前日の注目イベントであったECB理事会では、市場コンセンサス通り政策金利の据え置きを決定し、金利据え置き期間を従来の「2019年末」から「2020年上半期」まで延長する方針を決めました。この方針発表後は、据え置き期間が延長されたことでユーロ売りで反応するも、主要各国の利下げ意欲が加速している中で、据え置きの状況が継続するのは悪いことではないとの見方が強まり、すぐさまユーロ買いに繋がりました。その後のドラギECB総裁の定例会見でも、「第1四半期のデータは予想より良かった」「経済見通しについて大幅な悪化を全く見込んでいない」などの楽観的な見方を示したため、マーケットはユーロを積極的に買い進める動きを見せ、ユーロドルでは一時1.13085ドルまで上値を拡大しました。

もう一つの注目材料として、TLTRO第3弾がどのようなものになるのかが注目されていましたが、結論から述べると、適用する金利を最も低い場合で-0.3%とすることを決定しました。TLTRO第3弾の金利条件は、市場が想定していたものと比較すると、若干タカ派であったこともあり、市場が量的緩和再開や更なるマイナス金利深堀りを本格的に織り込むよう動きにはならないとの見解が、ユーロ買いをサポートしたものと思われます。ただ、堅調なユーロではありますが、懸念材料としては欧州委員会がEUの財政規則違反による是正手続き開始を勧告したイタリアでしょうか。イタリア政治のヘッドラインは今後も頻発することが想定されるため、一旦ユーロ上昇も、ユーロ堅調地合いは長続きしないと考えられます。

米国による対メキシコへの制裁関税ですが、ホワイトハウスが「米政府は依然としてメキシコからの輸入品に対する追加関税の発動を進めている」との見解を示すと上値の重い展開になりましたが、協議は引き続き継続されること、一部報道では関係者筋の話として「米国はメキシコへの関税適用先送りを検討している」とのヘッドラインが流れたこともあり、マーケットは協議結果待ちの姿勢を強めています。米国とメキシコが、関税や移民問題である程度の合意に到達した場合は、10日からの制裁関税が先送りになる可能性が非常に強いため、その場合は一気にリスク選好の動きが強まりそうです。一方で、協議が決裂して10日からの制裁関税発動となった場合は、既にこの材料を織り込んでいる動きを見せているため、多少リスク回避の動きが出そうですが、影響は限定的になりそうです。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

本日は、米雇用統計が予定されており、基本的には様子見姿勢が強まりそうです。市場予想では、非農業部門雇用者数は17.5万人増予想になっておりますが、既に公表されたADP雇用者数が市場予想を大きく下回る2.7万人増という、2010年3月以来の9年2カ月ぶりの小幅な伸びにとどまったことが意識されそうです。ADP雇用者数の内容を鑑み、市場予想も多少の悪化は織り込んできているものと思われますが、10.0万人増を下回るような内容になれば、余程整合性のある理由がない限りは、ドル売りが加速する可能性があります。

カーニー・英中銀総裁は、5月21日付けの年次報告書の中で、英国がEUを円滑に離脱した場合、金融政策委員会(MPC)はインフレを目標水準にとどめるために、さらなる利上げを実施する可能性があるとの考えを述べました。世界的に保護主義の動きが強まり、主要各国が利下げ合戦を繰り広げている中、EU離脱という非常に難しい壁をクリアする必要はありますが、ポンドについては、利上げ余地ありと考え得る数少ない通貨となります。メイ首相は、本日7日(金)に保守党党首を辞任します。来週から新たな党首選びに着手する予定ですが、党首選に名乗り出た11名のうちほとんどの候補者がハードブレグジット推奨になっています。ポンドの命運を決める非常に重要な党首選ですが、来週から徐々に情報が出てくるものと思われます。

ユーロドル1.1320ドルレジスタンスは、依然として機能している

ECB理事会の決定を受け、一時1.13ドルを回復したユーロドルですが、損切りポイントにまでは到達しなかったことにより、現状は1.1260ドルでのショート保持となります。上値目途として考えている1.1320ドルが引き続きレジスタンスラインとして機能していることもあり、基本的にはショート戦略継続で問題ないとの考えです。戦略自体に変更はなく、損切りは1.1320ドル上抜け、利食いについては、1.12ドル下抜けは通過点であると考え、1.1160ドル付近を利食いと考えます。

海外時間からの流れ

ホワイトハウスからは、依然としてメキシコへの関税を検討している旨の見解がでていますが、共和党、民主党、さらにはトランプ政権内からもメキシコへの制裁関税への慎重論が出ているため、先送りの期待感が強まっています。実際に、トランプ大統領が対メキシコへの制裁関税を公表した時に大きく下落したこともあり、10日の関税についてはマーケットは既に織り込んでいるものと思われますが、逆に先送り期待はあるものの、実際に先送りになった時の織り込みはまだ完全ではないと考えられるため、マーケットが大きく動く時は、ポジティブサプライズの時なのではないでしょうか。

今日の予定

本日は、独・4月鉱工業生産、独・4月貿易収支/経常収支、米雇用統計、加雇用統計などの経済指標が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。