前日の注目材料であったメイ英首相のEU離脱代替案ですが、内容としては議会からの反発が強いアイルランド国境問題への対応策修正を検討とのことで、具体的な修正内容は示しませんでした。内容としてはほぼゼロ回答に近いものではありますが、上記代替案を公表するとポンド買いが強まり、ポンドドルでは1.2850ドル付近から1.2900ドル台を一時回復する動きとなりました。今回の代替案は29日に議会で採決する予定であり、ポンドが買い戻されやすい状況ではありますが、場合によっては失望売りへと転化することも十分考えられそうです。
29日に行われる英議会での採決までは、再びポンドの動きが落ち着くことが想定されるため、ドルへの関心が高まりそうです。本日から25日にかけて、ダボス会議が開催されます。昨年の同会議では、ムニューシン財務長官がドル安容認発言を行ったことでドル円は110円台から108円台へ急落した経緯がありますが、今年は米政府機関閉鎖の影響で米国からの出席者はいないため、大きなサプライズはない公算です。ただ、ムニューシン米財務長官が対中関税引き下げ・撤廃を検討し、中国が2024年までに対米貿易黒字ゼロを目指して輸入拡大を示唆しているとの報道もあるため、あるとすればポジティブサプライズでしょうか。
1月30-31日に予定されている、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表と劉鶴中国副首相による米中通商協議に関するヘッドラインにも今後は重要になりそうです。ここまでは楽観論がベースにあるため、リスク選好の材料として見られていますが、懸念があるとすれば知的財産権問題でしょう。同問題については、進展がないとの報道が既に出ています。米国ではこの問題がクリアにならないと意味がないとの論調が強まっていることもあり、場合によっては失望売りを招くかもしれません。ただ、基本的にはこれまで同様にリスク選好主導になると思われます。
今後の見通し
21日は米国市場が休場となっていたため、本日の東京時間はその動きを受け継ぐかたちで方向感のない動きになっています。来週には大きなイベントが多数控えていることもあり、場合によっては109円半ば付近で膠着状態になるかもしれません。その場合は、ドル円については下値109.20円、上値109.80円付近の非常に狭いレンジでの動きになることを考慮した方がいいかもしれません。
イベントが多数控えているものの、本日のみにフォーカスすると、材料難の1日になりそうです。もしかすると、海外時間ではほぼ無風通過すると考えらえている明日の日銀金融政策決定会合が材料視されるかもしれません。基本的には、2019年・2020年度のコア消費者物価指数見通しの下方修正が議論され、2.0%の物価目標に向けたモメンタムは維持されているとして、金融政策は現行の緩和政策が維持されると考えられています。ただ、可能性としては非常に低く、本日はそれくらい材料が枯渇しています。
本日については、ドル円109円半ばで膠着か
109円半ばでの膠着状態が継続していますが、109‐110円のレンジについては、引き続き意識されていると考えられそうです。109.80円付近での売り戦略、損切りは110.10円に設定し、利食いは109.20円付近とします。
海外時間からの流れ
NY市場休場の流れが、本日の東京時間にも波及しており、マーケットのリクイディティが低下しています。基本的にはヘッドライン待ちの状況になっており、米中通商協議の話題がなければドル円はこのまま109円半ばでの膠着状態になりそうです。
今日の予定
本日は英・12月失業率、独・1月ZEW景況感調査、米・12月中古住宅販売件数などの経済指標が予定されています。
(提供:FXプライムbyGMO)
FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。