生命保険の加入後は、ライフイベントに合わせて保障を見直すことが大切だ。保障の見直しには解約という選択肢もあるが、一度解約すると後戻りすることは難しい。保険を見直す際には、解約以外の方法も併せて検討すべきだ。

生命保険は解約する前に4つの方法で見直しを検討

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(画像=zimmytws/Shutterstock.com)

必要な保障額は、ライフステージによって変化していく。一般的に、必要保障額が大きくなるのは妻の出産後だ。その後は、年数が経つにつれて必要保障額は下がっていく。子どもが働くようになると、子どもの分の生活費や教育費が要らなくなるからだ。保障が不要になれば生命保険を解約しても問題ないが、保障の一部を残したり保険料を抑えたりしたい場合は、解約以外の方法を考えたい。

方法1……生命保険金を減額して保険料を抑える

生命保険は、不要な保障をカットすることで保険料を減額できる。これは保険の一部を解約することを意味し、保険金額が減る代わりに保険料が安くなる。減額部分に対して解約返戻金が発生することがある。通常、解約返戻金は払い込まれた保険料より少なく、まったくない場合もある。生命保険金の減額は、あくまでも不要な保障を減らして保険料を抑えるためと考えよう。

方法2……積立型の保険を払済保険に変更して今までの保険を継続する

積立型の保険が対象だが、保険料の払込をなくしたい場合、払済保険に変更することもできる。払済保険は、保険料の払込を中止する時点の解約返戻金をもとに、保障額の少ない保険に変更する方法だ。そのため、解約返戻金のない保険を払済保険に変更することはできない。

払済保険のメリットの一つは、解約せずに保障を継続できることだ。保険金額は少なくなるが、保険期間は変わらず最低限の保障を確保しながら保険料の負担をなくすことができる。解約返戻金は一旦なくなるが、解約には当たらないため変更しても解約返戻金が上昇していくメリットもある。ただし変更後は、特約がなくなる点と、元の保険に戻すには一定の条件がある点には注意したい。

不要な支出は抑えつつ、今までの保険を残したい場合は払済保険を活用しよう。

方法3……延長保険に変更して保障を継続する

払済保険に似た方法として、延長保険に変更する方法がある。延長保険では保険料の払込を中止した時点の解約返戻金をもとに、死亡保障のみの定期保険に変更する。払済保険との違いは、延長保険は保険期間が短くなるが保障額が変わらないことだ。定期保険に変更した後は、解約返戻金が発生しなくなることも認識しておこう。

延長保険は、保険料負担をなくして保障を継続したい場合に活用するといいだろう。

方法4……生命保険の特約のみを解約する

主契約を変更せずに保険を見直す方法として、特約のみを解約する方法がある。特約には、死亡保障を手厚くする特約、病気やケガに備える特約、不慮の事故に備える特約などがある。保険に複数加入していると、保障内容が重複していたり、必要以上に保障が多かったりすることもある。そのような時は不要な特約を解約し、必要なものだけ残すことも検討したい。

特約は一定期間ごとに継続される更新型と、更新のない全期型に分かれる。更新型では、更新のたびに保険料が上がるのが一般的だ。見直さずに放っておくと、いつの間にか保険料が上がっていることもあるため、不要な特約は早めに解約しておこう。

保険は目的ごとに分けて加入するほうが見直しやすい

必要な保障内容はライフステージごとによって変わるため、保険に加入する時は将来見直す可能性を前提に検討したい。よって、保険は目的ごとに加入するのがいいだろう。

例えば、死亡保障と貯蓄機能がセットになった終身保険では、死亡保障だけ残して貯蓄機能のみを解約することはできない。貯蓄したお金を引き出そうとしたら、死亡保障も解約しなくてはならないのだ。別々に加入しておけば、必要な時に必要な部分だけを見直すことができる。

生命保険を解約する前にその他の方法も検討しよう

必要のない保障なら生命保険を解約しても問題ないが、当然解約以降の保障はなくなる。解約すると同じ条件で加入し直すことは難しいため、解約前には今回紹介した4つの方法も含めて慎重に検討してほしい。

文・國村功志(資産形成専門ファイナンシャルプランナー)/MONEY TIMES

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