JACKさんは、主に株式投資を通じて億を超える財を築き上げた、「億り人」と呼ばれる人たちの1人である。他の億り人をはじめ、多くの個人投資家との密なネットワークを持ち、2018年には他の人たちの手法に関する本まで出版したほどだ。他の投資家の手法を自分の書籍で紹介できてしまうというところに、JACKさんと他の投資家との親密な関係が伺える。
また、JACKさんは“遊び好き”としても知られる(その道の本まで出版している)。世の中にはスポーツや釣り、旅行、ゲームなど様々な遊びがあるが、JACKさんのそれは、いわゆる“大人の遊び”。失礼な言い方ではあるが、年齢的には決して若いとは言えず、厚生労働省の分類でいうと25歳〜44歳の壮年期は過ぎている。それでも、JACKさんは遊ぶことを止めず、むしろ遊びでも円熟味を増してきたのかもしれない。その見た目も中年と呼ぶにはふさわしくなく、若々しさを保っている。趣味で続けてきた卓球の腕前は、大会で上位に入賞するレベルだ。
JACKさんの他の億り人とは大きく違う投資スタイルや「人脈」に対する考え方、さらには「なぜ稼ぐのか」「なぜ遊ぶのか」といった、これまで他のメディアではほとんど取り上げてこなかった深部に迫っていきたい。(聞き手:マネーライター、NET MONEY編集部 新井奈央)
目次
「億」を稼ぐまでの道のり
JACKさんの30年以上にわたる株式投資ライフが始まったのは、1980年代の後半。NTTの公募株売却で得た資金を元手に、親の勧めもあって株式投資をスタートさせた。ただ、順風満帆とは行かない。投資をスタートさせてから数年でバブルが崩壊し、これまで「何もせずに上がるもの」だった株式投資の世界が「何をしても下がるもの」に一変してしまったからだ。しかし、JACKさんは投資でも様々な工夫をこらし、200万円でスタートさせた資金を約10年で1000万円程度まで増やすことに成功する。
「当時はインターネットが普及していなかった時代。いかに他の投資家より情報を先に入手し、その情報をもとに売買することで利益を積み上げることができました」(JACKさん、以下同じ)
『会社四季報』を発売日の当日、それも店頭に並ぶのが早い東京駅近くの書店まで出向いて購入。それを徹夜で読み切り、まだ他の投資家が気付けていない増益や増配などのプラス材料を活用してトレードをした。「他の投資家に先んずる」をモットーに資金の積み上げに成功したわけだ。
株式投資をやめるかどうか迷うほどの損失を抱えてしまった際に出会ったのが、いまではJACKさんのトレードマークとなったIPO(株式の新規公開)投資である。IPO投資では、2010年の第一生命保険のIPOに8000万円超を投じて約1200万円の利益を得るなど、順調に資産を増やしていく。アベノミクス相場を背景に資産は2億円を突破し、その後も毎年1000万円以上の利益を積み上げている。2018年も多くの個人投資家が損失を抱えるなか、8桁に近い利益を確保したという。
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