「十分なキャッシュフローが出ている収益物件は保有し続けたほうがよい」というのが、投資家として一般的な考え方です。しかし、そのキャッシュフローがいつまでも続くとは限らないというのも、投資家心理ではないでしょうか。すでに十分なキャッシュフローが出ていない物件であれば、「今すぐ売却したい」と考える投資家も多いかもしれません。

しかし、悩ましいのは現在キャッシュフローが出ている物件です。そこで、今回は「収益力があるうちに売却しておいたほうが良いのか」「キャッシュフロー重視で物件を所有し続けるのが正解なのか」といった判断をするために役立つ一つの目安を紹介します。

出口戦略とは何か

キャッシュフロー,売却
(写真=WHYFRAME/Shutterstock.com)

不動産投資の出口戦略とは、所有物件を売却するときに利益を最大化するための戦略のことです。所有期間は、十分なキャッシュフローが出ている物件であっても、売却価格が大幅に低くなってしまうことで、それまで得られてきたキャッシュフロー分を吹き飛ばしてしまう可能性もあります。こうしたケースでは、「不動産投資の出口戦略が失敗に終わった」という評価になるでしょう。

最終段階である出口戦略の成功があって、はじめて投資の成功といえるため、「いつ売却するか」「そもそも売却するべきか否か」といった戦略は非常に重要です。

値上がり益が見込まれるときの理想的な売却判断の目安

地価の上昇などによって購入時よりも高く売れそうな時は、理想的な展開です。売却益が出そうなうちに売ってしまったほうが得策……と思いたくもなるのですが、それほど価値の高い物件は所有し続けてもしっかりキャッシュフローを出してくれる可能性が高いでしょう。ここで、「キャッシュフローを取るか」「キャッシュフローの数年分にあたる利益を売却益という形で取るか」という岐路に立たされるわけです。

あくまでも目安ですが、基本的な考え方としては、「その売却益をキャッシュフローだと何年で手にすることができるか」を計算することで判断しやすくなるでしょう。もしその売却益と同額のキャッシュフローを出すのに5年以上を要する見通しなのであれば、それは売り時と判断するのが一つの目安になります。なぜなら、5年後にその物件が同額のキャッシュフローを出せるとは限らないからです。

仮に5年後に収益性が低下していたとしたら、なおさら現在と同水準で売却できる可能性が低くなってしまうでしょう。投資の利益確定(もしくは損切り)は、出口戦略の重要な目的なので早期に利益確定ができるのであれば、それはチャンスと捉えるのも一つの正解です。

内的要因と外的要因から分かる売却判断

その他にも収益物件を売却したほうがよいとされる判断材料があります。内的要因と外的要因のそれぞれで、ポイントを押さえておきましょう。

① 内的要因による売却シグナル
・大規模修繕やメンテナンスなどでまとまった費用負担の発生が見込まれるとき
・減価償却の満了が近く収支悪化(デッドクロス)が見込まれるとき

② 外的要因による売却シグナル
・近隣で大規模な物件供給が見込まれるとき
・近隣で賃貸需要の根拠となっている施設が撤退、縮小する見込みの時

売るべきか困ったらプロに相談を

ここまでの解説を総合すると、キャッシュフローの5年分以上の売却益が出るようなチャンスがあれば、それは売るべきだということになります。それ以外にも内的要因、外的要因による売却シグナルを挙げましたが、これらのシグナルがすべての物件に該当するわけではありません。同じものが2つとないのが不動産投資です。そのため、所有されている収益物件が前例に完全一致するわけではありません。判断に迷ったらプロに相談してみるというのも、一つの方法です。(提供:Owners Innovation

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