不動産価格上昇の一服感のある首都圏。東京オリンピック後を見据え、不動産投資の照準を万博開催の大阪、あるいは経済発展著しい東南アジアなどに合わせはじめている方も多いのではないでしょうか。一方、羽田空港アクセス線の本格着手の発表は、投資家の視線を再び首都圏に引き戻すものです。この新路線の不動産への影響を考えます。

首都圏にインパクトをもたらす羽田空港アクセス線

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(画像=Hit1912/Shutterstock.com)

まずは、羽田空港アクセス線の概要を整理していきます。このプロジェクトを担うのはJR東日本。羽田空港アクセス線の実現は同社の経営ビジョン「変革2027」に位置づけられ、グループの総力を挙げて取り組む開発として位置づけられています。羽田空港アクセス線ができることにより、JR東日本の沿線上にある首都圏の各都市から羽田空港へ乗り換えなしのダイレクトアクセスが実現します。

これにより、国内を旅行中の訪日外国人を各エリアで集客しやすくなったり、ビジネスの航空移動の効率化が図れたりといった効果が考えられます。また、羽田空港アクセス線の沿線上にある各都市では、企業誘致がしやすくなる面もあるでしょう。

羽田空港アクセス線はどのエリアに影響がある?

羽田空港アクセス線で計画されているのは計3ルート。まず、3ルートとも共通で通るのがアクセス新線と呼ばれる「羽田空港新駅-東京貨物ターミナル付近」の約 5 キロ。そこから下記の3つのルートに分岐し、首都圏の広域と羽田空港のダイレクトアクセスを実現するというものです。

  • 東山手ルート(宇都宮・高崎・常磐方面)
  • 西山手ルート(新宿・池袋方面)
  • 臨海部ルート(房総方面)

投資家のチェックポイントは沿線上の開発との相乗効果

羽田空港アクセス線で着目したいのは、他の大規模開発との相乗効果です。たとえば西山手ルート上にある新宿駅周辺では、東口エリアと西口エリアを結ぶ「東西自由道路」などの計画が進んでいます。これは、新宿を世界中から人材・資本・情報が高度に集積することをテーマにするもの。羽田空港アクセス線の開通が実現すれば、駅周辺計画との相乗効果で、もともと資産価値の高い新宿の評価が一層高まりそうです。

また、羽田空港からの新設路線と東山手ルートの接続ポイントである田町駅前では、2023年10月に約215メートルの超高層タワービル(地上42階建て)を建設予定。国際的なビジネス拠点として、外資系企業や大手企業の誘致を想定しているようです。この開発と羽田空港アクセス線の相乗効果で、田町の不動産価値の押し上げが期待されます。

ただし、羽田空港アクセス線は環境影響評価の段階

注意したいのは、羽田空港アクセス線の実現をほぼ確実視する向きもありますが、JR東日本が2019年2月に公式発表している資料(JR東日本ニュース)内では、いまだ「羽田空港アクセス線(仮称)」と「(仮称)」という文言がつけられていたり、「羽田空港アクセス線構想」と「構想」というワードがつけられていたりします。

これは、計画のフローが「環境影響評価」着手前の段階であり、東京都への調査計画の提出もされていないことへの配慮と思われますが、沿線上に投資を行う際は、あくまでも「構想」中のプロジェクトであることに留意する必要はありそうです。尚、2019年4月段階でJR東日本では、羽田空港アクセス線・東山手ルートの開通を2029年度に目指すと発表しています。

いよいよはじまる東京の都市再編の第二幕

今後行われる予定の首都圏の大規模開発では、他に臨海エリアの地下鉄計画もあります。オリンピック選手村の宿泊所を分譲マンションとして開放、それによって人口が急増するにも関わらず、鉄道網が足りていないのが臨海エリアの懸念材料でした。開発によってこの弱点が解消または緩和。臨海エリアのマンション価値が高まることが予想されます。

大規模開発が行われるエリアを中心に、東京にはまだまだ投資マネーが流れ込む機運があります。オリンピック開発からはじまった都市再編の第二幕がはじまる可能性大。これからも東京から目が離せません。(提供:JPRIME

文・J PRIME編集部


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