晩節を汚せないサラリーマン経営者の罪

以上のような働き方改革が実現できるかは、経営者が本気になって取り組むかどうかにかかっていると高岡氏は言う。

「働き方改革というと、人事部や各部署の部課長に委ねられがちですが、勝つ戦略を考えることや、会社の制度を大きく変えることは、経営者にしかできない仕事です。働き方改革ができるかどうかは、経営者次第なのです。だから、働き方改革は経営改革であると、私は言っています」

しかし、多くの日本企業では、経営者が本気になっていない。

「その一つの理由は、サラリーマン社長が多いうえに、任期が短いからです。本当に改革を成し遂げるためには10年は必要。私も10年はやるつもりで社長になりましたが、他の会社は、2~3年程度で社長が交替することが少なくありません。短期間で抜本的な改革ができるとは思えませんし、自分の経歴を汚すかもしれない施策に手をつける人はいませんよ」

経営者がコロコロ交替し、保身に走るのは、まさに新興国モデルからくる悪習だという。

「目まぐるしく変わるのは、『同じ人が長年社長をするのは不公平。一人でも多くの人が社長になれるように』というサラリーマンの出世競争から来ています。こんなことが通用するのは、現場の従業員が頑張れば結果を残せた新興国モデルの時代だけ。先進国モデルの会社では通用しません。世界を見渡しても、業績不振以外でコロコロ社長が替わる会社はありません。

日本は、こうした企業文化から変えていく必要があるでしょう」