iDeCo(イデコ)は2018年5月に規定が変更され、各証券会社の取り扱い銘柄数は35本までとなった。これによって以前よりは銘柄選びの負担は軽減されたが、この中から自分で選ぶ必要がある。仕事で忙しい40代が、iDeCo(イデコ)で選ぶべきファンドとは。

iDeCo(イデコ)の商品選びは投資信託選び

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(画像=Viktoria Kurpas/Shutterstock.com)

投資初心者にとって難しいのが「銘柄選び」だろう。商店の品揃えと同じで、取り扱い銘柄が多いほど良いように思えるが、銘柄が多いほど情報収集や比較に手間と時間がかかる。特に40代は老後の生活資金の形成に関心は高いものの、仕事や家庭生活で忙しいため投資に割ける時間は限られる。

金融庁はさらにiDeCo(イデコ)を普及させるため、2018年5月より各証券会社が取り扱える商品数の上限を35本までとし、銘柄選びのハードルを下げた。それを受けて、取り扱い銘柄数がトップクラスのSBI証券も商品を絞り込んでいる。

iDeCo(イデコ)で買える商品を大きく分けると、元本保証である定期預金と元本変動型商品である投資信託の2種類だ。iDeCo(イデコ)の商品選択は実質的に投資信託選びと考えていい。投資信託は投資対象によって以下のように分類できる。

・国内株式
・海外株式
・国内債券
・海外債券
・バランス型(国内外の株式・債券等)
・国内REIT(不動産投資信託)
・海外REIT(不動産投資信託)
・コモディティ(金など)

iDeCo(イデコ)で初心者に向いているファンドはインデックス型

投資信託には国内外株式または債券のいずれかに特化したもの、あるいはそれらを組み合わせたバランス型、また数は少ないが不動産や金などを投資対象にするファンドもある。それぞれに市場の指数と連動するインデックス型と、市場平均を上回るリターンを目指すアクティブ型がある。

一般的に債券より株式、国内より海外、インデックス型よりもアクティブ型のほうがリスクとコストが高く、その代わり期待できるリターンも大きい。投資初心者は、できるだけリスクとコストを抑えるべきなのでインデックス型が向いていると言われている。新興国やコモディティは値動きが激しいので、投資に慣れてからチャレンジしたい。

投資タイプや投資対象は、各証券会社のホームページや投資信託の目論見書に詳しく記載されている。キーワードを拾えば、どういった種類のファンドなのかがわかるはずだ。

iDeCo(イデコ)のバランス型ファンドは配分比率を確認

iDeCo(イデコ)で投資を始める初心者によくすすめられるのはバランス型だ。バランス型とは投資信託協会の商品分類で「資産複合」に該当し、株式・債券・REIT(リート)などに複合的に投資するファンドだ。

初心者に向いている理由としては、複数の資産に分散投資できることと、自動的に「リバランス」されることが挙げられる。リバランスとは、市場の状況に合わせて最も利益を期待できる資産配分に組み直すことだ。初心者がこれを自分でやるのは大変だが、プロがやってくれるので安心だ。

バランス型ファンドを選ぶにあたっては、必ず資産配分を確認してもらいたい。銘柄によって株式偏重であったり債券偏重であったりするためだ。

債権比率の高いバランスファンドは安全性が高いが、iDeCo(イデコ)の節税効果の一つである運用益の非課税効果が得られない。また、バランスファンドは運用に手間がかかるため、一般的に手数料(信託報酬)が高めであることにも注意したい。

iDeCo(イデコ)で最近話題の「ターゲットイヤーファンド」とは

バランスファンドの一つに「ターゲットイヤーファンド」と呼ばれるものがある。ターゲットとなる年を2030年、2050年のように決め、始めは株式を中心に積極的な投資を行うが、ターゲットイヤーに向けて徐々に安定資産に切り替えていく商品だ。老後資金形成を目的として60歳まで運用を続けるiDeCo(イデコ)向きの商品と言えるだろう。

米国で成長してきたターゲットイヤーファンドは、近年日本でも普及しつつある。かつては手数料が高かったが、最近は低コスト商品も開発され、現在の手数料はインデックスファンドとアクティブファンドの中間あたりだ。

気をつけたいのがターゲットイヤーの後だ。主に安定資産に投資しているため、あまり利益は期待できないが信託報酬は発生する。ターゲットイヤー後はそのままにせず、定期預金や他の運用資産に振り替えるなどの対策をしたい。

iDeCo(イデコ)では手数料が低いファンドを選ぶ

信託報酬は投資信託を保有している限り発生する。長期間保有することが前提のiDeCo(イデコ)では、信託報酬は厳しくチェックしたいポイントだ。

信託報酬はタイプによって水準が異なり、安全性の高い国内外株式・債券のインデックス型なら0.15~0.18%程度。バランス型は0.17~1.20%と幅が大きく、ターゲットイヤー型はおよそ0.7~0.9%だ。

新興国・成長株・アクティブ型には、2%を超える銘柄もある。信託報酬が1%の場合、100万円を10年間運用すると10万円近くの費用が発生することになる。パーセンテージだと小さい数字に見えるかも知れないが、長期投資においては1%の違いは大きい。

iDeCo(イデコ)を始めてリスク管理に自信がついてきたら、大きなリターンが見込めるファンドに挑戦してみるのもいいだろう。

文・篠田わかな(フリーライター、ファイナンシャル・プランナー)/MONEY TIMES

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