需改善の相乗効果」が本格化し、中堅以下のビルへの入居の多い中小企業の業績が上向くことが必要です。
この事が実現するかは、未だ内容が定まっていないアベノミクス第3の矢、「成長戦略」が具体的で実現可能なものかどうかにかかっており、多くの注目を集めています。

そして、もう一点重要な事は、金融当局の動向です。平成の土地バブルも、2000年代のプチバブルも、金融当局の過度の規制が原因で崩壊が加速しました。
今後も不動産市場が順調に上昇を続け、「過熱」や「バブル」という表現がより目につくようになった時には、金融当局の動向には注意を払う必要があると思われます。

BY TOMB

photo credit: Neil Kremer via photopin cc