聞き取れていない弱点を客観的に把握する

では、七つのステップについて、順を追って説明しましょう。

準備するものは、英語の音声とスクリプトがそろった教材と、スマホやパソコンなどの音声再生機器です。

教材は、TOEIC用の問題集や映画など、好きなものを選んでかまいませんが、レベルには注意が必要。半分くらい聞き取れるもの、つまり、簡単すぎず難しすぎず、飽きることも挫折することもなく続けられるものにしましょう。

そして、教材から20~30秒の英文を抜き出し、1週間かけて第7ステップまで進みます。

ステップ1は「リスニング」。スクリプトを見ずに、音声だけを聴きます。ここでは、教材のレベルの確認と集中力を鍛えることが目的です。

英語を日本語に訳して聴いている人は、途中からスピードについていけずに頭が真っ白になりがちですが、焦ってはいけません。すぐに切り替えて、次のセンテンスからまた集中して聴くクセをつけましょう。

日本語に訳さずに理解するには、イメージ化が有効です。映像や絵を頭に思い浮かべれば、情報処理の速度が上がります。このクセも、序盤からつけておきたいところです。

次のステップ2は「ディクテーション」。音声を1文ずつ再生し、書き取ります。

目的は、自分が聞き取れていない箇所を客観的に確認することです。リスニングでは前後の流れで推測できた部分も、書くとなるとごまかしがききません。

ですから、すべてを書き取ろうと何度も再生するのではなく、多くても3回までにして、自分の弱点を把握しましょう。

ここまでの段階では、英文の意味を完全に理解する必要はありません。単語を音としてキャッチできているかどうかだけをチェックしましょう。

3パターンの音読で口の準備運動をする

英文の意味を把握するのは、ステップ3の「黙読理解」の段階です。知らない単語や表現をチェックし、「聞こえるけれど、わからない」要素を除去しましょう。

スクリプトを黙読し、日本語の訳文があれば照らし合わせて、初めて見る単語やわからない表現は辞書で確認します。ただし、英語のすぐ下に日本語を書き込むことはせず、下線を引くだけにするか、目立たないところに日本語を書き込むようにしましょう。

ステップ4は「音読」。音声を流さず、スクリプトを見ながら読みます。音声を思い出しつつ、3回音読しましょう。

ポイントは速さです。

1回目は「速音読」、つまり、「これ以上速く読めない」スピードで音読します。

2回目は「中速音読」。1回目よりは遅いものの、やや速く読みます。1回目よりも余力が生まれるので、それを利用して英文の内容も意識しましょう。イントネーションやアクセントも意識すると、なおいいでしょう。

3回目は「普通音読」。無理のないスピードでの音読です。目の前に会話の相手がいるかのように、ジェスチャーなどをつけて「なりきる」のがお勧めです。

これで英語の口の動かし方の「準備体操」と意味の把握が万全になります。