自動車は便利である一方、保有するとコストがかかります。最近では、カーシェアリングがかなり普及していますから、コスト削減のために自動車を手放すことを、考えている方もいることでしょう。
実は、自動車を廃車にすると、戻ってくるお金があります。自動車税も戻ってくるお金の一つです。自動車税の還付の仕組みを押さえておきましょう。
自動車税の支払いは5月末まで
自動車税とは、毎年4月1日の時点で自動車を所有している人に課される税金です。「所有している」とは、車検証に所有者として記載されているということです。ローンで車を購入した場合は、所有者欄は販売店やローン会社になっています。その場合、使用者欄に記載されている人が納税義務者となります。
自動車税の金額は排気量などによって異なります。例えば、トヨタのアクアの場合、排気量が1.5リットルですから、34,500円(グリーン化特例考慮せず)です。軽自動車については、自家用乗用自動車の場合、一律10,800円です。
自動車税の支払いについては、各都道府県の自動車税を管理する事務所や事務センターから納税通知書が送付されますから、5月末までに納めます。
車を廃車したら払い過ぎた分の税金が還付される
自動車税は自動車を所有することにより課税される税金で、4月から翌年3月までの1年分を一括して納税するものです。そのため、自動車を廃車した場合は、納めた税金が還付されます。年度の途中で廃車した場合は、残存期間分の支払い済みの税金が還付されます。
自動車税の還付金の計算方法
それでは、どの程度の金額が還付されるのか、実際に計算してみたいと思います。自動車税は月割りで計算されます。還付についても同様、月割となります。計算式は以下の通りです。
支払済の自動車税÷12ヵ月×廃車した翌月から3月までの月数=自動車税の還付額
例えば、前述のアクアを10月に廃車した場合、廃車した翌月から3月までの月数は5ヵ月ですから、
34,500円÷12ヵ月×5ヵ月=14,300円(100円未満切り捨て)
となります。
月割りですから、月初に廃車しても、月末に廃車しても還付金額は同じです。月がずれると1ヵ月分還付額が少なくなりますから、タイミングに注意しましょう。なお、還付額は廃車した翌月からカウントされます。よって、3月に廃車にする場合は還付金がゼロとなります。
還付金はいつ戻る?手続きのやり方は?
還付されるにあたっては、申請の手続きは不要です。自動的に還付金の受領権者に通知書が発送されます。通知書が届く時期は、各都道府県によって異なりますが、廃車手続き完了後、1ヵ月から2ヵ月程度です。
また、還付金の受け取り方についても各都道府県によって異なります。口座振込や金融機関の窓口で受け取る方法などがあり、東京都の場合は、還付金が5万円以下と5万円超で受け取り方法が異なります。5万円以下の場合は、ゆうちょ銀行で受け取り、5万円超の場合は、銀行口座に振り込みとなります。
注意しておくべきこと
「廃車」になる日に注意
還付金は廃車した月を起点に計算されます。しかし、「廃車」とは自動車を手放した日ではありません。運輸局などで抹消登録をされた日です。業者に廃車を依頼する場合、車を引き渡したからといって、すぐに廃車されるとは限りません。タイムラグがありますから、この時点で月をまたいでしまうと還付金額が変わってきます。
なお、「廃車」と聞くと、自動車の解体などをイメージされるかもしれません。しかし、海外赴任で自動車を一時的に使用しなくなるケースなど、一時抹消登録により廃車手続きを行うこともあります。
還付制度の対象は「廃車」のみ
還付制度の対象は廃車のみです。家族に名義変更するケースでは還付はありません。さらに、ディーラーに下取りをしてもらうケースや、業者に売却したケースにおいても、法的には還付されません。しかし、ディーラーや業者によっては、車の査定額に還付金を上乗せすることで実質的に自動車税が戻ってくることがあります。
軽自動車は還付がない
軽自動車には自動車税の還付制度は適用されませんのでご注意ください。
重量税と自賠責保険の還付申請も忘れずに
自動車を解体するのであれば、自動車税以外にも戻ってくる税金があります。自動車重量税は、解体届出または永久抹消登録申請と同時に、還付申請を行うことで車検残存期間に応じて還付される税金です。
また、自賠責保険や任意の自動車保険においても、契約期間終了まで1ヵ月以上あれば、解約に伴い、保険料が返還されます。忘れずに手続きをしておきましょう。
文・前田菜緒(1級ファイナンシャルプランナー、FPオフィス And Asset)/fuelle
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