2019年が始まった。平成は5月で終わり、新元号元年となる。4月には地方統一選、夏には参院選、10月には5年ぶりの消費税上げなどの大きなイベントが相次ぐ。

18年の金融市場は波乱の一年となった。日経平均株価は10月に27年ぶりの高値を更新したものの、12月の世界株安が直撃し、世界の主力株式市場が年初来安値を更新。日経平均株価は7年ぶりに前年比でマイナスとなった。アベノミクス以降の日本株の上昇相場は転機を迎えたのだろうか。特集第1回に続き、主要金融機関の予想を交えながら、19年の金融市場を予測してみよう。

年始特集2019年
(画像=ZUU online)

目次

  1. IMF世界経済見通し トランプ次第ではさらなる下方修正も
  2. 伊藤忠経済研究所、丸紅経済研究所、野村證券の経済見通し
  3. 外国人投資家動向は?三菱UFJモルガンスタンレー証券、大和証券の見通し
  4. カリスマ投資家のレイ・ダリオ氏「市場崩壊の警告」
  5. 日本経済、消費税上げによる低迷は限定的?
  6. 各社の日経平均株価予想 10年に1度の「買い場到来」の可能性も
  7. ドル円は狭いレンジ内の動きがメインシナリオ

IMF世界経済見通し トランプ次第ではさらなる下方修正も

世界経済を判断する上でベースになるのは世界通貨基金(IMF)の経済見通しだ。IMFは18年10月、世界通商摩擦や米長期金利上昇などを背景に、18年、19年の世界の経済成長率を7月予想から下方修正した。昨年までの世界同時好況から、世界的に景況感が曲がり角にきている可能性は高いと言えるだろう。IMFは、18年の世界見通しを3.9%から3.7%へ0.2%引き下げた。先進国は2.4%と変更がなかったが、新興国を4.9%から4.7%に0.2%引き下げた。世界景気はややスローダウンしたが、米国の一人勝ちが世界景気を支え、世界経済は12〜16年の3%半ばを上回る状態を保った。

19年の世界見通しも3.9%から3.7%に0.2%下げた。先進国全体を2.2%から2.1%に引き下げ、新興国を5.1%から4.7%に大きく下方修正した。先進国では、米国が2.7%から2.5%に下方修正され、欧州は1.9%、日本は0.9%と据え置いた。新興国では中国が6.4%から6.2%に引き下げられた。この景況感の後退が18年後半の世界株安のメイン・ファクターとなったのだ。

IMFの見通しでは、19年も世界経済は3.7%と高成長を保つ見込みではある。ただ、米トランプ大統領の追加関税案が全て実行された場合、IMFの試算によると、19年・20年の世界の成長率は0.8%前後、下方修正されるとしている。世界成長率は2.9%程度にまで減速する可能性がある。

12月20日にIMFが公開したブログが話題となった。『5つのグラフから見る 2018 年の世界経済』というブログだ。1つめのグラフは「減速途中」として世界の工業生産、世界貿易額、世界の製造業PMI(製造業購買担当者指数)がダウントレンドにあること、2つめは「貿易摩擦」として関税増の対象となる輸入製品が米中などで増えていること、3つめは「徐々に上昇中」として米国長期債利回りが上昇していること、4つめは「他国をしのぐ米国」として米ドルが独歩高であること、5つめは「借り入れコストの増加」として世界の新興国で借り入れコストが上がっていることをグラフで示した。1月21日に定例のIMF世界経済見通しの1月改訂が発表される。「世界経済の針路に関するIMFの見解をご覧頂きたい」と締めており、結論は述べていないが、まるで1月の下方修正を示唆しているようにもとれる。