スマートハウス市場の現状

矢野経済研究所は、スマートハウス・ZEH関連主要設備器市場を(1)制御系機器:HEMS、スマートメーター、(2)創エネ系機器:太陽光発電システム、燃料電池システム、ガスエンジンコージェネレーションシステム、(3)畜エネ機器:家庭用蓄電システム、V2H(Vehicle to Home:電離自動車から住宅への電力供給装置)の住宅用7機器で定義し、その市場規模についての調査を行い2011~2013年度までの市場規模を以下のように推計しています。2011年度 約6,616億円、2012年度 約7,820億円、2013年度 約8,646億円。この3年間だけでもしっかりとした右肩上がりの成長をしています。市場規模の大半を占めるが太陽光発電システム。これは補助金制度に加えて、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の大きな後押しを受けた結果だと言います。また、伸びが目立つのが、補助金制度が導入されハウスメーカー等の採用も進んでいるHEMSや家庭用蓄電システムのようです。


スマートハウス市場の今後

同じく矢野経済研究所では、スマートハウス・ZEH関連主要設備器市場の今後の規模を以下のように予測しています。2014年度 約9,189億円 2015年度 約9,486億円、2020年度 1兆1,795億円。今後も右肩上がりの成長を予測しています。その追い風となる要因を2つ挙げています。

1つ目の要因は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の買取価格と電気料金の逆転です。現在の買取価格は、電気料金にプレミアムが乗ったものになっています。それにより、太陽光発電システム等の導入を国民に促しています。しかし、そのプラミアム価格も2014年度には終了しますので、早ければ2016年〜2017年にはこれが逆転すると考えられ、太陽光発電システムで発電した電力は、これまでのように売電するよりも、自宅で消費した方が経済的となるとみています。

そして、2つ目の要因は、2016年に予定されている電力小売の全面自由化です。それにより、多様な事業者が市場に参入してくるので、その料金体系は電力の需要に応じて電力料金単価の変化する時間帯電力料金メニューが多様化すると予測しています。これら2つの要因によって、家庭用太陽光発電システム等で発電した電力を有効に利用し、それでも足らない電力を出来る限り安い価格で購入するといった電力消費スタイルが、一般家庭でも増加していく。その結果として、家庭用蓄電システムやHEMSの普及が一層進み、スマートハウス市場規模も拡大していくと予測しています。


スマートハウス市場の役割

スマートハウス市場は、政府、企業、消費者の全てにとって、大きな役割を果たそうとしています。例えば、政府は原子力発電所の稼働停止に起因する電力不足問題の解決策としてスマートハウス市場を注目しています。そして、企業は日本企業の生き残りに活路を見いだす場として、スマートハウス市場を利用しています。

また、消費者は、スマートハウス市場の規模が拡大し数々の企業がこの市場に参加することによって、製品の価格も下がることで恩恵を受けることになります。このように、内需の構成要因である政府、企業、消費者がスマートハウス市場を通して、それぞれの恩恵を受けることができ、尚かつ内需も高められることができるのなら、スマートハウス市場の役割は計り知れないものと言えるのではないでしょうか。

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