Kathy Lien (マネージングディレクター、BK Asset Management FX Strategy)
米ドルインデックスは他の主要国通貨に対し値上がりし、市場ではドルに対する強きの見方が支配的となっている。{{3|米ドル/日本円}}は112を超え年初来最高水準に達する一方、 ユーロ/米ドルは2017年6月以来の最低水準へ落ち込んだ。24日に米国関連の経済指標の発表はなく、分かりやすい材料はなかった。また米国債利回りは低下し、株式相場は続伸とはならなかった。しかし、米国株は史上最高値に近い水準で取引されており、カナダ銀行も金融緩和の波に乗るとみられている。株価の継続的な上昇を受けて、連邦準備理事会(FRB)は引き締めの可能性を強めている。米国経済が改善する一方で不調な諸外国経済と、FRBの金融政策が相まって米ドルの相対的な魅力度が増している。25日の耐久財受注高と新規失業保険申請件数の発表は、受注高の増加と労働市場の堅調さから、為替に影響を与えないとみられる。
一方で、4月のドイツ IFO景況指数悪化を受け、ユーロは値下がりしている。ドイツ は、同国のサービス業購買担当者景気指数は改善しているものの、製造業購買担当者指数の不調に苦しんでいる。ドイツ連邦銀行は成長が当初予測よりも鈍化しうることを警告している。逆イールド、ECBのハト派的動き、米国が新たに関税を課すリスク等を考慮して、我々はいずれかのタイミングで1.10 ユーロ/米ドルになると考えている。現在1.12を割っており、0.02の下落は時間の問題である。英ポンドも24日売り圧力が働いたが、イギリスの経済指標の発表はなかった。 来週イングランド銀行の会合が予定されており、統計データは改善しているものの、他国の中央銀行の慎重な見方に続くとみられる。
米ドル/加ドルはカナダ銀行の政策金利発表を受け、1.35を上回った。同行は小売価格と貿易収支の改善を反映しておらず、政策金利を1.75%で据え置き、経済見通しを下方修正するとともにタカ派の考えを和らげた。2019年の経済成長率を1.7%と予測していたものの、予想を下回っている住宅市場と消費支出の動きから1.2%に修正している。声明では、引き続き低金利を保つべきとの見方を示しており、、同行は金利引き上げを現在は考えていないことが分かる。 同行は、世界経済の成長、住宅市場に留まらず、原油価格上昇による恩恵を受けているはずの石油セクターにさえ不安を示している。カナダ銀行記者会見において、ポロズ総裁は、同行の予測が正しければ金利はデータ次第でどちらにも動く可能性がある見方を示した。しかしカナダ銀行の中立~ハト派の考えを受け、米ドル/加ドルはさらに上昇する見込みがある。
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一方で、 オーストラリアドルとニュージーランドドルは年初来最低水準へと下落した。オーストラリアのCPIは第1四半期に予想を大きく下回り、0.2%増の予測に反し、ゼロ成長であった。オーストラリア準備銀行は中立的、または僅かにハト派である時もあったが、現在は市場は 金利引き下げを見込んでいる。金利先物を見ると、来月70%の確率で金融緩和が行われると市場は予測しているが、同国通貨安と整合的でない。日本銀行は政策金利発表を本日予定しており、同国の経済アセスメントを下げる見込みである。最新のデータによると、家計支出の成長は鈍化、貿易収支は黒字幅縮小、消費者信頼感は低下、製造業購買担当者指数、企業向けサービス価格指数、鉱工業生産 の成長率は軒並み低下、そしてインフレ率も低い。市場では、日本経済はこの第1四半期で縮小したとの見方が強い。 日本円を押し下げる恐れもあるが、日本銀行の決断は米ドル/日本円に影響を与えない可能性もある。(提供:Investing.comより)
著者:キャシー リアン