メルカリは、スマートフォンから個人でも簡単に品物の売り買いができる独自のフリマアプリを市場に提案して、大成功を納めている企業です。急成長を遂げているメルカリでは、従業員一人ひとりのパフォーマンスを最大限に評価する、絶対評価の新しい人事評価制度を導入しています。

メルカリが新人事評価制度を取り入れた目的

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(画像=Photographee.eu/Shutterstock.com)

メルカリは企業として「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」という明確なミッションを掲げています。現在は多くのモノが販売され捨てられており、地球資源が無駄になっています。しかし捨てられるモノの中にはほかの誰かにとって価値があるモノもあるとメルカリは考え、「捨てる」ということをなくすために個人間で簡単、安全に売買できるフリマアプリを日本とアメリカで展開しています。

メリカリは、ミッション達成を目指していくためのバリューとして、Go Bold(大胆にやろう)、All for One(全ては成功のために)、Be Professional(プロフェッショナルであれ)という3つの行動指針を持っています。メルカリが絶対評価を取り入れた新しい人事評価制度を導入した背景には、こうした従業員個人のプロフェッショナルとしてのパフォーマンスや、バリューの体現などを企業としてきちんと評価する仕組みを制度化するためです。

「絶対評価」「ノーレイティング」がメルカリ新人事評価制度のポイント

メリカリは、2018年1月に従業員をよりパフォーマンスやバリューの体現などで評価するために、既存の人事制度を刷新し、「絶対評価」と「ノーレイティング」を評価制度に明確に盛り込みました。

絶対評価とは

絶対評価とは、ほかの従業員との比較で評価する相対評価と異なり、従業員個人のプロフェッショナルとしてのパフォーマンスバリューの体現などの評価基準に従って、一人ひとりを客観(絶対)的に評価するものです。メルカリの新人事評価制度における絶対評価では、従業員それぞれのパフォーマンスに見合った評価を適切に行うことを目指しています。

メルカリの従業員は、Be Professional(プロフェッショナルであれ)という行動指針に合致したプロフェッショナル志向を持っているメンバーが多いため、パフォーマンスで評価されることに納得感を得ています。

ノーレイティングとは

レイティングを採用している人事評価制度では、事業部単位やチーム単位に原資が分配され、その原資の中で従業員を「S評価」「A評価」「B評価」などのランクに分けて評価していきます。一方、メルカリの新人事制度では、ランクに分けて評価しないノーレイティングを採用しています。

メルカリでは、Go Bold(大胆にやろう)という行動指針に沿って、成果をあげて成長する個人を大胆に評価するため、原資を持たず、昇格や昇給幅に制限を設けていません。

メルカリ新人事評価制度における2つの課題

メルカリ新人事評価制度の運用フローでは、従業員の一次評価をマネージャーが行い、二次評価をほかのマネージャー同士で「評価キャリブレーション」という会議にかけ、評価の妥当性を相互に確認しています。絶対評価とノーレイティングを採用したメルカリの新人事評価制度での従業員評価は、人事部だけでなく、評価に携わる評価者にとって難しい作業になります。

評価者側からすると、相対評価や原資の分配を取り入れたレイティング評価を採用すれば、判断がしやすい評価方法になりますが、メルカリの新人事評価制度は評価者にとって難易度が高く、2つの大きな課題を抱えています。1つ目は、ノーレイティングで昇格や昇給幅に制限がないので、マネージャーがその金額にロジックや評価を持たせにくい点です。2つ目はキャリブレーションコストが多くかかる点です。

既存制度にとらわれず新しい人事評価制度を考える

いくつかの課題はあるもののメルカリの新人事評価制度は効果的に機能しています。ミッション達成を目指していくためのバリューの実現には、従業員個人のプロフェッショナルとしてのパフォーマンスやバリューの体現などを企業としてきちんと評価する仕組みが必要です。絶対評価とノーレイティングを採用したメルカリ新人事評価制度のように、既存制度にとらわれず新しい人事制度を考えることは、従業員の評価に対する納得感を得るためにも大切なのです。(提供:あしたの人事online


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