NISA・つみたてNISAは利益が非課税のため通常は確定申告不要である。しかし場合によっては分配金や配当が課税されるケースもある。NISA口座とNISA以外の証券口座について、損しないための確定申告の情報を紹介する。

分配金には課税されるものと非課税のものがある

nisa 分配 金 確定申告
(画像=riphoto3/Shutterstock.com)

分配金とは株式投資信託やETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)の収益や元本から投資家へ還元するお金であり、「普通分配金」と「元本払戻金(特別分配金)」の2種類がある。普通分配金は投資信託の収益から払われるため課税対象である。元本払戻金は投資信託の元本からの一部払い戻しになるため非課税である。

以下に表す分配金とは課税対象の「普通分配金」を意味することとする。

確定申告が必要なケースとは?証券口座別に解説

会社員は会社の年末調整で所得税額が決定して納税されるため、確定申告の必要がない人が多い。ただし、給与所得者であっても証券口座を持っているならば、節税のために確定申告を把握しておきたい。

証券口座には、一般口座、特定口座、NISA口座・つみたてNISA口座がある。

一般口座……自分で損益計算し、確定申告する必要あり

一般口座は自分で損益を計算し、確定申告や納税を自分で行う必要がある。一般口座は損益計算の手間がかかるため、投資初心者が一般口座を利用する必要はないだろう。

特定口座……証券会社が損益計算してくれる

特定口座は証券会社が損益計算をして、「年間取引報告書」を作成してくれる。特定口座には「源泉徴収なし」と「源泉徴収あり」の2種類がある。「源泉徴収なし」の特定口座では自分で確定申告を行い納税する。「源泉徴収あり」では証券会社が納税してくれるため、確定申告を行う必要はない。

NISA口座・つみたてNISA口座……利益は非課税なので確定申告は不要

NISA口座・つみたてNISA口座の利益は非課税のため、原則として確定申告は不要である。

以上のように特定口座「源泉徴収あり」やNISA口座・つみたてNISA口座を利用すれば確定申告は不要である。一般口座や特定口座「源泉徴収なし」であっても、給与所得者であれば証券口座などの利益の合計が20万円以下であれば確定申告は不要である。

NISAは売却益や分配金が非課税となるが損益通算はできない

NISA・つみたてNISAのおさらいとして、メリットとデメリットを確認しておこう。

NISA・つみたてNISAのメリットは利益が非課税となることだ。NISAは毎年120万円までの株や投資信託の投資に対して、売却益や配当金、分配金が5年間非課税となる。つみたてNISAは毎年40万円までの投資信託の投資に対して、売却益や分配金が20年間非課税となる。NISA(以下、つみたてNISAを含む)を利用しない場合は、利益に対して20.315パーセントの税金を納める必要があるため、NISAはとてもお得な制度と言える。

NISAのデメリットは損失を損益通算できないことだ。NISA以外での株や投資信託の損失は損益通算で損失分の税金を減らすことができるが、NISAでの損失は損益通算できない。

NISAでも分配金や配当に課税されるケースがある

NISAは分配金や配当の受け取り方法を「株式数比例配分方式」にしていないと、ETF(上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)の分配金や株の配当が課税対象になってしまう。株式数比例配分方式とは、証券口座で分配金などを受け取ることである。なお株式投資信託の分配金は受け取り方法に関わらず非課税である。

分配金や配当を受け取るほかの方法には、郵便局で受け取る「配当金領収証方式」や銀行口座で受け取る「登録配当金受領口座方式」がある。配当金領収証方式や登録配当金受領口座方式の場合には、ETFやREITの分配金や株の配当は源泉徴収される。

つまり、NISAであっても「株式数比例配分方式」以外で受け取ったETFやREITの分配金や株の配当は源泉徴収により税金が引かれ、確定申告は不要である。

なお、分配金や配当の受け取り方法を変更する場合、複数の証券会社に口座を持っていると、ほかの証券会社の受け取り方法も自動的に変更されるので気を付けたい。

確定申告は「総合課税」と「申告分離課税」の2種類

確定申告する場合には「総合課税」と「申告分離課税」を選ぶことができる。

総合課税……分配金や配当を他の所得と合算して税金を計算する

総合課税とは、株の配当や投資信託の分配金を「ほかの所得」と合算して税金を計算する方法である。ほかの所得とは、給与所得、事業所得、不動産所得、譲渡所得などが含まれる。なお、株や投資信託の売却益や売却損は総合課税の対象外であり、総合課税の申告に含めることはできない。

総合課税では、株の配当や投資信託の分配金に対して配当控除を受けることができる。総合課税の税率は累進課税であり、所得が低いほど税率が低くなる。

申告分離課税……他の所得とは分離して税金を計算する

申告分離課税とは、株や投資信託などの利益をほかの所得とは別々に税金を計算する方法である。申告分離課税での株や投信信託の売却益や配当、分配金などの税率は20.315%(所得税と復興特別所得税15.315%+住民税5%)であり、源泉徴収の税率と同じである。

確定申告するとお得な3つのケース

確定申告を行えば払いすぎた税金が戻ってくるケースがあり、そのような場合には確定申告をきちんと行いたい。

総合課税では、合計所得金額が低いと配当や分配金の税率が下がる

総合課税の税率は累進課税であり、所得が低いほど税率が低くなる。株の配当や投資信託の分配金に対して配当控除があり、課税所得合計が900万円以下の場合は、総合課税を選んだほうが節税につながることがある。

申告分離課税では、損益通算で利益と損失を相殺できる

複数の証券会社の口座を利用し、ある証券口座では利益があり、別の証券口座では損失がある場合に、損益通算をすることで税金を減らすことができる。

たとえばA証券の口座で100万円の利益を得て、B証券の口座で50万円の損失を出した場合、損益通算することでトータルの利益は100万円-50万円=50万円になり、50万円に対しての税金を納めればよいことになる。

申告分離課税では、繰り越し控除で損失を3年間繰り越せる

証券口座の損失は3年間繰り越すことができ、利益が出た年と損益通算できる。

たとえば2017年に30万円の損失を出し、2018年に100万円の利益を出した場合、2018年分で納めるべき所得は損益通算で100万円-30万円=70万円になり、70万円に対しての税金を納めればよいことになる。

確定申告にはデメリットもある

確定申告は、場合により節税メリットがあるが、デメリットもあるので気を付けたい。

おさらいになるが、特定口座「源泉徴収あり」の所得は源泉徴収で納税されるため、確定申告の必要はない。確定申告しなければ、所得税などを計算する際の合計所得に特定口座「源泉徴収あり」の利益は含まれない。しかし、損益通算などのために確定申告すると、その利益が合計所得に含まれることになり、所得税額などに影響する。

専業主婦の方などが確定申告する場合、所得控除を引いた合計所得金額が38万円を超えると配偶者控除や扶養控除などを受けられなくなることがある。確定申告により合計所得金額が上がるケースに気を付けたい。また、自営業の方などが国民健康保険に加入されている場合は、合計所得金額が増えると健康保険料が上がることもある。

このような心配がある時は、確定申告による節税メリットとこれらのデメリットを具体的な金額で比較するといいだろう。

確定申告を難しく考える人もいるが、何回かやればスムーズにできるようになる。2019年1月からはスマートフォン専用画面で確定申告書を作成できる「スマート申告」が始まり、確定申告をより簡単にできるようになった。

確定申告で迷ったら、FP(ファイナンシャルプランナー)や金融機関、税務署などに問い合わせることをおすすめする。

文・松本雄一(ビジネス・金融アドバイザー)/MONEY TIMES

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