4月下旬からスタートした3月決算企業の本決算発表も先月中旬に終了しましたが、それから3週間以上が経過したことから決算発表終盤に決算を発表した銘柄でもアナリストによる業績や目標株価の見直しも随分と進んだと思われます。そこで今回は5月14日に決算を発表したTOPIX500採用の3月期決算銘柄を対象に決算後に複数の目標株価の引き上げがみられるもの(足元の株価を上回るもののみ対象)をピックアップしてみました。

投資のヒント
(画像=PIXTA)

そのなかでも目標株価の引き上げが目立ったのがリクルートホールディングス(6098)で、会社計画を上回る二桁増益の良好な決算を発表したこともあって決算発表後に5社が目標株価を引き上げています。また、三菱地所(8802)でも3社が目標株価を引き上げたほか、日清製粉グループ本社(2002)と東レ(3402)、西武ホールディングス(9024)でも決算発表後に2社が目標株価を引き上げています。

決算発表後に2社以上が目標株価を引き上げた3月決算銘柄
(画像=マネックス証券)

<決算メモ>

●伊藤園(2593)- 下期の急回復で増益を確保 -

伊藤園が3日に発表した2019年4月期の決算は売上高が前期比1.9%増の5042億円、営業利益が同3.5%増の228億円となりました。売上高は主力のおーいお茶(前期比2.1%増)や健康ミネラルむぎ茶(同15.6%増)が堅調に推移したことで初めて5000億円超えとなりました。また、営業利益は販管費の増加を増収による粗利益増で吸収し増益を確保しています。

前期の営業利益は計画の230億円を下回り小幅な増益に止まりました。しかし、ここまでよく盛り返したといった印象です。上期の営業利益は運送費の上昇などが足を引っ張り前年同期比8.9%減となりましたが、下期は配送を委託する外部業者と協力してコスト削減に取り組んだことや、利益を重視した営業路線に転換したことなどで27.3%増の大幅な営業増益に転じています。

今期の計画は売上高が前期比1.2%増の5100億円、営業利益が同0.8%増の230億円で、営業利益は達成できなかった前期の目標に再びトライする格好となっています。しかし、前下期の健闘からすると会社計画は保守的にもみえます。消費増税などで消費動向が読みにくいため計画を保守的に設定しているとみられます。

金山敏之(かなやま・としゆき)
マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト

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