2万2000円の大台を試す 米国株の動向や中国の経済指標が鍵
今週の日本株相場の焦点は、日経平均が上方から垂れてきている200日移動平均(2万1911円:4/5時点)に頭を抑えられることなく、2万2000円の大台を試すかという点である。メインシナリオは200日線をあっさり抜けて、2万2000円の大台を回復するだろうと想定している。
そのメインシナリオ実現には以下の4つが鍵となる。
①米国株の堅調持続:S&P500は7日続伸と2017年以来で最長の連続高を記録。昨年9月に付けた史上最高値まであとわずか38ポイントに迫った。米国株が再び史上最高値更新となればリスクオン・ムードが高まり日本株にも追い風となろう。
②中国の経済指標:消費者物価指数などの発表もあるが、注目は貿易統計だ。2月の統計では輸出は前年同月比で2割も落ち込み、中国景気減速の象徴として相場でも悪材料視された。3月は市場の予想では前年同月比7.7%増と大きく改善することが見込まれている。予想通りの改善となれば、2月は春節の影響を大きく受けた異常値で、中国景気減速の最悪期は過ぎたとの認識が広がりそうだ。
③2月期決算発表:今週は小売りなど2月期決算発表が本格化する。小売りは全体的に業績が振るわない。イオンは5日、前期(2019年2月期)の純利益が4%減の236億円になったと発表した。期初に示した従来予想(43%増の350億円)から一転、減益となった。但し、日経新聞の業績観測記事でABCマートが大幅安となるなど、すでに一部は織り込み済み。注目は11日のファストリと安川電の決算発表だ。
④欧州の動向:BREXIT関連では12日が合意なき離脱の期限。10日の臨時EU首脳会議で「合意なき離脱」が避けられるかがおおよそ決まる。同じ日に欧州中央銀行(ECB)理事会も開かれる。ドラギ総裁のコメントに注目が集まる。
これらのポイントをすべて無難にクリアして、日経平均は2万2000円の大台を回復するだろう。
予想レンジは2万1600円 - 2万2100円とする。
広木 隆(ひろき・たかし)マネックス証券 チーフ・ストラテジスト
上智大学外国語学部卒業。国内銀行系投資顧問。外資系運用会社、ヘッジファンドなど様々な運用機関でファンドマネージャー等を歴任。長期かつ幅広い運用の経験と知識に基づいた多角的な分析に強み。2010年より現職。著書『9割の負け組から脱出する投資の思考法』『ストラテジストにさよならを』『勝てるROE投資術』
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