多くの商品が存在する生命保険や医療保険。細かい契約内容は異なるが、基本となるタイプは限られている。それぞれの特徴を知り、加入目的や必要な保障に合った保険を選べるようになりたい。

保険の契約前に知っておきたい保障のカタチ

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(画像=Monster Ztudio/Shutterstock.com)

保険は複雑だと思われがちだが、保障のカタチはある程度決まっている。基本的な保障の種類を押さえ、それぞれの強みや弱みを知れば必要な保険を選びやすくなるはずだ。今回は多くの人が検討する生命保険と医療保険の主な種類について見ていこう。これから保険に新規加入する人も見直す人も、契約を進める前に再度商品の特徴を確認してもらいたい。

死亡保険の種類とそれぞれのメリット、デメリット

死亡保険は、被保険者(保険の対象)が亡くなった時または高度障害状態になった時に保険金が受け取れる。主な保障の型として、定期保険、終身保険、定期付終身保険(定期保険特約付終身保険)、収入保障保険がある。

定期保険は、10年や20年など一定期間有効な死亡保険だ。それに対して終身保険は、被保険者が亡くなるまでの一生涯を保障する。その2つを組み合わせたのが定期付終身保険で、基本は終身保障だが、一定期間のみ定期保険の保障が上乗せされている。収入保障保険は、そのほかの生命保険のように一括で保険金を受け取るのではなく、毎月定期的に受け取るタイプだ。保険期間が65歳なら、被保険者の死亡時からその年齢まで毎月保険金が支払われる。

それぞれのメリットとデメリットを以下の表にまとめた。

  メリット デメリット
定期保険 必要な期間のみ安い保険料で大きな保障が得られる 基本は掛け捨てであり、更新すると保険料が上がる
終身保険 一生涯の保障で必ず保険金を受け取れる 保険料が高く、途中解約すると返戻金が少ないこともある
定期付終身保険 一生涯の保障に加え、必要な時期のみ保障を上乗せできる   主契約の終身保険を解約すると定期保険も解約されるので、見直ししにくい
収入保障保険 給料のように定期的に保険金を受け取れる まとまった支出をカバーするのには向いていない

※著者作成

医療保険の種類とそれぞれのメリット・デメリット

医療保険は病気やケガの時に給付金を受け取れる保険であり、死亡保険と同じく定期タイプや終身タイプが主流だ。その他、病気やケガで働けない間に保険金が受け取れる所得補償保険(就業不能保険)もある。

  強み 弱み
定期医療保険 安い保険料で大きな保障が得られる 保険期間が終了すると病気やケガのリスクが高い年齢になっているが、保障がなくなる
終身医療保険 病気やケガのリスクが高い高齢期にも備えることができる    将来の最新医療には保険が適用されないこともある
所得補償保険 働けない状態が長引いても安心できる 加入できる人や補償額に制限がある

生存保険の種類とそれぞれのメリット、デメリット

生存保険は、基本的に保険期間満了時に保険金を受け取れる。死亡時には保険金が支払われるものも多いが、通常の死亡保険より保険料は割高だ。代表的な生存保険には、学資保険(子ども保険)、個人年金保険、養老保険(生死混合保険)がある。

個人年金保険は現役時代からお金を積み立て、65歳などから年金形式で給付金を受け取れる保険だ。受取方法には10年や15年のように期間が決まった「確定年金」と、生存している限り受け取れる「終身年金」がある。養老保険は保険期間終了後に満期金を受け取れるが、途中で亡くなっても満期金と同額の保険金を受け取れるのが特徴だ。

  強み 弱み
学資保険 子どもの学費に特化して貯められ、資金管理しやすい   中途解約すると元本割れの可能性があり、見直ししにくい
個人年金保険 私的年金として公的年金の上乗せ資金を確保しやすい 円建ては物価上昇に弱く、外貨建ては受取額が運用実績で変化する
養老保険 満期を迎えても途中で亡くなっても保険金を受け取れる 同じ保険料だと他の保険よりも保障が少なくなりやすい

保険を契約する前に目的に合った保険かどうかを確認しよう

生命保険や医療保険は多くの人が検討する金融商品だが、種類によっては加入目的に適さないこともある。それぞれにメリット・デメリットがあるため、どんな保障がほしいのか、保険で何をカバーしたいのかを確認したうえで最適な保険を選ぶようにしたい。

文・國村功志(資産形成)/MONEY TIMES

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