2019年3月28日(木)Market Talkの内容

●金利が低下しているのに景気や国際政治の先行き懸念で株価の上値が重いです。日経平均が22,000円を上抜けるのはいつごろと見ていますか。

2018年は長期金利の上昇を嫌気して米国株の急落が2回起きているが、今はその逆の現象になっている。FRBも利上げを停止、世界の中銀がみなハト派姿勢になっている。今は結局堂々巡りで「世界景気が悪い、だから中銀がハト派になり、それで金利が下がる」といった世界景気が悪いところを起点に出来上がっているスト-リーなので株価は上がらないが、そこを切り離して、中銀がハト派になり金利が下がる‐ここだけみれば株価が上がらないほうがおかしい。起点だった景気が年後半から立ち直ってくる兆しが少しでも見え始めたら株価は立ち直ってくるだろう。決算発表が始まる頃には22,000円に到達していると思う。また元号が変わることによりセンチメントもだいぶ変わってくる。4月は外国人の買いも期待できる。

●迷走する英国の離脱問題ですが、英国にヨーロッパ拠点を置いている日本企業の業績にはどのような影響が出るか教えて下さい。

影響はあまり出ないだろう。自動車メーカーの撤退などがあるが、日本の企業業績や景気にとってはそれほど騒ぐほどの話ではないと思う。

●世界景気減速懸念から欧米で金融緩和が進んでいるものの日本は手段がほぼないため円高・株安を招かざるを得ないとも思うが広木さんの見解は?

手段がないわけではない。4月に日銀短観が出るが、大幅に悪化となると何もしないわけにはいかないだろう。ETFの買い入れ増額、イールドカーブコントロールを一段と強化するなど手はいくらでもある。次の日銀の政策に注目があつまるだろう。

●広木さんの日経30000円はPER15倍が前提となっていますが業績よりも日本株に対して否定的な見方が多く、PER13倍あたりが限度のような気がします。

理論的には金利が下がるとバリュエーションが上がる。この金利低下の環境下はPER15倍に戻っていく一つのいい材料になるんじゃないかと思う。

●日本株は、相変わらず不安定な状況が続いています。4‐6月にもう一度下げ、下期に向けて反発と見ておられますが、下値目途はどのぐらいだと思われますか?

20,000円台前半ぐらいだろう。何かしらの下振れ、業績の底打ちなどがくると4‐6月に株価ももう1回下がる可能性をみておいたほうがよいだろう。そうなると4月に外国人買いで1回22,000円を抜けても、4‐6月で2番底を探りにいく展開か。

●FRBの利上げ打ち止めで、これからは円高になってしまうのでしょうか?

FRBが利上げをやめるというのはマーケットに織り込まれていたので、実際にやめてもそうそう円高には振れないし、実際そうなっていない。今一時的に円高に動くのはマーケットがクラッシュして短期的にリスク回避の円買いがはいっているだけ。基調として円高の方向にいくという感じではない。ただ問題は今後利下げの可能性といった話が出るかどうかだ。

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広木 隆
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト

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