保険は保険会社の営業員による直接契約が主流であったが、保険代理店を活用する人も年々増えている。保険代理店の特徴を押さえるとともに、直接契約との手数料やサービス内容の違いも確認しておきたい。

保険会社の直接契約と保険代理店の違いとは

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(画像=fizkes/Shutterstock.com)

保険会社の直接契約は、「生保レディ」を思い浮かべるとわかりやすいだろう。生保レディは、特定の保険会社の社員として自社の保険を販売するために営業活動を行っている。ピーク時には約45万人が働いていたが、販売チャネルの多様化などを背景に減少している。一方で、存在感を強めているのが保険代理店だ。

保険代理店は、保険会社から委託契約を受けて保険の提案や販売を行っている。契約後も保険契約の変更や解約、保険金支払い手続きなどのサポートを行う。保険契約が成立した場合、委託契約に基づいて保険会社から保険代理店に手数料が支払われる仕組みだ。

消費者にメリットが大きいのは乗合代理店

保険代理店の種類は、大きく2つに分かれる。

専属代理店 1社の保険会社1社とだけ委託契約をしている保険代理店

専属代理店は、1社の保険会社とだけ委託契約をしている保険代理店だ。不動産会社や自動車ディーラー、旅行代理店などが専属代理店になっているケースが多い。家の賃貸契約を結んだ時に、火災保険を提案されたことがある人は多いだろう。専属代理店では、本業に関連のある保険を販売していることが多い。

乗合代理店 2社以上の保険会社と委託契約を結んでいる保険代理店

乗合代理店は、2社以上の保険会社と委託契約を結んでいる保険代理店で、複数の保険会社の商品を取り扱っているのが特徴だ。専属代理店より消費者のメリットは大きいと考えらえるが、契約している保険会社の数によって扱う商品数は異なる。

保険代理店は来店型保険ショップが台頭

保険代理店の中でも存在感が大きくなっているのは乗合の来店型保険ショップで、「ほけんの窓口」「保険クリニック」「保険見直し本舗」などがある。来店型保険ショップは数十社の保険を扱っているのが特徴で、大手保険会社も参入するほど市場が成長してきている。

実際、来店型保険ショップの契約件数や契約保険料は右肩上がりで推移しており、今後も保険契約チャネルに占める割合は大きくなっていくだろう。

保険代理店と直接契約 手数料やサービス内容に違いはあるか

保険代理店と直接契約に、手数料やサービスの違いはあるのだろうか。

結論から言うと、保険契約における手数料には違いはない。保険会社との直接契約でも保険代理店を通じた契約でも、消費者が支払う保険料は同じだ。手数料は保険料に含まれており、代理店契約の場合は手数料の一部を保険代理店が受け取ることになっている。

サービス内容で最も差が出るのは、商品を比較検討できるかどうかだ。直接契約の場合、営業員は自社商品しか扱うことができないので、比較しながら決めたい人には適さないかもしれない。その点、乗合の保険代理店は、複数社の保険を比較しながら検討できるのがメリットだ。

ただし保険代理店は、保険会社からの手数料の高い商品の販売を勧められることがある。消費者のための提案か、手数料を稼ぐための提案かを見分けるのは難しいので、乗合代理店で相談する場合も、いくつかの保険代理店や営業員に相談して比較検討したい。

保険は慎重に検討すること

乗合代理店だからといって提案内容が優れているわけではない。1社専属の営業員でも総合的なアドバイスをしてくれる人もいるだろう。保険は長く続けるものなので、加入や見直しをする時にはいくつかの提案をじっくり見比べて、慎重に検討するのがいいだろう。

文・國村功志(資産形成専門ファイナンシャルプランナー)/MONEY TIMES

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